イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Lv1魔王とワンルーム勇者:第12話『彼らがもたらしたもの』感想

 漢の土下座が世界を変えて、平和な日々が続いていく。
 アニメ”Lv1魔王とワンルーム勇者”、遂に最終回である。
 前回の激闘の余韻をしっかり収めるべきところに収めて、とても良いエピローグだったと思う。
 ドタバタやかましく八方破れ、好き勝手やっているようでいて話の端っこが丁寧に正統派なのが好きな作品だったので、終わり方も真っ直ぐ心地よくやってくれて大変良かった。

 何しろ出だしから、魔王様とマックスの全開イチャコラである。
 ずーっとこれが見たかったし、これを見たことで話に前のめりにもなれたので、最終話初っ端からたっぷり食べれてありがたかった。
 魔王様がなんでこんなにマックスに惚れ込んでいるのか、結局核心は描かれなかった感じもあるが、『愛に理由などないッ!』と言われれれば飲み込めるくらいには、二人のことを好きになれた。
 やっぱキャラクターに愛着が湧くのはとても大事で、ガハハと笑えるハチャメチャの中にしっかり、そいつが何を大事に生きているのか、感じ取れる描写があったことが良かったんだと思う。
 10年という時を経て青雲の志はホコリまみれにねじれたけども、時には生命の奪い合いすらしてようやく、消えてくれない自分らしさに帰還して立ち上がり直す……その隣に、自分を好きでいてくれる誰かがいるまとめ方は、とても良かった。

 

 ここら辺のホッコリ感とは真逆に、フレッド周辺の決着はギスギス生臭いというか、まだまだ火種満載というか……。
 ホッコリからは程遠いが、公権力の真ん中に飛び込んで、大人の責任と世界のままならなさに向き合うことを選んだ彼らしい決着だった。
 まーグリムス大臣もキッチリ縄かけて、1クールの範囲で触った要素は丁寧に決着して終わってくれるので、やり残した感じはしない。
 原作の方はここからまだ続いていくわけで、魔王様サイドの彫り込みとか含めて物語燃料は必要だろうから、大臣退場時の捨て台詞はそこら辺と繋がってる感じか。
 自治区長として新たなスタートを切ったレオ含め、あの分かれ道から自分たちが選んだ未来に相応しい結末を手に入れて、大変良かった。

 EDの最後を飾っていた写真で話が収まるのも、定番ながら気持ちよくハマるまとめ方だった。
 やっぱ過去編の見せ方、活かし方が良いアニメで、声優陣の好演にも助けられて、10年前あまりに眩しくキラキラしていたものが、現実の波風にさらされどんだけ煤けたか……そしてそうなってなお、それを勇者たちが諦められないかが良く分かった。
 年経て大声で叫ぶにはあまりに気恥ずかしい、自分たちが誰よりも自分たちらしくいられた、美しい思い出の時代。
 人生のレールを外れかけた連中が、そこへ戻ってくるまでのお話だったので、出発点であり終着点でもある季節が印象的なのは、とても良いことだった。
 ダイナシギャグの火力で押し通すと思いきや、『負け犬たちのワンスアゲイン』として凄くスタンダードな、真っ直ぐだから力強い描写を重ねてくれたことで、お話に揺るがない芯があったと思う。
 痛快で爽快な、素晴らしい娯楽作でした。

 

 というわけで、”Lv1魔王とワンルーム勇者”無事完結であります。
 いやー、面白かったな!
 ドクズに落ちぶれた勇者とそんな彼にべた惚れな魔王が、ドタバタ繰り広げるダイナシギャグもとっても面白かったし、そんな笑いで飲み込めない人生の硬い芯を削り出す手際も、凄く良かった。
 笑いとシリアス、過去と現在がいい具合に混ざり合い、お互いの魅力をしっかり高めてくれるお話でした。
 国家レベルの衝突にスケールを拡大しつつも、お話の真ん中には10年前共に戦った仲間たちの絆と思い、それだけではどうにもならない現実の苦さがしっかりあって、人間味のある熱さを楽しめました。
 常時張り詰めたハイクオリティではないけども、要所要所ではしっかり刺さる見せ場を作り、メリハリの効いた仕上がりを維持してくれたのも、とても良かった。

 最後まで見届けてみると、その言葉のほんとうの意味で”丁度いい”アニメで、凄く面白かったです。
 何かとナメた意味合いで使われがちな”丁度いい”ですけど、その範疇にピタッと針を合わせて作品を作りきる為には、熱意と技量、的確な分析眼と作品全体を制御する腕がいるんだなー、と新たに思い知った。
 アニメの制作本数がメチャクチャ増えている中で、最初から最後までしっかりと、良質な娯楽作を作り切ってくれる誠実さは、凄く嬉しいものでした。

 この手触りと空気感のアニメに、安心して体重を預けて1クール見届けられるってのは、結構貴重……かつとても幸せなことで、ありがたい限りでした。
 最初想定していたよりも、魔王様とマックスがラブラブであり、糖度高めにイチャイチャ接種できた所とか、世界を救った超人たちが演じる人類の規格外な限界バトルとか、自分の舌に合う描写が多いのもグッド。
 思い返してみると10年分の苦労が鎖になって、なかなか素直に熱血できない少年達のツンデレ絵巻でもあって、『オレの好みにドンピシャじゃん!』ってなった。
 一生悪態付いてるくせに、誰よりも仲間が好きなフレッドの”完成度”が、オレは好きだよ……。

 

 毎回心から楽しみ、スッキリと見終わることが出来る、とても良いアニメでした。
 お疲れ様でした、ありがとう。
 勇者マックスの復活を、ちゃんと見届けられてよかった。
 楽しかったです!!