イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

D4DJ All Mix:第3話『ジユウ ジユウ?』感想

 水温む弥生の頃、乙女たちはぶち上げステージ作りに悩むのであった! な、All Mix第3話。
 待望のリリリリちゃん主役回であり、楽曲づくりに絡ませて全ユニットを横幅広く描いていく手際は相変わらず元気だった。
 ”All Mix”の副題に恥じず、色んなユニットが仲良く一つのイベントやってるからこその朗らかな空気が良く出てて、アッパーテンションなD4DJらしい回だったと思う。
 同時にメインを引き受ける所からテーマの獲得、楽想を膨らませて形にしていくまで、Lyrical Lilyの音楽がどう作られるかを話しの真ん中に据えたことで、本気だからこそ楽しい彼女たちの”今”が、良く分かる回だったと思う。
 フェスに向けた勝負論をあえて取り外した作りの中で、この硬軟取り混ぜた感触が二期の基本になってく感じ……かな?

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第3話より引用

 というわけでとにもかくにも、女の子がモリモリ食べてとっても幸福になる回であった。
 美味しいものを食べる快楽は、一番わかりやすくダイレクトな幸せの描き方だろう。
 それを幾重にも重ねて柔らかな感触を作っていくことで、重責を跳ね除けてあくまで明るく楽しく、自分たちのステージを作っていくリリリリの現状もよく分かる。
 ユニット結成のゼロ地点から積んでいくのではなく、アプリの方である程度仕上がった状況からファンサービス満点で転がしてく作りとも、こういう場面が多いのは噛み合っているのだろう。
 バチバチやるより、美味しいお菓子を仲立ちにしてハッピー重点で。
 それがAll Mixの基本オーダー……て感じだ。

 

画像は”D4DJ All Mix”第3話より引用

 同時にワイワイガヤガヤ騒がしくも、自分たちが引き受けたステージをどう形にしていくか、先輩たちに色々訪ねながら一歩ずつ進んでいくLyrical Lilyの姿もしっかり描かれた。
 リリリリちゃんは第1話から可愛らしかったけども、同時に音楽ユニットとしてどういう信念と雰囲気で舞台に挑んでいるのかちゃんと知りたかった。
 なので、期待感が高まってるからこそ前に出にくい状況から、主催として堂々バトンを受け取り、桃の季節に相応しい楽曲をどう仕上げるか、楽しく悩みながらみんなで進んでいく様子が見れたのは、とても良かった。

 ”イタズラ好き”という胡桃ちゃんの個性は、ともすればただ悪ふざけしてるだけな無責任に落ちちゃう危うさを秘めているが、『ここで私たちが前に出たら、みんなビックリするかな!』とお風呂場でワクワク膨らませている様子から、楽しいサプライズを大事にしたい心根がちゃんと見えた。
 メンバーの自宅……その背景にある経済状況と家庭環境をしっかり切り取ってくる所とか、浮かれた空気を抜かないままLyrical Lily一人ひとりの顔を、丁寧に書こうという意図が感じられた。
 それは野暮なメガネはっつけてシコシコPCに向き合う春奈ちゃんの生真面目と、サウナで限界なイタズラコンビの崩し顔が入り混じった、騒がしくも楽しい青春の横顔だ。
 色んな可愛さがあるリリリリが、どんな風に人と交わり音楽を作っていくかしっかり解って、彼女たちがより好きになれる回だったのはとても良かった。

 予告の段階ではもっとヘヴィな感じになるかと思ってたけど、着実に歩を進めつつ下を向かない春奈ちゃんと、一生楽しく騒いで下を向かせない仲間たちが混ざりあって、『なるほど、これがLyrical Lilyの歩調……』と、納得できる塩梅だったのはとても良かった。
 あと前回掘り下げた商店街のローカルな空気をさらに広げるように、花桃咲き誇る三月の色合いを大事に、季節感と土の匂いがある曲作りを頑張っていたのは、リリリリに漂う文学テイストとか見合って、大変いい感じでした。
 OPが鴎外で今回賢治だからなぁ……中村航力たけーな、って感じ。

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第3話より引用

 話の真ん中に立つLyrical Lilyの書き方も良かったが、その隣で細かく他ユニットの彫り込みもしっかりやってて、求めていたものがしっかり供給されるありがたみに、冬の乾燥にやられた肌も潤う。
 何かとヘタレがちなむにちゃんの性根を良く知ってる真秀ちゃんが、あえて煽って弱気をふっとばし笑える感じに話をまとめている所とか、ハピアラの結束を感じるよ。

 ……とか思ってたら、大鳴門氏特大の重力震にリアルでデケェ声出たッ!
 むにちゃんさぁ……本当に愛本が好きだねキミは……。
 本人の目の前で好き好きアピールするのではなく、トトトーっと軽妙に移り気に駆け抜けていったその後で、ひっそり強く求めてる”隣”ひな壇に飾ってくるのは、重さといじましさの同居した反則級の一撃だった。
 つーかミニぬいぐるみ、各キャラの個性が上手くSDされてて可愛くて、凄く良かったな。
 こういうしみじみとした『良かったな……』を地道に、着実に積み上げて”天”に手を届かせる系アニメなのかもしれん、All Mix。
 テイストとしては日常系なんだな。

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第3話より引用

 あと次回”真ん中”やる輪舞曲への期待感が高まるよう、細かくジャブ積んで足場組み上げてくれてる感じもとても良かった。
 僕は青柳椿さんが大変に気になっていて(ちびっこタレ目で当たりが強いから)、そんな彼女と葵衣くんが絡ませる視線の重さに嵐の予感に、ワクワクが止まりません。
 物憂げな葵衣くんがリリリリのステージから何を受け取ったか、次回描かれることで今回の値段が後出しで上がる効果も出そうだしね。
 そういうリレーが話数を超えてあると、ひと月を繋げて一年になっていく時間的な連続性、移り変わりつつ続いていく季節の面白さってのが、ドラマにも宿っていく感じするし。

 あと想定していないところから渚の可愛い爆弾がズドン着弾して、何もかも更地になった。
 3Dアニメ独特の表現力に、2Dの崩した面白さ、可愛さを大胆に取り込んで独特の味を出しているのは、このアニメの面白く強いところだなー、と思う。
 表現が変に居着いてない、というか。
 女の子の多彩な表情で、可愛く楽しく魅せてくれるのはこのアニメの大事な武器だし、ジャンルとして作品として一番求められる部分でもあると思うので、そこ頑張ってくれているのは大変良い。
 今後も色んな楽しさと、その影にある生真面目な憂鬱を積み上げて、良いグルーヴ生んでくれたら嬉しいわな。

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第3話より引用

 というわけで色んな輝きを切り取りつつ、黄金色の夕焼けに”答え”を見つけ、Lyrical Lilyはステージに舞うッ!
 ワイワイ喧しい足取りで転がしてきたお話をまとめるにあたり、しっかりエモい情景を作ってLyrical Lilyの結束を切り取ってからクライマックスに入るの、心の整理がついてありがたかった。
 Lyrical Lilyは他ユニットにはない部活感……もっと言っちゃえばお遊戯会感覚が凄くいい感じで個性になってて、ラップ混じりVJ暴れまくりの華やかなステージをしっとりしたお辞儀で締める所とか、それを受け取ってジジババ大はしゃぎな所とか、地域の”孫”として愛されてる感じがモリっと出てて、凄く良かった。
 あくまで学内での盛り上がりだった第一期に比べ、地域と連動した横幅広いステージを展開していく第ニ期が誰にステージを届けているのか、良く見える客席の書き方だと思いました。

 つーか1DJ+3パフォーマーで制服ステージつう構成が、三人官女を体現して”ひな祭り”つうテーマをきっちり形にしてるのが、春奈ちゃんを筆頭に誠意ある表現に悩んできた彼女たちがどこに辿り着いたのか、ステージングでしっかり描いてて良い。
 自由に楽しく、お遊戯の闊達さを殺さぬまま、しかしどこまでも本気で熱く。
 そういう音楽活動をLyrical Lilyはやってるんだと、一話使ってしっかり描けたのは、凄く良かったと感じました。

 やっぱ二期の主役がどんな貌してんのかは早い段階で知りたかったので、今回Lyrical Lilyにクローズアップしたカメラが捕まえてくれたのもは、今後このアニメを見続ける上で大事だと思った。
 こんだけ1ユニットをちゃんと描きつつ、横幅広く人数扱う手付きもマゴツイてないからなぁ……いい感じだ。
 こういう描き方をしてくれるアニメだとわかった所で、4月は輪舞曲の出番。
 どんなステージが待っているか、大変楽しみです。