Dr.STONE NEW WORLDを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
豚だ石油だ航空写真だ!
次々登場する科学の武器をつなぎ合わせて、ついに海へと漕ぎ出した千空たち。
順風満帆万事快調! …と思いきや、届いたノイズに死の響き…という回。
でこぼこ道をみんなで乗り越えていく充実感と、ラストの冷水ぶっかけ感の対比が最高。
三期始まってからこっち、戦争する相手もいない中で地道に内政と技術開発、情報収集に励んできたこのお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
大目的である文明復興のために、外洋に出ていく必要があって、そのためにはシュトーレンだの石油だの、色々欲しいものがある。
ここまでの三話は、長尺で下準備を追いかけてきた形だ。
とはいうものの、その下準備はつまり”生活”であり、生きがいだとか人の繋がりだとか、大変大事なものがみっしり詰まっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
この手触りを疎かにしないのがドクストの良い所で、久々登場となったスイカとフランソワが名コンビになったり、麦が収穫を迎えたり、過ぎゆく季節は喜びに満ちている。
物語を牽引する千空が明朗な合理主義者なんで、文明復興という最終目標はブレないまま、途中経過は大事にされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
意外な結びつきによって思わぬ発見が生まれ、文明の諸要素は有機的に関連しながら進んでいくと知っているので、一見寄り道に見えるものにこそ、価値があるという態度にもなる。
これは千空ちゃんが科学の概念存在であり、現場で色々発明している時には見えにくい繋がりを、俯瞰後出しで確認できるから、可能な態度でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
一体何の役に立つのか、新たな可能性が生まれた現場の『後に古くなっていく価値観』は判断しにくいが、千空ちゃんは偏見ない叡智で、価値を見抜く。
ウェットなことが苦手なシャイボーイでもあるので、千空ちゃんは自分が極めて公平かつ情の豊かな為政者であることを認めないけども、大目的のその先…『なんで文明を復興させるか』ということに関して、凄く明瞭な意識を持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
それは、人がより善く暮らすためだ。
楽しいうんちくと愉快な発見に満ちたこのお話は、マテリアルな質感を一つの精神的価値観でひっそり包むことで、統一したムードを作っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
科学を通じて生み出されるモノは、心ある人たちの人生を豊かにし、脅威と理不尽を退けるために使われる。
使われなければいけないのだ。
なので合理合理とうそぶきつつ、スイカが悲しむ屠殺はやらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
明瞭なロジックは曖昧で不定形な幸福のためにある(べき)で、徹底して冷静であるのは冷たい機械になるためではなく、感情に乱されてより善い人間ではなくなるピンチを、招かないためだ。
精神論で仕事はできない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
一見冷たい物質主義者の言だが、千空ちゃんがフランソワに食糧事情の改善を求めたのは、かつてあった餓死の哀しみを村から遠ざけ、明日を生きる活力を食事から得るためだ。
喜んだり悲しんだりする、計算しきれない人間の心が、確かにそこに在るのだと。
それをより正しく守るために、科学はある(べき)なのだと、千空ちゃんは自分のゴールを常に見定める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
この輝かしい教条を堂々掲げるのは、クールな科学少年にとってはダサいし、社会を都合よく回すための題目になってしまえば、血の通わない道徳機械に墜ちかねない。
なにより千空ちゃんの興味は科学のワクワクにこそあり、道徳を他人に説くのは『唆らない』ので、あんま表には出さないけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
自分と仲間が何を目指して進む(べき)か、主人公がよく見据えている話である。
この通徹した目的意識、解りやすい目標に縛られないスケールが、リーダーとしての優秀さよね
『唆る』という、皮膚感覚的な興味を行動理念にさせていることは、主人公から説教臭さを抜き、自発的に前のめりに夢に突き進む時生まれる熱を、作品に宿してもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
『べき』をしっかり把握してる千空は、同時に一個人としての自分が何に滾るか、それだけを判断基準に自分を動かす。
やりたい事とやるべき事が一致しているので、全体像が見えていながら高所であぐらをかかず、汗を流して現場で仕事もするし、上下関係にも興味がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
自分には足りない才能を持つ仲間と、それぞれが感じる滾りを重ねて、もっとより良い場所へと進む。
そこがなにより大事なのだ。
航空写真班、画像分析班、現地調査班。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
役割を分担しながらの石油探しは、権力への意思が極端に乏しい千空がどんな社会を生み出すか、上手く描いていたと思う。
皆が自分の出来ること、するべきこと、やりたい事を上手く噛み合わせて、大きな目標と目的のために前進していく。
そんな『あるべき社会』を描く時、大概貼り付けてくる嘘くさい正しさは上手く後ろに遠ざけられて、科学王国の住民はグルメに舌鼓を打ち、仕事に汗を流し、楽しく日々を過ごす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
その手触りに嘘がないのが、見ているものの実感として千空の歩みが、見据える理想が、正しいことを教えてくれる。
そしてその歩みは、苦労が報われ何かが見つかり、それがすでにある叡智と結びついて未来を切り開く力になっていく、前進の手応えを物語に宿す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
ウロウロ楽しく下準備してきたものが、人材含めてガッチリ噛み合い結果を出す。
やっぱりこういう描写、見ててめっちゃ面白いな…。
その順風満帆な足取りが、唐突なノイズでぶち壊しにされて雰囲気が冷えて、次回に続く…である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
人類石化の原因に、最悪なファーストコンタクトぶちかまされて千空ちゃんが、凄く凶暴な顔をするのが好きだ。
相変わらず、怒り続けてんだなーと思った。
千空ちゃんが文明復興を目指すのは、ヒトという種が基本肯定的な価値を生み出せる、善き存在だと信じるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
色々バカもしでかしつつ、しかしドスゲェ発明や発見を積み重ねて、人類は世界を広げてきた。
空から降り注いだ死の光線は、その積み重ねを無に帰したのだ。
かつて奪われた善きものを取り戻すべく、千空ちゃんは航空写真を睨み、海馬をほじくり、船を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
それは誰も殺さない彼の闘いで、前進するためのガソリンは人の善性への信頼と、それを簒奪する全てへの憎悪だ。
戦争、飢餓、不当な支配。
そういうモンに、千空は全く唆られない。
だから世界を書き換えて、自分一人で出来ないならそれが可能な人材を片っ端から集めて、人間がもっとより善く、もっと凄く、もっと面白くなれる場所を目指す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
主人公が一番、”欲しい”のスケールがデカくて正しいのが、欲求を正義とする物語においては大事なことだ。
同時にその制御系が精密で、観測系が的確だからこそ、桁外れの欲望は他人を不幸にするのではなく、幸福を広げる未来へ進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
巨大な理不尽を前に、戦士の顔で宣戦布告できる強い心が、人類の乗る新たな船を海へと進めていく。
そういう燃え盛る闘士が、千空の根っこでずっと燃えていること。
それを確認できる、とても良い回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
こういう闘士のメンタリティを、まーったく物理闘争に向いてない体に同居させて、主人公無双にならんようバランス取ってるキャラ作り、やっぱ巧いよね。
人間には必ず、出来ないことがある。
同時に必ず、その人だけが出来ることもある。
なら各々の得意分野を繋ぎ合わせて、スムーズに事を為していくほうがロジカルだしエシカル…なので、千空ちゃんは思いの外、人を大事にしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
シャイなので、これもドヤ顔で表に出したりはしないんだけども。
そこが可愛いよね、千空ちゃんは。
文明壊滅させた憎っき敵の声を確認し、主役の闘志が赤黒く燃える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月20日
人類石化の謎を解き、より善き世界へ漕ぎ出す、長く険しい旅路。
それがどこを目指して進み、なんで前に進めるかをしっかり確認して、いよいよ大航海の始まりです。
次回も楽しみですね!