お勧めありがとうございます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
結構前に見ておりまして、しかし感想書く機会を取り逃しておりました。申し訳ない。
せっかく頂いた”機”なので、下にツリー繋げて感想書こうと思います。#マシュマロを投げ合おうhttps://t.co/vS4ClBCb6N
映画”BLUE GIANT”の感想を、今更ながら書く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
二時間の映画としてまとめるべく、大の上京からSo Blue出演までにギュッと濃縮して描かれる、青い青い三人の時代。
兎にも角にも東京が青く、美しく描かれ続けるのが良い。
ビルも橋も何もかも青い場所では、当然人間も青い。
その青さは様々な意味合いを内包していて、未熟ながら強く伸びていく野心の色で、齧れば苦い反発の色で、何よりも熱いからこそ青い青色巨星(Blue Giant)の色合いだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
そんなキャンバスに三者三様、JASSの個性と人格と青春が叩きつけられ、音を奏でていく二時間は濃厚で豊かだ。
『音が聞こえてくる漫画』として、別格の迫力を誇った作品をアニメにする上で、いかに”原作通り”にやりつつアニメだけの、映画だけの強さを生み出すか、色々考え工夫されたからこそ、その豊かさは色を宿す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
例えば青を補うように、時折夜に溶け出すサックスの金色。
個性と野心がぶつかりあい、混ざり合いながら高まっていくステージの鋭い表現として、サイケデリックな映像表現が元気に生きる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
音楽担当が全霊を振り絞ってJASSの演奏を形にしている奇跡に、音楽と出会う瞬間の高揚や目覚め、捻じれ移り変わる魂をアニメートする手腕が混ざり合う。
原作で印象的な”石黒線”ともいうべきラフな表現も、良い使い方で取り込みつつ、青く美しい東京に息づく青年たちの息吹は、思わず前のめりに応援したくなるような生っぽさで、上手く命を手に入れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
ハレの場であるステージの奔放な想像力を、地道で淡麗な日常の描き方でしっかり支えている緩急。
JASS全員が地方出身者であること含め、東京を舞台とした映画として、なかなかいい手触りだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
ジャズがイメージとして持つ、都会的で洗練された絵面を随所に輝かせつつ、豆腐屋のおじさんが汗を流して仕事し、若造が安アパートで曲に向き合う、命の場としての東京。
それがちゃんと描かれていることが、人間と音楽のドラマが踊る土台として、なかなか良かったんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
そこで描かれる物語は、三人の若者の人間ドラマ…というには、宮本大が映画内部で手に入れる変化が、如実に少ない。
原作であった喧嘩も失恋もない、ジャズに向き合う機会のような、壊れた質感
ツッパって鼻持ちならない所から、なぜ音楽をやるのか過去の思い出の中に、今目の前にいる人間とのふれあいに見つけ、かっこいい自分を飾っていたイメージを投げ捨てて、魂を絞り出すソロに挑む雪祈とも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
ド下手くそな素人として始まり、出来ない自分に涙し、ボロカスになりながら必死に叩く玉田とも
違った遠さと静かな熱量で、映画の中の大は描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
それは後にBlue Giantになることが、挿話されるインタビューから明らかな彼が持つ天文学単位の遠さと、星に行き逢い刺激しあい、追いつこうとしたからこそ生まれたJASSという奇跡を、短い時間で際立たせる工夫に思える。
非人間的なまでに音楽にだけ向き合う、映画の中の宮本大。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
その揺れなさ、間違えなさが作品の主柱として立ち続けるからこそ、腕はあっても人間を間違えてる所からスタートし、自分と音楽を見つけていく雪祈の物語も、見事に映える。
あるいは玉田の、ど根性ドラム物語も。
そしてうやって大を遠いジャズ宇宙の彼方、間違えない神様として高く上げた筆あってこそ、雪祈を襲った悲劇に初めて涙し、瞳を揺るがせる人間味が、不意打ちに刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
人間の表情を色濃く切り取る原作の筆致を引き継いで、この映画は眼が良い。
傲慢、不安、哀切、確信。
様々な色を反射して青い若人の視線が、多彩な色合いで描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
そんな中、大の瞳は大きくまっすぐ見開かれて揺らがず、ただただ弾くことに向いている。
その残酷さを指摘するのが、口ではスカして冷たい野心をうそぶいてる雪祈である所に、良い可愛げの作り方もある。
見ている側もある種の甘えを、青色巨星のように大きな大の眼に預けるよう、お話が組まれてもいて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
『ああ、そういうやつなんだ』と不用意に確信したあたりで、トラックが運命を轢き潰して、大が泣く。
雪祈や玉田の震える青春に想いを寄せていればこそ、その衝撃はデカい。
考えてみれば当たり前で、豊かなる混色と眩暈をステージに刻みながら、人間が生きることそのものなのだとジャズを描いてきたこの映画の主役が、震え迷い泣く”人間”でないということはありえない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
仲間二人が表に出せた悩みや苦しみを、大だって当然抱えていて、それでも噛み締め噛み砕きながら…
自分の音楽を信じる気持ちで東京に出てきて、前に進んできた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
自分が進めば、必ず同じだけ追いついてくれると信じられる仲間と、追い抜かれたら必ず追いつくのだという信念を込めて、必死に走ったのだ。
その青春の伴走者が、絶頂を前に砕ける。
当然、泣くだろう。俺も泣く、原作でも映画でも。
So Blueに雪祈を”間に合わせた”アレンジは、その後にSUPREMEが続きはしない映画で不協和音を残して終わらないためのレトリックであり、今はストーリー原案としてクレジットされているNUMBER 8氏が、連載当時は選び得なかったもう一つの物語として、選んだ結果だとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
あんだけの熱量で二時間、様々な感情と色を込めた蒼を描いてきた映画がたどり着くべき場所に、残酷とそれを超えていく意思を描くよりも、三人がたどり着いた頂点としてのSo Blueを刻む納得が相応しいなと感じれて、良いアレンジだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
青臭く形にならないまま燃える火が、合わさり生まれる炎。
それは灯台のように都会に燃えて、そこで生きている人を引き寄せ、導き、揺さぶった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
それが炎であるがゆえにかき消えて、なお確かに奇跡であり永遠であった時間が、万雷の拍手の中で強く燃える。
そう出来る存在としてのJASS、それを体現する音楽としてのJAZZ。
作品の中核にあるテーマとキャラクターを、どうアニメとして描ききるかに向き合った結果、選び取られた三人のアンコール。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
そこに一番心が入るのが、いい映画、いいアニメの証明だと感じられた。
そこにいたるまで、勝負どころのステージがそれぞれテーマをもって、強く表現されていたのも良い。
綴られてきた物語と、一瞬の表現が。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
今目の前で終わっていくものと、それでもずっと残るものが。
複雑に入り混じって、とてもシンプルに心を揺さぶる、感覚交錯的なステージを、絵と音が入り混じり、空想と現実を飛び越え、自在にアニメートさせる表現で叩きつけられる。
それはJASSの青春、JAZZという音楽と同じくらい、アニメーションという表現を信じたからこそ生み出された、美しいファンタジーだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
音楽映画としての仕上がりと同じくらい、アニメとしてパンパンに力んだ、気合の入った表現を感じ取れたのが、僕は好きだ。
というわけで、大好きな漫画を素晴らしい表現力でもって”アニメ化”し、二時間の映画として独特の魅力を刻み込み、アニメだけに出来る魔法をたっぷり叩き込んだ、とても良い作品でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月28日
結構飛ばされてる部分は多いのに、過不足ない満足感で席を立てるのは、やっぱり凄い。
面白かったです、ありがとう