イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ブルーアーカイブ:第6話『ゲヘナ風紀委員会』感想ツイートまとめ

 ブルーアーカイブ The Animation 第6話を見る。

 人情も仁義も無垢なる爆風でぶっ飛ばす、生粋の人食い虎達と決着をつける…と思ってたら対外勢力の横槍が入り、意思統一がなされてないほころびを突いて呉越同舟自治区の危機をなんとか撃退するお話。
 各学校が軍隊も統治機構も備えた”国”のメタファーであることはなんとなく解ってきたが、その暴力装置が各々勝手な思惑で条約を破り功を争うキヴォトス情勢、まっこと乱世の趣が濃い。
 ”先生”が所属するシャーレとやらは、超国家的に問題解決を請け負う国連の特別委員会みたいなポジションなんだな。
 授業よりもトラブルシューティングが主な仕事…か。

 

 一話みっしり、超人的な機動と耐久力で暴れまわる銃戦士のバチバチを味わえて、満足度は高い。
 なんだかんだ、イカれた身体能力を生かして疾く強く駆け回る、超人兵士の暴れっぷりを見ているのは気持ちが良く、それもこれもキヴォトスの治安が終わりきっているからである。
 いや実際、中央集権的な統治機構が破綻してる(らしい)にしたってルール無用の紛争地帯過ぎて、硝煙くさい廃校阻止ストーリーをやるには、色んなモノが終わっている感じがある。
 対立してたライバルと肩を並べて『やるじゃない!』するきっかけが、共通の敵になった他国の軍隊とのドンパチって、やっぱ凄いね…シロコ達の未来が、ただただシンプルに心配だよ。

 ワケのわからねぇ混迷の果てに、良くしてもらったラーメン屋爆破しちゃったアルちゃん達の大間違いは、どんな圧力にも屈しない対策委員会の野放図を間近に見ることで、ちょっといい塩梅に収まった。
 やったことがやったことだけに完全に水に流すのは難しいが、監獄にブチ込むにしたって三権全部が死んでるこの世界、”正しい”制裁を通じて己を改めるチャンスは期待できないわけで、あくまで悪党個人の改心、失敗を通じて学ぶ子どもの成長…って形になるのは、まぁ納得。
 ネームド全員学生で、その外側/上層に立つ大人が率先してガキを食い物にしている情勢では、そんな心変わりに寄り添って導く存在は、”先生”以外いなくなるわけだ。

 

 校則(≒ゲヘナ法)違反の便利屋を捕まえに来たと思いきや、本命はそれで釣り出された”先生”の確保。
 掟破りな風紀委員会の直接介入が、策士気取りな横乳人間の独断専行だったのは、ガクー来ると同時に納得もした。
 そらー『ヒナ以外はたいしたことない』言われるわな、この統制の取れなさ…。
 ヒナ委員長は最後の鬼札として、直接戦闘も内面の開示もなく強キャラオーラだけ出していたけど、どんだけ強かろうが暴力装置が政治に首突っ込む危うさは理解しているようで、ハチャメチャ揃いのゲヘナ風紀委員会においては一番話が通じそうだった。
 満を持して登場したホシノの切り札っぷりと合わせて、二大巨頭揃い踏み感良かったな…。

 頭骨に火薬と暴力がみっしり詰まってる感じのイオリの暴走は、零落したとは言え自治権をもつ他国への専横行為となり、ヒナ委員長に頭を下げさせることになった。
 諜報活動と牽制行為が、画面の向こう側でバチバチ行ってる風味も匂わせた今回、治安維持組織の末端が好き勝手絶頂暴力ぶっこいて、それを飼ってる組織…その上にある学校≒国家の足場がグラグラするヤバさが、血気盛んなバトルの奥にちと香った。
 こういう失点を重ねていくと、”トリニティ”とやら相手に政争頑張ってそうな学校自体にダメージデカそうだけど、風紀委員会もゲヘナも、手綱を握りきれている状況ではないようだ。

 まー一部の隙もない完成された統治機構が、効率よく力押ししてくるお話はあんま面白くないだろうし、たった五人の廃校阻止委員会で抗うことも出来なさそうなので、便利屋との協力体制を作る足場にもなった今回のドンパチ、敵が一枚岩じゃないのは『そういうこと』で飲める。
 失点を重ねる部下を束ねきれていないのは、ヒナ委員長の性格故なのか、能力(不足)故なのかは、彼女の描写がもうちょい増えないとなんとも言えない。
 しかしまー、大国っぽいポジションの暴力装置がこんくらいの緩み方だと、そらー四分五裂の乱世にもなるよねという納得はある。
 だからこそ、横断的に活動できる”シャーレの先生”の出番もある…か。

 

 ヒナ委員長がお詫び代わりに情報をくれたことで、廃校を巡る情勢にもまた変化がありそうだ。
 ここら辺、ゆるい方向でもバトルやるにしても、『一話必ず一個は話を進める』つうアニメの方針が、今回も元気だった印象がある。
 アクション面の満足度が高かったので、別にドンパチやって終わりでも良かったのだが、ちゃんと物語すごろくを先に勧めていく意志が見えるのはありがたい。
 状況を対策委員会側に傾けるヒントを、ヒナ委員長が手渡したのが彼女の善意(あるいは悪意)なのか、アビドス再生に”先生”が助力することで彼女や風紀委員会、あるいはゲヘナが利を得るからなのかで、あの子を見る目も変わってくるが…どうなんだろう?

 混迷した盤面を収める大駒として、貫禄十分にあくびしながら登場したホシノの過去も、ヒナ委員長は知ってる風だったけども。
 昼行灯に一瞬マジ顔させる”あの事件”とは一体どんなものだったのか、匂わせるだけ匂わせて踏み込まない塩梅、結構好きな味なので、僕はホシノ丼を二杯平らげなおおかわりした。
 FEARゲーモノなので、それっぽいこと言うだけ言って雰囲気を吸い、細かい裏打ちせずに投げ捨てる行為に親和性と好感がある。
 一生煮えた寝言ばっかり言ってたいね…(TRPGゲーマーとしての、飾らざる本音)
 シロコ達の戦いが激しかったからこそ、ヒナ委員長とホシノは『戦わないこと』でキャラを立てていたのも好きだ。

 

 先週まで通りを埋めていた『対策委員会 VS 便利屋68』つう構図が、『シャーレの先生とその生徒 VS ゲヘナ風紀委員会武断派』という構図にスライドしたことで、その中心に立つ主人公の特別さも、ちったぁ芯が入った。
 ゲヘナ-キヴォトスの現状が無政府状態の騒乱地帯と同じで、銃弾だけを解決手段にしてるクズカスが好き勝手やってる状況だと思うと、国連専門家パネルから派遣された問題解決担当官ってマジ邪魔な存在だと思うから、アコが抑えにかかるのはまぁ納得。
 だけど、もうちょい穏当で陰湿な犯行手段を用意しておかなきゃ、そらー超組織級の実力を持った個人の集合体に、思惑も粉砕されるよねぇ…。

 ここら辺の”政治”の出来なさが、ゲヘナ風紀委員会がナメられる原因の一つなのかなぁ…などとも思ったが、”大人”のいない世界に置き去りにされた子どもの実相だと思うと、無能だバカだと罵るのも筋が違うよなぁ、という感じ。
 やっぱ中枢無き無秩序に白紙の子ども達を放りだして、当然の結果として残酷だったり暗愚だったり正すべき過ちが多く生まれて、そこに介入できる特権として”先生”にPCの当事者性を与えている構造に、自分は結構飲み込めないものを感じているらしい。
 これが神なき世界に放り出されてしまった天使たちの背負う、悪徳と混迷に重なって見えるように、全員にハイロウ被せてるのは好きだな…。

 プレイヤー・キャラクターの介入なしでは、シナリオは必ずバッドエンドになるように編んで当事者性を上げるのは、大事なレトリックだ。
 しかしそれが、善意と成長という本来広範で普遍的な…”先生”の専売特許であってはならない(と、作品の因果を飲んだ上で僕は感じる)モノと関わる以上、美徳も秩序も常識も、砂にまみれて沈みつつあるアビドスの空気で心地よく胸を満たすのは、もうちょい時間がかかりそうでもある。
 ここら辺の引っ掛かりを外すのに、ホシノが裏で何やって鉄火場に遅れたのか、疑念に思っているシロコの描写が、今後いい仕事してくれると良いなぁ、みたいな気持ち。

 ホシノが一人で抱え込んで、後輩に伏せてる何かがあることに、それに守られてるシロコは気付いている。
 愛すればこその孤独と無力を、まぎれもなくシロコの中から湧き上がっている真実の気持ちで抱きとめれたら…そのための助けを”先生”が出来たら、このお話をもうちょい自分の手元に引き寄せられるかなぁ…って感じである。

 

 という感じの、アビドス市街決戦でした。
 ゲヘナが顔出して、個人レベルの奮戦から組織-国家レベルにまで話が拡大したのは、自分的には適度な硬さで食いやすくなって、ありがたかったな。
 色々横槍ありつつ、問題の核心には一歩ずつ近づいている対策委員会。
 次回も楽しみ!