イマワノキワ

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ヴァンパイア男子寮:第7話『美少年、デートする。』感想ツイートまとめ

 ヴァンパイア男子寮 第7話を見る。

 大体”仕上が”った血マズ系男装女子といい人ヴァンパイアの関係性をそれでも揺らすべく、虚空から湧いたチンピラ吸血鬼とイケメンライバルが襲いかかる! という回。
 『花火にシンクロして高鳴る感情、聞こえない告白』『ドキドキハプニングで性別バレ』など、数多の古典的ラブコメアーツが堂々ぶん回されていて、現在に蘇った古流空手の演舞を見ているようだった。
 見てて『いまどきまっすぐで正統派(クラシック)なラブコメを……』と、漫画版餓狼伝の謎のジジイみてーな声出ちゃったね。
 ”ささやくように恋を歌う”もそうだが、古い酒を新しい革袋に入れてバズらせる作品が、同時多発的に暴れているクールだと思う。
 時代が回ったんだなぁ…まぁこのお話は連載開始五年前だけども。

 

 ケンカと家出を乗り越え、自分たちの気持ちをだいたい確認してラブコメすごろくもだいたい”あがり”って感じだが、だからといって素直にゴールに飛び込めないのが、雑誌の看板背負った人気作というものである。
 自分の中の真実が見えようが見えなかろうが、話を揺らすドキドキハプニングは絶対必要であり、お馴染みの連中でそれが作れねぇってんなら、外部から輸血するしかない。
 というわけで、旧弊満載のヴァンパイア業界から治安の悪いカスどもが召喚され、学生寮で一瞬だけ燃え上がる男性同性愛(見た目)を煽りに来る。
 凄い歪な形にジェンダー感捻れてるの、非人間だからOKにしてるの、今更ながら凄い作品ね…。

 お話はもうルカしか見えてない美人ちゃんが、蓮くんの純情を弄ぶ形で夏祭りに振り回し、本命がズタズタになって登場したらソッコー乗り換える感じ。
 美人ちゃんが色んな意味で幼いピュアガールだってのはさんざん描写されたが、それにしたって蓮くんへの応対はあんまりにあまりであり、ラノベの鈍感主人公が性別変えて暴れてる感じ合って面白い。
 形としては蓮くんが勝手に横恋慕しているだけで、主役はただただ純粋で無罪! となってるのが、構成巧くて好きだ。
 気付いてしまえば美人ちゃんの幼年期も終わりなので、しばらくは残酷な無垢の中で歪んだ三角関係が踊るのだなぁ…蓮くん頑張れ都合のいいオトコノコッ!!

 

 ドンパン打ち上がる花火の反射の中に、高鳴る鼓動と思わず口をついて出た言葉。
 轟音に邪魔されて聞こえないの含めて、あまりの定番シチュエーションで蓮くんが自分の恋心を(勝手に)自覚したの、あまりにベタ足ド真ん中の一発で悶えた。
 すげーよ、令和にコレが真顔で出てくるのは…。
 ルカくんも『しきたりとかどーでもいー! 溺れるぜ男子寮の機会性同性愛によー!』と、ブレーキ踏まないモードに入ったので、加熱していく”速度”に蓮くんが付いていくためにはまぁ、一人恋に自覚的になってもらうしかないわなぁ。
 ただどう考えても勝ち筋がないので、悲惨な孤闘にはなるけども…頑張れ都合のいいオトコノコッ!

 ここら辺の加速度を更に後押しするべく、虚無からチンピラ吸血鬼が湧いて出て、なかよしフィルターをかけられた”死”に叩き込まれていたのも正直ウケた。
 吸血行為で”性”をフィルタリングして、お出し出来るラッピングで提出しているこのお話、ヴァイオレンス方面にも独自のリミッターがかかっていて、真祖の本気に巻き込まれても禽獣に堕ちるだけで死にはしない。
 なのでルカくんも安心してブチギレ、抑えられない暴力を純愛に混ぜて暴れさせられる。
 愛のための暴力は本気である証明、世界でたった一人のお姫様に選ばれている過激な証なので、全体的に温度が上がってきた物語が今、求めるものに素直にお出しされる。

 ジャンルが数十年かけて熟成してきたコードや定番に、極めて素直に展開していく物語が、今必要としているものがドンピシャ真っ直ぐでお出しされつつ、独特の面白さとズラしをしっかり感じることが出来て、大変良かった。
 河原でメチャクチャ盛る主役コンビの言い訳できない感じとか、そこまで高まってるのに家系の定めが邪魔してくる流れとか、色々積み上げドタバタ転がした”今”だからこそ味わえるホットな手触りに満ちてて、凄くいい。
 ツッコミどころは山程ありつつ、こういう作品が生み出すグルーヴと呼吸は機を見逃さずしっかり描ききるのが、物語としての基本的な強さを感じる部分だ。
 ネタは熱いうちに調理する。正しい。

 

 そしてルカくんが貴種の定めに引っ張られて場を外したタイミングで、チンピラ残党が更衣室に押し寄せ、望まぬ暴行をぶん回してきた。
 人間型だったらかなーり良くない絵面になるところを『あくまで蛇だからねッ!』で毒気抜いてお出しし、しかし毒を吸い出す名目で性別バレと胸元へのKissは敢行するの、計算高いんだか本能に忠実なんだか解んない作劇で、ゲラゲラ笑った後に拍手した。
 貞操の危機が生々しくなりすぎないよう、適切なファンタジー・フィルターかけつつもえっちに展開していくのと、蓮くんに先行して情報渡して物語が停滞しないようにするの、両方しっかりやってのけてて面白い。

 このタイミングで『美人の性別』という重大情報を先行開示されるってことは、蓮くんが恋人レースで鬼マクリされるのと同義語である。
 情報と情動の格差こそが物語を牽引し、加速させていくわけだが、蓮くんは『先んじて真相を知る側=最終的に追い抜かれる側』に、今回ポイントされたのだ。
 まー感情の動きとしては初手から見え見えのルカ限定ではあり、そんな強い繋がりがすれ違いの中で確認され、今回吸血鬼界に戻ってまた試されている構図なので、最初っから勝ち目はないイケメン噛ませ犬なのだが。
 舞菜様の扱いといい、ボーボー燃やして主役たちの温度を上げる、ラブコメ薪への扱いにためらいがないの、強くていいわ。

 

 全体的な構図を読ませて安心感を与えつつも、細かいクスグリが作品独自の面白さを宿して元気が良い、なかなかいい感じのバランスで進んできたこのお話。
 最終コーナーが見えてきたこのタイミングで、ベタ足のクラシックな展開を活かして更にスピード出してきた感じがあります。
 このパワフルな勢いを、『二人の愛を引き裂く、古臭い貴種の習俗』つう、なお古典的なネタでどんだけ加速できるか。
 次回も大変楽しみです。
 …乗り越えるべき試練として習俗を活用しつつ、『そういう特別さを持った、特別な王子様に選ばれてるシンデレラ』という構造自体はあざとくコスリ倒しに来るの、タフな作劇してて好きよ。