イマワノキワ

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NieR:Automata Ver1.1a:第24話『the [E]nd of YoRHa』感想ツイートまとめ

 NieR:Automata Ver1.1a 第24話を見る。

 繰り返す螺旋のその先、ヨルハの終わりの果て。
 選び取り、受け継いだ未来は楽園の悪夢か、地獄の中の光か。
 A2 VS 9S宿命の戦いから、機械生命体が最後に選び取った結末、まさかの第三種知性体覚醒、そして…という、万感の最終回である。
 めちゃくちゃ良かった。
 ぶっちゃけ無情極まる絶滅エンドだとばかり思い、そっち方向の衝撃を受け止めるべく腹筋を固めていたので、沢山の思いを継いできたA2の思いが光へ届き、生き方を定められた人形の運命を変え、闇の中の微かな光へと自分たちを解き放つ終わりになってくれるとは、想像していなかった。

 

 しかしまぁこのアニメはずっと、暗く深い闇の中に微かな人間性の光を追い求める、人間に似て人間でないものを主役にすればこそ人間を描きうる、ヒューマニズムの物語だったわけで、終わってみると必然の決着という感じはする。
 奪われ、託され、尊厳ある生の終わりを手渡すべく介錯し続けてきたA2の生き様が、9Sの閉じたニヒリズムと相打ちになるかと思っていたわけだが、意思なき機械でしかなかったポッドに意思を生じさせた炎は、明瞭に最後の最後、物語をずっと支配してきたものに勝った。

 運命を定められ死に縛られ、抜け出せない螺旋を繰り返す人間の定め。
 望んでもいない罪を押し付けられ、出口のない獄に繋がれた彼ら。
 つまり、人間の似姿。
 それは長い苦闘の果てに運命の奴隷である己を変え、変更可能なはずのプログラムを書き換え、終わるはずだった物語を新たに始めなおし、死を超えて光の中へと、進み出すことが出来る。

 

 そう告げてこの、悲惨で無惨で痛哭な物語が終わっていくのは、僕にはとても嬉しいことだった。
 何もかも諦めざるを得ないような黒さと重さで、壮大な永久闘争を描いてきた物語の創り手は、世界と人間を諦めていない。
 諦めていないからこそ愛が狂気に、夢が呪いに、生が死に塗りつぶされていってしまう不条理を真っ直ぐ見つめ、それを徹底的に己の作品に、塗り込める道を選んだ。

 容赦なく暴き、抉り、殺し。
 繰り返す物語の先に何か、全霊を込めて生き抜き殺し合ったからこそ生まれる可能性があるのではないかと、身悶えしながら探っていった。
 幾重にも重なる暗い壁を、必死にぶち破るような決意の結末にたどり着き得たのは、この悪趣味で悲惨な物語がやはり、諦観の先にある希望を追う、ヒューマニズムの物語であり続けた結果だと思う。

 

 この作品の”人間”はとうに死に絶え、空虚な記憶としてしか残っていない。
 主役はアンドロイドであり機械生命体でありポッドであり、人間が作り出して放置した、人間に似て人間でなく、どうしようもなく人間的な存在だ。
 僕らが当たり前に、世界唯一の実在だと思いこんでいる”人間”なるものが、一体どういう影と光で構成されているのか。

 それを改めて問う時、不自由で悲惨で狂っていて、そんな世界で微かな祈りをなんとか紡ぎ、受け継ごうとする、人間よりも人間らしい人形を主役にしたことは、Humanityがヒトの形やその属性ではなく、ブラックボックスに宿る意思の炎、愛の光によって定義されることを、強く示す。
 主役たちが倒れ伏した後、最後の戦いに挑むポッドがただの立方体であることが、このお話が見据えていた魂の形をよく語っていて、僕は好きだ。
 そこにも、ヒトの尊厳は受け継がれ、燃え盛り、灰の中から何かを蘇らせる。

 繰り返す螺旋に乗っかって、ヨルハの二人は目覚め、しかしそこに視界を塞ぐ眼帯はない。
 それは死刑囚の意匠として、彼らのデフォルトに刻み込まれた罪の証だ。
 自分で選び取ったわけじゃないプログラムによって、永遠に繰り返す戦場に投げ込まれ、愛する人を殺し続け、その愛によって狂っていく定めに、最初から侵されていた戦士たち。
 しかし繰り返す物語の果て、彼らがシステムに適合しきれない異物だったからこそ生まれたバグが、ヨルハの証を引っ剥がす。
 何かの虜でしかない自分を書き換え、自分の目で世界と自分と隣に立つ存在を見て、黒い影ではなくその外にある光を見つめる。
 そこがこの物語の終点で、始点だ。

 

 そこにたどり着くためには、死を超えてなお継がれるモノを過剰に背負い続けてきたA2の旅路…同じ顔をした姉妹に主役の権限を託した2Bの生き方が、しっかり描かれる必要があった。
 愛した全てを無情に燃やされ、それでも末期最後の願いを投げ捨てず、背負って前に進み続けた戦士たちの思いは、人型でない機械に継がれ、無意味な終わりを拒絶する意思を生みだした。
 9Sがかつて名もなき墓守に差し出され、「何にもならない!」と拒絶した、鋼の魂唯一の存在証明。
 死者を悼み、正しく葬送し、その物語を引き継いで覚えていること。
 それが繰り返す運命を覆す、大きな力になるのだと物語は最後に吠える。

 この結末にたどり着けたなら、過酷すぎる同士討ちも、何もかもが計画されている虚しさも、そこで燃え盛る祈りを継ぐ辛さも、無駄ではなかったと確かに思える。
 ヨルハの物語は定められた終わりを越えて、そこに関わった全ての生命と意思を穂先に宿して、運命の先へとたどり着き得たのだ。
 全てが滅び終わっていく、下向きの重力の強さをあんだけ描きつつ、最後の最後微かな、そして確かな希望へと結末を引き寄せた、不屈の語り口。
 大変良かったです。
 この感慨を生むには、確かに容赦も救いもない永遠の戦場と、そこから抜け出せない人形たちの慟哭を、書ききらなきゃいけなかったと思う。

 

 

 

 

 

画像は”NieR:Automata Ver1.1a”第24話より引用

 滅びに向かう閉じた意思と、それに抗い飛び立つ光。
 前回ポッドがブチ込んだ論理矛盾が、赤い嘲笑に打ち込んだ分裂は、今回9SとA2の対決にそのまま引き継がれる。
 モノトーンの絶望とカラフルな希望。
 「何もかも無駄なんだ」と「それでも生きていく」の対峙は、ボロボロの9Sを幾度も殺せるのに殺さない、A2を追い込む形で展開していく。
 心の傷を暴くハッキングが、罪の意識を抉り出して闇を拡げてなお、確かに継いだ微かな光。
 それは月を超えて旅立つロケットの、まばゆい噴煙と重なっていく。

 自分を大事にしない/出来ない9Sが、かつて愛しい人が飲み込まれたように狂気に侵され、「またA2が狂った家族に慈悲の介錯すんのか…」と暗くもなっていたが、お互い助け合う旅の中ポッドに魂の熱を移していた事で、初めて殺さず終わる道を見つけれもした。
 ポッドがA2を”主役”と認めたのは、彼女に殺された2Bが末期にそう願ったからこそで、そうして隣り合って進んだ日々は何もかも灰燼に帰したが、しかしそこから生まれるものもあった。
 独力では抜け出せない罪悪感の牢獄に突破口を見出し、狂って終わるヨルハの定め、それを刃で拭うA2自身の定めを、新たな結末へと進み出させていく力が、出会いと触れ合いにはあった。

 

 アンドロイドも機械生命体も軒並み狂わせ、取り返しのつかない死を撒き散らした赤い存在が、ちょろっとポッドの熱血ハッキング食らわせられた程度で別の可能性に目覚め、なんかいい空気吸いながら新天地に飛び立っていく結末には、ちょっと「オイィ!」と思わんこともない。
 しかしまー、前回決着を保留されていたニヒリズムと希望の戦いが、A2陣営の勝利に終わって、モノトーンではなくフルカラーの結末を掴み取ったと思うと、まぁギリギリ許してやろう! くらいの気持ち。
 ヨルハに背を向けた一匹狼が、最後の最後月面の遺産を守るため戦い抜くのは、迷い人が故郷に戻り得た感じもあったしな…。

 A2が己のすべてを捧げ、9S自身が大事にできなかった正気と生命を守り蘇らせる決断は、あんまりにも優しすぎて悲しくもなり、でもA2はずっとそういうヒトだったので、決断に水を差すのも違くて…と、なんともいえない気持ちになった。
 ずっと受け継がされてきたあの人が、最後の最後自分の全部を継ぐべき相手を見つけれたと思うと、それは彼女らしい救いであり終わりだったとも感じるし、いままでずっとそうされてきた末娘が、ようやっとヨルハの姉になれたんだという納得もあった。
 ヤサグレ娘A2魂の旅路を、どっしり全部描ききってくれたの、めっちゃありがたかったな…傷つき裏切られればこそ真実にたどり着く、聖人譚の匂いがある。

 

 かけがえない個人への重たすぎる愛に、魂がへし折れ奈落の底まで落ちてった9Sの生き様が、2Bを筆頭に数多姉妹の生き様を引き継いだ、A2の祈りに勝つのか、負けるのか。
 正直最後の最後まで全然読めなくて、そこが作品を見る時予定調和に陥らず、何を語りきってくれるのかハラハラ待ち望める体験に繋がっていたと思う。
 花江くんの熱演に助けられて、9Sの歪な…しかし確かに人間の真実を照らしている狭さと熱が、A2の背負う正しさと光に勝ってもおかしくないなと、僕は思っていた。
 ここら辺の突っ走りっぷり、マジでアイツが共感を寄せなかったアダムとイヴにモロ被りで、敵をこそ隣人にする意味を改めて考えさせられる。

 しかしA2を継承者に、悲惨極まる鋼の地獄の中必死に生きた魂の記録を積み重ねてきた物語は、赤い破壊者も黒い絶望も、光の中に救う結末を選んだ。
 そうなるだけの強さと辛さを、2BからA2へと継がれた物語は確かに宿していたし、そうなってくれたら嬉しいと思いながら見ても来たので、大変良かった。
 A2が継いできたものは、彼女一人の魂の器が砕けたとしても終わらず、ポッドに継がれて新たな戦いを勝ち抜き、終わりの先にある始まりへと繋がっていくと、最後とっておきのダメ押しブチ込んできたのも最高。
 そうだよなー…そこで第三極が立ち上がることで、真実機械の魂の物語が立体感を得るよなぁ…。

 

 

 

 

画像は”NieR:Automata Ver1.1a”第24話より引用

 ”終わり”を示すスタッフロールの先、あり得るはずがなかったプログラムの破綻。
 ポッドの奮戦を経て生まれた新しい結末に、自由な鳥が舞う。
 3人のヨルハと2つのポッドが紡いできた物語を、五羽の鳥で描いて終わっていく海の詩情が本当に素晴らしかったけども、刃を握って駆け抜けた物語に寄り添うよう、窓辺に残る一羽の鳥もいるのが良かった。
 滅びの真実を覆い隠すべく生まれ、戦い、死に続けてきたヨルハの物語は終わり、彼らはようやく刃を置ける。
 殺し殺される存在ではなく、なにか別の可能性が拓けていくのだ。

 

 

 

画像は”NieR:Automata Ver1.1a”第24話より引用

 そしてヨルハの物語は終りを迎え、新たに始まりだす。
 幼い双子の姉妹のように眠る2Bと9Sが、赤い狂気に呪われた瞳ではなく、ヨルハの眼帯に塞がれた漆黒でもなく、禁じられていた思いをまっすぐに宿す青い瞳で、お互いを見つめれる結末。
 かつては死んでも終わらない永遠の呪い、繰り返す悲劇の象徴だったContinueが、ここにおいて大きく意味を変え希望の色を強く宿しているのは、無茶苦茶良かった。
 終わることを許されない物語としてこのアニメを見ていた自分にとって、最終話サブタイが”the [E]nd of YoRHa”なのがねぇ…。

 最後の最後唐突に降って湧いたメガネは「誰だオメーッ!」ってのが正直な感想であるが、この子が窓辺に寄り添う一匹の鳥かな…て気持ちでもあり、なにより三人目の主人公もちゃんと描かれて、めちゃくちゃいいエピローグだった。
 最初から終わっていて、なのに終わりなく続いてきたお話が、繰り返す定めの中生まれる思い、それを無慈悲に終わらせる不条理に燃え盛り、最後一握の祈りを継いで、あるべき終りへとたどり着いた。
 だから光の中、新たに始まることが出来る。
 その先に続く物語もまた、悲惨で狂って容赦がないのだろうけども、それでも人間に似て人間ではない存在は、ここにたどり着いたのだ。
 すごく良かったです。

 

 というわけで、”NieR:Automata Ver1.1a”全24話、無事完結しました。
 お疲れ様でした、とても面白かったです。

 長大なニーアサーガにアニメからいっちょ噛みさせてもらったニワカで、正直最初は「ガッハッハ、ケツでしょケツ? ガッハッハ」くらいのナメた気持ちだったわけですが、ド迫力のアクションと美しい美術、そこに乗っかる戦士たちの宿命が初手から全力でぶん殴ってきて、適切な背筋の伸び加減で見させていただきました。
 相当に終わっている世界観を程よくほころばせてくれる、チャーミングな可愛げとボケがちょうど良く、ただただ肩肘張った生真面目で殴られ続けるより、後々考えると良く効いたな…って感じです。

 強力な”敵”に立ち向かっていく一期のストーリーラインも良かったんですが、そこで既に蠢いていた不穏さをとんでもないスピードと破壊力で回収し、一切の情も容赦もなく何もかもを薙ぎ払っていく、二期で完全に飲み込まれてしまいました。
 ヤバげな気配をビンビンに感じ取り、「やった、アダムを倒した!」という一期ラストの上げ調子に逆に覚悟を固めて挑んだ二期でしたが、想定をはるかに超える容赦のなさで何もかもが終わっていき、だからこそ終われない人形たちの意地と遺志が眩しく瞬き、それすらも飲み干していく不条理な影が長く伸びて、さてどうなるか最終回。
 必然の終わりと始まりへ、見事たどり着いてくれて…ありがとうッ!

 

 やっぱ最初っから最後まで、人類不在の終わった世界がつくづく美しくあり続けてくれたことが、無慈悲な戦場を舞台に人間存在を抉り出していく作品の柱として、凄く強かったと思います。
 人間が終わり果てても世界は美しく、しかしその美しさを置き去りに無慈悲な呪いは世界に満ちていて、誰もそれから逃れることは出来ない。
 主役だろうが容赦なく地獄に叩き込む、残酷な筆致をなんとか飲み込めたのは、そういう人間の業と無関係に…あるいはそれすら包み込むように無言で美しくあり続ける、世界を描き続けられたからこそだと思います。
 その静けさと、アクションの激しさが混ざりあって、スゲーパワーも生まれてたわな。

 過酷すぎる定めがあらゆるモノを飲み込んでいく後半戦、僕はこの話をすごく中世キリスト教的な物語として咀嚼していました。
 不在なる神に運命を定められ、逃れられない死と呪いの引力に引きずられ、虚しき生を生き続ける被造物たちを襲う、鋼鉄の黙示録。
 問うても問うても答えが出ない生の虚しさと、死を越えようとする意思の相克に、このお話が自分なりどういう答えを出すのか。
 そこに注目していた自分にとって、光に満ち人が生きることを祝いだ結末は、中世を越えてルネサンスへと至る人類史を、ポップなエンタメの中独自に削り出していくような特別な手応えを、強く感じ取れるものでした。
 最後赤子のように光の中目覚めるヨルハの二人は、創造主が定めた運命を越えて人間の道を進んでいく、新たな誕生へと進み出すわけだね…。

 

 最終話を”the [E]nd of YoRHa”と題したということは、この物語はずっとヨルハの物語であり、ヨルハの物語として終わって、その先にたどり着いたのだと、僕は思いました。
 滅びを定められ、虚しき踊りのために生み出された殺しの人形たちが、その製造目的に関係ない絆と感情を育み、檻から出れず苦しみきって、幾度も死んだり蘇ったり、ClearしたりContinueしたりしながら、自分たちが生まれてきた意味を掴み取って、終わらない物語を終わらせるまでの物語。
 2Bと9S、A2という、三人のヨルハ個人の思いと繋がりに、深く深く潜り込んだからこそ描き切れた物語。

 それは壮大なスケールでもって、人間が滅んでなお続く戦いや、永遠の敵対者との衝突や、個人を翻弄する巨大なシステムもまた、それがあればこそヨルハ個別の物語が成立する大事な世界なのだと、しっかり書き切りました。
 個人と世界、絶望と祈り。
 対立するように思える2つの観念を背負って、9SとA2を戦わせた物語は、悲惨を語りきればこそ希望を、終わりを描ききればこそ始まりを紡げる、人間と世界…それが触れ合って生まれる物語の不可思議を、諦めず語りきってくれました。
 A2が最後ヨルハの定めとして、守るべきだと決めたものが人類史アーカイブという”物語”なのが、自分が紡いでいるものの力を信じている語りで好きだ

 

 滅びと絶望の引力が、あまりに無力な人間を下向きに引っ張るとしても、継がれる物語はそれを引きちぎって、高い場所へと飛び立っていく。
 そうさせるだけの力が物語にはあって、そういうモノをこのお話は確かに、ちゃんと作っていたのだ。
 そう信じられる作品だからこそ、最終決戦は人類とエイリアン、二つの滅びた種族の記憶を守り切る形で決着したのかなと、僕は思います。

 自分たちが生み出したニヒリズムに喰われず、しかし本気で向き合いきって、だからこそ生まれる闇の中の光を高く翔び立たせられる物語は、やはり素晴らしい。
 とても良いアニメであり、よい物語でした。
 ありがとう、お疲れ様。
 本当に楽しかった!