青春予報は土砂降りのち晴れ、織姫彦星どこ行くか!
観測会がおじゃんになっても、夏休みはまだまだ続く。
君は放課後インソムニア、灼熱の第9話である。
まーメッチャクッチャイチャイチャしておるよ本当にッ!
雨中の停留所で危険領域スレスレまで接近した結果、伊咲ちゃんの恋心がスイングバイを始め、ガンガン丸ちゃん小惑星に向かってアタックを仕掛けだしていた。
部費も降りねぇバイトも受からねぇ世知辛い世間で、生真面目に実績出そうとしてる天文少年の夏は色んな連中に助けられてまだまだ終わらねぇッ! ……って所に、派手パンお姉ちゃんが同行を申出してさぁどうなる!!
まぁこのまま放っておいたらあの男女、接触発火融合まであっという間だろうし、もう一つカベ用意して夏を盛り上げていくのも一興か。
残り数話、ゆったり彼らの歩みに寄り添ってきたアニメが何を書いていくか、楽しみが増すエピソードでした。
というわけでAパートは丸ちゃんのバイト奮戦記。
このアニメらしい焦らない足取りで、過剰な荷物を背負い込もうとする生真面目青年の夏を追いかけていく。
伊咲ちゃんが眠れぬ理由が死の実感にあることは結構明瞭に書かれてきたけども、丸ちゃんの家庭環境、父との距離感はまだ不明なところも多かったので、お金を通じてそれが見えてきたこと……眠れぬ夜を生み出す原因を伊咲ちゃんにも語れるようになった描写は、不思議と安心した。
駆けずり回ってる当人は常時大真面目で、その苦悩もまったく洒落にならないわけだが、恋に悶え絆に悩むその仕草はなんだか微笑ましくて、不器用な足取りで突っ走る様子を微笑みながら応援もしたくなる。
やっぱ主人公がチャーミングな作品は強くて、ことラブコメディだと特に大事だなぁ……などと思う。
星に写真に、素敵な女の子。
楽しいと思えるものが増えてきた丸ちゃんを、間近に支える受川くんの存在感がやはり眩しいが、今回は白丸先輩が美味しいところを持っていった。
自由人でテキトーな先輩と、硬すぎる丸ちゃんはいいコンビであり、伊咲ちゃんとの甘酸っぱい戦友感とはまた違った良さがある。
困った所に助け舟、待ってましたのお互い様が真夏に眩しい解決は、そういう組み合わせの良さを生かしていたと思う。
自分を大事に思っていないわけではなく、愛情のバランス感覚がどっかぶっ壊れた父親との関係に悩んでいる様子をスルッと見せれたのも、白丸先輩への信頼の現れだと思うしねぇ……。
天文部の活動に勤しむことで、眠れぬ夜を生み出す人生の重荷を色んな人に預けられるようになっているのは、見ていてとても嬉しいことだ。
そんな夏の特別はやっぱり曲伊咲であり、ありえんほどイチャイチャしてた……。
祖母の家借りて活動拠点にする算段付けるわ、ナンパ絡みでジャブ入れてくるわ、一段回強めのスイッチがガチっと入ってる感じがある。
カニちゃんがモテモテな未来を夢想する後ろで、彼女だけのシャイボーイに狙いを定めてグイグイ来てる感じには頂点捕食者(エイペックスプレデター)の迫力があり、『が、丸ちゃんが喰われちまう……』とビビり倒した。
やっぱあの雨中の停留所、特別なロマンティックが動き出した手応えは嘘じゃあなかったな……。
二人きりの合宿ちゅう激アツシチュエーションでこの勢いがどうなるのか、『結果は見えてんだろ……』と思ってたらお姉ちゃんが釘差し込んできて、いい塩梅に終盤の山場という感じである。
家族関係が相当ガタついてる中見家に比べて、曲家は健全な監視機能もまだ生きてる感じがあるので、そらーお目付け役も用意するよなって感じだけども、お姉ちゃんから伊咲ちゃんにどういう感情があるのかが、撮影合宿の温度を決めそうだ。
予算不足にヒーヒー言って、工夫と下心をないまぜにしながらなんとか、実績生み出すチャンスに近づいていってる手応えは、部活のお話らしくて好きでもある。
一山越えてまた一山、生真面目ボーイの青春は山あり谷ありだが、そういう場所を走ればこそ実感できる楽しさやありがたみが、彼を抱きとめる様子もこのアニメ、焦ることなく届けてくれる。
合宿本番、何が見れるかとても楽しみだ。
……っていう、ポジティブな青春物語の合間にぶっこまれる”死”の匂い。
飲み干す薬に、脇腹の傷。
伊咲ちゃんが不安な夜に眠れない理由は、遠くに去った杞憂ではなく間近に彼女を狙っているのだと教えるかのように、インサート・カットが突き刺さる。
上手くいったと思ったらぶち壊しになり、その残骸からでもまた立ち上がっていくお話だってのは、前回どしゃ降りの雨の中色濃く描かれたところだけども、伊咲ちゃんの心臓をどう扱ってくるかも、気にかけたいポイントですね。
次回も大変楽しみです!