イマワノキワ

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となりの妖怪さん:第7話感想ツイートまとめ

 となりの妖怪さん 第7話を見る。

 外見も生き方も違う異物と、否応なく付き合うカミ在る世界の悩み事…妖怪と人間の寿命差に切り込むエピソードである。
 ぶちおくんとワーゲンさんのほっこり二人旅を可愛い可愛いと喜んでいたら、スーパーヘヴィな人生の話が山盛り襲ってきて、実はそこまで”癒し系”ではないこのアニメの好きな部分に、また襲われてしまった。
 新生以来、色んな”初めて”に出逢ってきたぶちおくんは、ワーゲンさんの話を通じてこれから先確実に待ち受ける”初めての別れ”に思いを馳せる。
 この苦みも生きるってことなので、つまりは”生きる”を描くこのアニメの大事なポイントなのだ。

 

 永訣に至ったとして、積み上げた何もかもが消えてなくなるわけではなく、それでも淋しく悲しい気持ちは消えない。
 じゃあどう向き合っていくのかという問いかけは、絶対の答えがあるわけではなく人それぞれ、妖怪それぞれなのだろう。
 これに向き合うことでぶちおくんはまた、今まで知らなかった難しさや感情を知っていくわけで、やっぱ妖怪一年生のぶちおくん視線を借りることで、妖怪ひっくるめて”人”が生きるってどういう事なのか、改めて問いただし答えていくお話の良さと強さを、感じることが出来た。
 じんわり渋い味わいながら、こういう所に腰入れて踏み込んでいけるの、やっぱ凄いなぁと思う。

 和彦さんと奥さんの物語は、遺伝性の死病として妖怪混じりの思わぬ不幸を描いており、それを恨むことなく生ききった奥さんの誇りが、なかなか眩しい話でもあった。
 色んな死や別れを描くことで、楽しく前向きなことばっかじゃない妖怪のリアリティがグンと高まり、その理不尽を定命なりに飲み干していく逞しさも、より手応えを増していく。
 置いていかれる者には置いていかれる者の、先立つ者には先立つ者の、それぞれの辛さと切なさがあり、しかしそれでも繋がるもの、手渡せるものはある。
 人型ワーゲンの歩いた後には、そういう轍がしっかり残ってて、それが彼が前に進んでいくための導きにもなってくれるのだろう。

 ここら辺の難しく渋い味わいを、まだ新生したてのぶちおくんはなかなか解っていないわけだが、極めて率直かつ力強く人生の話をしてくれる友達のおかげで、自分に引き寄せて考えることも出来る。
 年も外見も種族も関係なく、色んな人と触れ合い繋がることの意味もこのお話は大事にしている感じで、メチャクチャ理想主義的なネタを、大上段に振りかぶることなく楽しく手渡せている感じが、やはり良い。

 

 同時に時の刻みが全ての”人間”に平等ではなく、どれだけ愛していても残酷に絆を引き裂いていくシビアな現実も、妖怪をメインに据える以上取っ組み合うべきネタで。
 飄々としているジローの胸の奥…溜まっているよ深い闇ッ!

 ジローと曾祖母ちゃんの因縁をほどいていく物語が、早く大人になってジローを守れるようになりたいむーちゃんの背伸びと並走しているのが、僕は凄く良いなと思う。
 むーちゃんの苛立ちと焦りはあらゆる子どもに普遍的な炎で、これに焙られることで心と身の丈も伸びていくモンだと思うが、微笑ましく健気なその現象と、ジローを生者の岸に置き去りにした宿命は、同じ時の河に住む魚だ。
 子どもにとっては幸せな未来へ連れて行ってくれる波であるものが、老人には永遠の別れへ、そこから置いてけぼりにされた長命種には寂しさと孤独へ、それぞれつながっている。
 このズレは生きることの必然であり、どうしても変えられない。

 変えられないなら、乗り越えられないのものか…ってのは、こういう角度から『妖怪と人間』を描いた以上答えなきゃいけない問いかけになるだろう。
 それがなかなか煮えきらないジローの苦笑いを、本気の笑顔にしたり痛ましい真顔にしたり…どう転がるにしろ、何かを変えていくって予感は、既にある。
 定めの荒波がどれだけ厳しいものを叩きつけてきても、”人間”が負けないための命綱が何に繋がっているかも、むーちゃんと千代ちゃんの尊い触れ合いの中に、しっかり感じられた。
 千代ちゃんはどっしり腰を下ろして少女の迷いを抱きしめてくれる本物の”人間”すぎて、見ててめっちゃ安心するから大好き。
 ジローの脆くて弱い部分が表に出てくることは、守られてばかりいたむーちゃんが守る側になる成長を描き、時の流れが悲しみばかり連れてくるわけじゃない事実を、作品に強く刻むと思う。

 

 妖怪という存在が当たり前にいる世界を、ちゃんと作り上げてきたからこそ描けるお話がこの後見れそうで、幾度目かとてもワクワクしています。
 やっぱこの独特の味わい、”となりの妖怪さん”でしか堪能できなくてイイんだよなぁ…ジジババがたくさん出てくる意味が、山盛りあるアニメ。
 次回も楽しみです!