イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 24/07/29 慈悲なきアイオニア『リンの村の伝説』

 昨日は千本松さんとjactaくんをPLに迎え、始めて”慈悲なきアイオニア”をGMしました。

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 シナリオタイトル:リンの村の伝説 システム:慈悲なきアイオニア GM:コバヤシ

 

 jactaくん:アルヴァ:25歳男性:エルフ 人間に故郷を焼かれ、人間に死地を救われたエルフの傭兵。焼け焦げた記憶に翻弄されながらも、タフな戦士として槍と炎の魔術を操り、未来を切り開いていく硬骨漢。

 千本松さん:ネウ:13歳女性:獣人 病気で父を失い、形見の弓を手に、銀のメダルを首に引っ提げて、未来を探し彷徨うワンダリング・ドッグ。迫りくる危機に心がへし折れる場面もありつつ、自慢の弓術と優れた知識で冒険を切り抜けていく。

 

 こんな二人がひょんなことから出会い、とんでもない試練に立ち向かって自分たちなりの伝説を打ち立てるまでを、しっかり遊ばせてもらいました。
 大変面白かったです!

 実は一回既にPLでは遊んでいて、付属シナリオであるこいつでもってどんだけ”慈悲なきアイオニア”が優れたシステムかは、たっぷりと味あわせてもらいました。
 ヒラメキとゴネが結構重用な、フレキシブルでやや古い手応えの運用を楽しみつつ、プレイフィール自体は最新鋭の速度と洗練でしっかりと作り込まれ、独自の味と雰囲気がしっかりある。
 GMとして物語を制御する側に回ってみても、その強さ・面白さはしっかりと堪能することが出来、大変面白かったです。

 

 プレイヤーキャラクターをアバターにして、作品世界に潜っていく遊び方に比べて、GMは俯瞰で物語を見て、色んなキャラクターの譲れぬ願いや奮戦を、高いところから見下ろすような遊び方になります。
 そういう立場になってみると、独自の負傷管理システムに代表される”傷”を重視するシステムデザインが、作品世界における命の重み、シビアでタフな倫理観をぐぐっと前に押し出す形になっていると気づきました。
 体と心に刻まれた傷痕はけして消えることなく、冒険を続ける限り危険は付きまとう。
 それでも何かを求めて旅を続け、自分の意志で来し方を乗り越え行く末を決めていく、地面に足のついた英雄譚を作り上げ、刻みつけていく面白さが、システムデザインの段階でしっかり作られているのはやはり良い。

 基本無料システムとは思えない、ビジュアルエイドの強さ、世界設定の作り込みも雰囲気を出す上で大きな仕事をしていて、丁寧に作り上げられた世界観に腰まで浸かる気持ちよさを、たっぷり与えてくれました。
 そういうシステムの面白さ、どっぷり浸りたくなる世界観を”体験”する上で、このシナリオは本当に良く出来ていたゲートウェイでして、PCたち冒険者が騒動に巻き込まれたからこそ変わっていく運命のヒロイズムと、ただ願うだけでは何も動かない試練の重たさ、それらを処理していく物語フレーム・判定構造の堅牢さ……GMしてみて、その凄さを改めて感じました。
 僕はシステムの善さを120%で教え、浸らせてくれる教導的なシナリオが凄く好きなので、”慈悲なきアイオニア”のルールブックに記載されているこのシナリオが、こんだけ優れたシナリオなのは本当に凄いなぁ、と思います。

 ライトでシンプルな判定ながら、だからこそトンチの効かせどころが大事になってくる判定も、いい具合に想像力と口プロレス力をくすぐってくれます。
 PLが色々な提言をして、フレームワークに収まりきらない柔軟性でGMが対処していくシステムはともすれば、そこら辺の処理に時間がかかりすぎてストレスが大きくなりがちですが、今回はシナリオの妙もあって楽しさだけを抜き出すことが出来ました。
 この細々したことにこだわり、なんとか生存確率を上げつつヒロイックなことにも挑んでいく手応えが、アイオニア世界に生きる冒険者たちの息吹を生々しく感じられて、大変良い。
 ダイスを振る行為は異世界の冒険をより近くに感じるための、エミュレーション・ブースターだと考えてる自分としては、設計段階からそういう仕事をしっかり果たすよう、世界観とシステムが手を取り合ってゲーム体験を作り上げている感覚に、軽い陶酔すら覚えてしまいます。
 すげー良く出来てんのよこのシステム、ホント。

 

 PLたちも良く出来たクイックスタートに助けられつつ、自分たちらしいアレンジを随時加えながら、無敵でも最強でもない等身大の冒険に全力で挑み、しっかりと乗り越えていきました。
 色んな不自由に包囲された当たり前の人間が、決意を込めて危機に挑む時にだけ宿る光ってのが確かにあって、ヒーヒー言いながらデスチェックして傷痕を叩き込まれる今回の旅は、そういうものに満ちていました。
 新しいシステムにハジメマシテってことで、色々やりにくさもあったと思いますが、そういう中で自分たちなりの物語を手繰り寄せようと頑張ってくれて、大変ありがたかった。
 やっぱ新しいシステム、新しいキャラクターだけが生み出せる、新たな物語のフレッシュな断面ってのは確かにあって、それに全力でかぶりつこうと前のめり、積極的に楽しんでくれて嬉しかったです。

 

 というわけで、大変楽しい”慈悲なきアイオニア”初GMとなりました。
 やっぱこの付属シナリオあまりにも傑作で、このシナリオの仕上がりがシステム全体の評価を、バチン跳ね上げている感じはある。
 どこか懐かしい土の匂いと、最新鋭の洗練を併せ持つとても素晴らしいシステムなので、色んな人に遊んで欲しい……し、オレももっと遊びたい!
 そんな欲望を抱えつつ、大変素晴らしいセッションとなりました。
 同卓していただいた方、ありがとうございました!