イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

好きな子がめがねを忘れた:第1話から第3話までの感想

 どんなネタでもギラギラグルグル、俺たちのGoHandsが帰ってきた!
 やり過ぎ感満載の第1話でぶん殴られた後、しばらく様子を見ていた相手固定1on1系ラブコメアニメであるが、第3話まで見て結構好きなお話であったので、視聴と感想を続けていくこととなった。
 同じクールに放送されている”デキる猫は今日も憂鬱”でも、まーったくおんなじ調子のビカビカ彩色、歪なカメラワークとアングル、過剰なモッタリ感で日常を描いており、『俺たちはどんな素材だろうが、ギトギト豚骨で煮込むぜッ!』というある種の”覚悟”みたいなものが感じ取れる。
 『元々素材の味が濃い異能バトルならともかく、楚々としたまったり感が味なはずのラブコメや日常コメディも自分たち色に染め上げきるのはマジどーなの?』と思わなくもないが、ことこのお話に関してはGoHandsスタイルとの相性は悪くない。
 ビッシャビッシャに浴びせかけられる濃厚ビカビカ汁を跳ね返す独自の臭みもしっかりあって、結構いいマリアージュになってる気がする。
 クドさとクドさが絡み合うと、独自の旨さが生まれる!!

 

 お話としては恋に魅入られた中学生が延々脳髄をLOVE女子色に染め上げながら、すれ違っているようで噛み合ってる奇妙な日常を、ドンドコ走り回る感じである。
 主人公の小村くんが結構気持ち悪い(褒め言葉)思考してて、恋する中学生男子の独り相撲感あふれるモノローグの過剰さが、いい具合にキャラを立ててくれる。
 話に都合の良すぎる聖人というわけでもなく、ただひたすらに好きな子がめがねを忘れて至近距離でグイグイくる状況に翻弄されつつ、時折どす黒い嫉妬や妄想を表に出しながら、自分を律して献身する。
 このエゴと博愛のバランスがなかなか丁度良くて、何気ない風を装いつつ内心常時バッツンバッツン、体温高い恋愛に翻弄される様子がコミカルで楽しい。
 僕はこういう形式のラブコメだと、主役がある程度以上味の濃い変人であったほうが嬉しいので、この力み加減は大変良い。

 そんな風に小村くんを狂わせるキューテストガール、三重さんも負けず劣らずの変人で、野武士っぽい言葉遣いを多用するやりたい放題天然野生児感が、見ていて楽しい。
 『好きな子がめがねを忘れた』という作品の根本を成立させるために、常識のネジを二本三本外したイカレ女がヒロインである必要が出てくるわけだが、その崩し方、壊し方がなかなかチャーミングで、野生動物を観察しているような面白さがある。
 そんな三重さんを可愛く描くことに関しては大変な気合が注がれており、ラブコメで一番大事なヒロインへの好感度をきっちり稼いで、小村くんが狂ってしまう展開にちゃんと納得できるよう、大変かわいく仕上げてくれている。
 時折挿入される異様なハイクオリティ情景(ていうか第1話の作画は常時そのテンションだったけど)が、なんてことない世界が恋でギトギトした色合いに色づき、幸福な狂気に男子中学生が染まっていく説得力、女子中学生が狂わせていく納得力を、しっかり生んでいる。
 あきらかにやり過ぎな歪みや輝きに満ちたコッテリ画面が、小村くんが三重さんを見つめることでどんだけイカれているのか、問答無用の圧力で納得させてくるのは、パワーあるしお話と噛み合ってもいると思う。

 

 天然少女が無自覚に変人少年を翻弄する展開が続くと思いきや、想定より早く三重さんが『あれ……小村くんのこと好きかも……』と自覚しだすスイッチが入って、一方通行なイカレ具合ではなくなってきたのも、大変良い。
 一方的な献身を身悶えしながら捧げるだけのアンバランスから、その熱烈を受け取って天然少女のペースが乱れ巻き込まれていく相互性へと足場が写ってきて、延々同じ距離感を保ち続ける停滞感を、結構早い段階で切り崩してきた。
 僕はイカれ野郎のイカれた引力に引き込まれ、ズブズブイカれた関係が作られていく話が好きなので、自意識パンパン少年と野生児美少女がお互いの引力圏に引っ張られ、幸せにイカれていく過程を見れるのはとっても愉快だ。
 こういう系統の作品の常として、告白しちゃったら一つのゴールだとは思うのでしばらくはすれ違いが続くと思うけども、お互いモヤモヤ甘酸っぱい……というにはギトついた感情をブン回して、仲良くワイワイ過ごしてほしいもんだ。
 小村くんの過剰な思いに気づかず絆されず、一方的に利用する歪な関係にはならず、三重さんもその独自の感性なりに小村くんのこと結構LOVEな平等さが、とってもいい。

 なにしろメインカップルふたりとも結構なイカレ人間なので、爽やか青春味だけ料理し切るのは、存外難しい。
 常時あふれかえる小村くんの過剰なモノローグ、三重さんの天然力へのツッコミを脂ギッシュな画面がうまく受け止めて、臭みと臭みのマリアージュでいい所に落ち着いてる印象だ。
 あまりに眩しい季節を純白に駆け抜けていく清涼感とは程遠いが、変人恋愛観察コメディとしてはなかなかいい味わいであり、類似作が林立するレッドオーシャンなジャンルの中で、良い独自性を醸し出せていると思う。
 第3話にしてクラスメイトをカメラが切り取るようになり、『さーすがに基本パターンだけで回し切るのもキツイよなガハハ!』と、悪いオタクの岡目八目炸裂させたりもしたが、東くんの書き方が凄く良かったので、そういう横の広げ方にも色々期待できそうだ。
 珍獣少女と健気少年の甘酸っぱい関係性を、遠巻きに見守りながら堪能しているクラスの空気も大概ヘンテコなので、今後も色んな奇人変人がわっさわっさと生えてきて、異様なカロリーでギトつく画面の中を自由に暴れてくれると、なかなか楽しいと思う。
 現状かなり類型的なキャラ造形と展開で、そのわざとらしさが過剰な画面づくりと反応して面白くもあるわけだが、時々腰を落ち着けてキャラの内面に入る、静かで重たい話とかも混ぜてくれると、良い味変になるかな~。
 そういう真顔の表現にこそ、GoHandsが延々ブン回しているスタイルは効くと思うし。

 

 あきらかにやりすぎている表現方法をどう扱い、どう持て余していくかの1クール観察日記という、底意地の悪い楽しみ方も含めて、すごい変な感じで僕に刺さるアニメとなっております。
 自意識バキバキ愛情満載献身少年と、自由奔放珍獣美少女の奇妙な青春は、一体何処に流れ着くのか。
 次回もとっても楽しみです!