イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

SPY×FAMILY:第13話『プロジェクト〈アップル〉』感想

 三ヶ月の間を空けて、楽しいフォージャー家が帰ってきた!
 第2クール一発目は”SPY”要素多めで、薄氷の東西平和を脅かす外相暗殺計画に、パパとエージェント二足のわらじを履くロイドさんがまず巻き込まれ、犬探してるだけだったはずのアーニャとヨルも事件の渦中に……という展開。
 学園ほっこり成長記、愛情たっぷり家族喜劇、世知辛い背景世界を生かしたダークで重い話と、色々やれる……がゆえに時折『面白いけど、何の話だっけ?』となってしまう作品の中心がどこにあるか、久々再会な視聴者に教えてくれるようなお話である。
 ボフボフ可愛い家族が増える話でもあるので”FAMILY”要素も濃く楽しめるのが、間にペンギン話をはさみつつ、第2クール開幕にこのお話が選ばれた理由……かなぁ?

 偽装身分に適応しすぎて、というか平和な日常のために己を捧げる人格の地金が”家庭”によく適応して、ロイドさんが非情なるスパイの世界に生きてるのもときおり忘れるが。
 今回は外相暗殺からの東西熱戦開始を狙う、ガチのテロリズムが相手となり、自然対応策もシリアスな感じに展開していく。
 変装技術を生かした詐術から、地道で的確な情報収集と、<黄昏>の本領を感じ取れるカッコいい場面が多いのは大変良かった。
 フォージャー家のホッコリ温かい描写でつい忘れがちになるが、本来的にこの世界滅茶苦茶不安定な戦間期を揺れ動いてて、家族という嘘も”東西平和”という大義のための嘘でしかないからなぁ……。
 それを自覚しつつ、私人としての温もりも公人としての責務も両方こなし、アジトの情報を引き出してテロリストにプレッシャーをかけたことが、巡り巡って愛娘の命を救ったりもする。
 一見家族がそれぞれバラバラに事件に巻き込まれているようで、こういう風に根っこでつながって助け合ってる描写は良かった。

 ロイドさんが忙しく世界を守る裏で、アーニャは事件の核心に頭から突っ込み、ヨルさんはそれを見失っていた。
 ”天然”で片付けるにはあまりに致命的な見落としだが、怪物的なフィジカルで一気に失点回復するあたり、やっぱりヨル・フォージャーという女恐ろしい……。
 犬選びという、楽しい日常の一コマがあっという間に国家を揺るがす陰謀に変わっていくのは、アーニャが持って生まれた運命力の強さというか、テレパス能力の奇妙な応用と言うか。
 未来視の異能を持ちつつも、それを伝える言葉を持たないボフボフの思いを、アーニャのテレパスが”通訳”している様子は、異能者同士が寄り集まって人間らしく生きようとしてるあがきが感じられ、かなり好き。
 でっけー犬の背中に飛び乗り、ワクワクな大冒険に胸高鳴らせるアーニャが見てる世界を、気合が入った作画でしっかり魅せていたのは、このアニメらしいパワー勝負の見どころづくりだった。
 今回コロリドが全面的に作画を担当して、WITともClover Worksともテイストの違う画面になっていたのは、結構面白かったな。圧倒的な美麗で押し込むというより、程よく調整された温もりある作画と動きで、弾むように楽しませてくれる感じ。

 読心の異能故に厄介事に首を突っ込み、同じ力が新しい家族と心をつなぐ助けにもなってくれる。
 学園にいるとあんまり見えてこない、異能者であり運命の子供であるアーニャの主人公気質が、結構元気なエピソードだとも思う。
 こうして行き合う事件が、”ちち”の本業に直結してるのも、また面白いよね。
 半歩間違えばとんでもなく気まずい状況になってた所を、圧倒的な”暴”でどうにかする母も合流し、フォージャー家のドタバタ世界防衛戦はどこに転がっていくのか。
 次回も楽しみですね。