イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Lv1魔王とワンルーム勇者:第3話『僧侶フレッド』感想

 おかん系魔王と自堕落勇者のドタバタ共同生活アニメ、今回は捨てたはずの過去がワンルームに迫ってくるお話。
 このアニメの強み(だと僕の感じている)バランスの良さは今回も健在で、希望と栄光に満ちた過去と何もかも変わり果てた今が対比され、第2話まで支配的だったグダグダダイナシ感がちょっとナリを潜めて、行く所まで行ってしまった勇者パーティの現状をシリアスに掘り下げていった。
 『このまま重たい展開に沈んでいくのかな?』と思わせておいて、ずーっと画面の端っこ専有して気になってた幽霊がいい塩梅にひっくり返して、生真面目一本で進むかどうかはまだまだ保留というオチの付け方も、とっても良かった。
 ここら辺の押し引きのセンス、見ていてとても引っかかりが少なく楽しめていて、まったく有り難い。

 どんだけぐうたらダメダメになっていても、マックスが勇者であり仲間たちと本物の絆を紡いできた過去は事実。
 その重たさを結構気合の入ったファンタジックバトルを通じて、観ている側に伝える回にもなった。
 10年前と現在の演じ分けがどれも良くて、ザ・勇者って感じの過去マックスで最近摂取できないタイプの中村悠一を堪能したり、その溌剌とした瑞々しさがすっかり擦り切れちゃった現在マックスに悲哀が混じったり。
 うさんくささにアツさを滲ませるフレッドの芯は今も昔も変わらないのに、片や出世の階段を上り詰め、片や天狗になって泥に塗れている立場の違いが、どうしてもすれ違いを生んでしまう感じも良い。
 魔王は自軍皆殺しにされて自分もぶっ殺されたわりに、過去を水に流しすぎ勇者のこと好きすぎだけども(そこが良い)、人間たちはなかなか10年分の荷物を投げ捨てられない感じで、いい具合に苦み走ってきた。

 

 ワーワーギャーギャー騒がしくも楽しく、ダイナシコメディやってる場面も好きなんだけども、色々ぶっ飛ばしつつマックス達が確かに勇者であり、だからこそ現状なかなか上手く行っていない難しさは、なかったコトにしてほしくない。
 そういう僕の好みをしっかりすくい上げる、シリアス展開の序章って感じだった。
 魔族スキャンダルをちらつかせながら協力をせびる抜け目のなさと、それは全部かつての仲間をすくうためという真っ直ぐさが入り混じって、フレッドはかなり美味しいキャラ立ちしていたと思う。
 ザ・戦士って感じのタフガイっぷりを発揮していたレオが、10年経ってどんな変わり方をしているかを見るのも楽しみだけど、戦争寸前のバチバチした所まで行ってる理由を、どんだけの重さで書いてくるのか。
 第2話までの調子だと下らなくろくでもない感じになりそうでもあり、今回の雰囲気だと譲れぬ重たさを宿しそうでもあり、どっちに転がっても面白そうな、作品の方向性を占う試金石になりそうだなー。

 んでまぁそういう重たい十年間、バッチリ死んでた魔王はなかなか入っていけないわけだけど。
 ビシャビシャになった魔王のズボンを脱がそうとする姿は、間違いなく年下の世話焼きママンであり、”僕の妹は「大阪おかん」”大好き人間としてはこの路線で是非! お願いしたい。
 かつての親友の頼みを素直に食えないくらいヒネたマックスにとって、魔王とのドタバタ楽しい日常はネジ曲がった心を癒やす大事なモンになりつつあるわけで、今後昔なじみの因縁が発火する中でも、どっかで存在感示して欲しいもんだ。
 まーダメダメ勇者と一生キャッキャしてるのでも、全然いいんだけどな……メインキャラを前のめりに好きになれると、視聴がスムーズになるからありがたいね。

 

 というわけで、今までアッパーテンションな展開に埋もれていた過去が、ゴリゴリ前に出てくるお話でした。
 こっからどう転がして活かしてくるか、そこで各キャラがどういう地金を見せてくるか、大変楽しみです。
 重たく生真面目な雰囲気の中でも、小気味良い笑いとダイナシ感差し込んでくる手際も確認できたんで、やや方向性が変わってもお話独自の面白さは損なわれず、上手く運んでくれるかなーと期待しています。
 次回も楽しみですね!