イマワノキワ

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うる星やつら:第18話『き・え・な・いルージュマジック!! /必殺!ヤミナベ』感想

 

 

画像は”うる星やつら”第18話から引用

 主役も揃い舞台も馴染み、いい感じに脂が乗ってきた令和うる星第18話は、異様にキレた作画でこれまでのあらすじなど振り返りつつ始まった。
 原作者公認で使い勝手が良い竜ちゃんが顔を出し、レギュラー大体揃ったタイミングで『”うる星やつら”ってこういう話ですよ』をやるのが、原作終了後のリバイバルらしいな、と感じた。
 25年前にすでに終わっていて、その終わらない終わらなさによって見事に”うる星やつら”を語りきった後作られていくこのお話は、”うる星やつら”がどのような物語であったか、既に答えがある状態からスタートしている。
 それをただなぞるのでは今放送されるアニメとして、十分”うる星やつら”にならないからこそ細やかな変更を加え、また放送されるべきエピソードを選んでこのアニメなりの”うる星やつら”を探してくれている作品が、どうあの最終回にたどり着くのか。 チェリーがこのタイミングで『この話は、少年と少女が出会い終わらない追いかけっこをする物語だ』と告げる道は、かなり真っ直ぐ”ボーイミーツガール”へと続いてる。

 原作全366話を軒並みアニメにするには、4クール約100エピソードは結構少なくて、”うる星やつら”のエッセンスをどこに見出しどう紡いでいくか、アンソロジーとしての手腕がかなり要求される令和の再アニメ化だと、僕は思っているのだが。
 倫理観や文化風土もひっくるめて、かなり”原作そのまま”に展開しようと努力しているこの物語が、見事に”うる星やつら”をまとめ上げた(そして豊穣なる未完の響きを作品世界に残し得た)あの最終回へと、しっかり残りの歩みを進めていく決意みたいのを、唐突に挟まれた現状確認から感じたりもした。
 気づけば残り2/3、キャラの顔見世に話数を削られなくなったこの状況からどんな風に”うる星やつら”を編んでいくか、今後も楽しみにしたい。

 

 

 

 

画像は”うる星やつら”第18話から引用

 というわけでAパート投げ込まれるのは、クラス全部を巻き込んだ大騒動、キスを巡るドッタンバッタンの追いかけっこである。
 ラムの宇宙的発明品、あたるの野放図な欲望、周囲を巻き込み加速していく暴走。
 ああいかにも”うる星やつら”といった、良いコクのあるお話だなぁ……。
 『もう〇〇はこりごりだよ~』が、様式としてコスられる以上の新鮮味とギャグとしての切れ味を持ち得ていた時代のオチが、今は蛍光色で彩られるノスタルジックな”様式”そのものになっているのに、時の流れを感じるね。

 当時は流行りネタだった名曲も今の視聴者だれも知らないので、キッチリ権利貰って堂々原曲を流すことで理解らせるという、パワー勝負の演出が良い。
 つーか清志郎死んじゃってるしな……。
 アバンの振り返りといい、贅沢に尺と作画リソースをブッ込んでどっしり見せる場面が多く、今回はお腹いっぱいラムの可愛さを堪能できた。
 白衣ビキニ、動かされると相当ヤバい絵面でいいな……。

 

 

画像は”うる星やつら”第18話から引用

 Bパートもある意味追いかけっこ的というか、ラムから逃げたいあたるにデス料理……というか宇宙由来のデス味覚を携え、ラムが天真爛漫に追いかけてくるお話である。
 『地球料理は味しないけど、ダーリンが食べさせてくれるなら美味しい!』と微笑むラムには、健気を超えてどっかぶっ壊れた雰囲気が宿っていて、あくまで異星人同士のラブコメなのだと思い出させてくれた。
 時折こういう、詩情の爆弾みたいのが騒々しさの中ぽわっと浮かび上がってきて見てるものを殴るのが、高橋留美子作品の良いところだと思う。
 主にランちゃんが大被害を被ってる、ラムの都合のいい純真な鈍感が色濃いエピソードでもあるな……。

 今回のお話はAパートもBパートも友引高校が舞台であり、さんざんぶっ飛んでる主役に負けず劣らず、やりたい放題イカれてるお話の舞台それ自体が、自分を主張してくるようなエピソードでもあった。
 誰かが特権的に話しの主導権を握り込み、高い位置に立って状況をコントロールしてる構図はヤダ味を強めるが、このお話は皆平等にぶっ飛ばしあい、振り回しあい、男だろうが女だろうが宇宙人だろうが軒並み、ヒドい目にあってガハハと笑う風通しがある。
 リクリエーションとして『ヤミナベ』を選べる、あまりに自由な友引高校に宿ってるパワーとカオスが、元気に暴れるエピソードだと思う。
 なつーかBパートももはや様式化したアイリスアウトで終わらせてて、オールドスクールリバイバルを大真面目にやっていくこのアニメの方針が、特に濃い回だったね。

 

 

 

画像は”うる星やつら”第18話から引用

 というわけで”うる星やつら”のメインストリームがどこを舞台に暴れまくり、どんな味わいで騒がしく叫び、それを取り巻く人々がどんだけはた迷惑で楽しく”うる星”のか、よく感じられるエピソードでした。
 個人的には手足の短いテンちゃんが、ふよふよふよふよ空を飛ぶシーンがたっぷり詰まってて、満足度がメッチャ高かったです。
 やっぱ令和テンちゃんバブっぷりが凄くて、めちゃくちゃ可愛い……散々おませな態度を取っておいて、いざラムからキスされると『そんなんやない!』って自分たちを守ろうとするの、シャイな小さなジェントルマンで本当に好き。
 登場人物全員好きだけども、やっぱ特に好きなキャラというのはいるもんで、ランちゃんテンちゃん出ると特にテンション上がるなぁ僕は……。
 作品の原点と本道、そこから伸びていく決着を確認した所で、さて次回は何を描くか。
 とても楽しみですね!!