イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

映画『機動戦士ガンダムNT』感想

映画『機動戦士ガンダムNT』を見てきました。
90分の時間の中に激しいMSアクション、むせ返るような感情と哀切、神話が終わった後の時代を生きるしかない子供たちのあがきがみっしりと詰まっていて、とても楽しかったです。
時間が短いことが逆に間延びを防ぎ、独特のテンポを産んでいたのが、見やすい理由かなと思いました。
濃厚な物語体験、”ガンダム”をアタマから浴びる快楽を堪能できる作品であり、オススメです。

……と書きつつ、僕はこの作品を見るのに二の足を踏んできました。
Web越しに強めの推しを貰わなかったら、多分見なかったと思います。
それは作品の出来不出来とか個人的好悪ではなく、なんとなくの”ガンダム”へのイメージ、こっちが勝手に積んでいる敷居の高さに由来します。
TV版の放送以来そろそろ40年、アニメーションを飛び越しポップメディアの金字塔となったガンダムは、お商売の都合とか、その物語的残影の長さとか、色んなものが噛み合って非常に複雑に見えます。
僕にとって"ガンダム"というのは自分が内側に入って、インサイダーとして物語を引き受ける対象というより、アウトサイダーとして恐る恐る見つめ、敬して遠ざける対象に、気づけば(というか、F91が"初めてのガンダム"だった世代としてはその端緒から)なっていました。

満を持しての27年ぶり、UC舞台の劇場完全新作。
"UC NexT 0100 第一作"なる巨大な金看板を引っさげた物語は、ある種の"ガンダム信心"のない自分にはどこか遠く、恐ろしく感じられました。
この映画が、果たしてガンダムの人生を向けていない自分のアニメとなってくれるのか。
歴史的前提知識、ジャンル的お約束を内輪の信仰のイコンとして要求され、疎外感を味わうことにはならないか。
そういう畏れが、僕の足を止めたわけです。

しかしこのアニメは、むしろそういう"信心"のない門外漢にこそ開かれた、そう思われてしまう"ガンダム"をよく見据え、物語と噛み合わせた映画でした。
後にネタバレバリバリで色々いいますけども、ガンダムを好きな人も、好きだからこそ嫌いな人も、好きだと思うけど信じきれない人も、この作品の中には登場します。
巨大な……IIネオ・ジオングめいた巨魁な偉容故に、もうその総体が定義できない("ガンダム"を始動させた富野由悠季安彦良和の"ガンダム"ですら、一つのバリエーションとして相対化されてしまうほどに)巨大なガンダム
それに信心を抱くfanaticなファンだけでなく、その魅力に引き寄せられ、恐れて引力の外側にいる僕の視点をも、しっかり自覚的な映画だと感じました。

そしてその冷静な視座はただの分析では終わらず、奇跡の子供たちの哀しくも力強い生き様、偽物の偽物の偽物のコピーとして傷ついたもうひとりの子供との激戦を、しっかり見据えます。
"戦争"が終わった後も平和が訪れない、シャアの反乱以降のUC。
そこで発生してしまうこじんまりとした"衝突"の惨めさ、歴史からの冷たい切断を生きるしかない子供たちの無念を、この映画はとてもしっかり伝えてきました。
色の濃い関係性があり、重たい感情の実感がある。
MSアクションだけでなく、人間ドラマが面白い。
そういう映画となっておりました。

"ガンダム"が良くわからない人こそ、今見るべき映画なのかな、と思います。
他でもない僕自身が、そういう立場で映画館に入っていて、相変わらず"ガンダム"が分からないまま、少し"ガンダム"が好きに、面白いと思えるようになって出てきました。
何しろ、主人公のヨナからしてそういう混迷に身を置いて物語が始まり、終わるのですから、多分この感覚はそこまで間違いではないような気がします。
オススメです。

 

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2019年 1月期アニメ放送前短評

六花咲く頃に ─2018年10月期アニメ総評&ベストエピソード─

・はじめに
この記事は、2018年10~12月期に僕が見たアニメ、見終えたアニメを総論し、ベストエピソードを選出していく記事です。
各話で感想を書いていくと、どうしてもトータルどうだったかを書き記す場所がないし、あえて『最高の一話』を選ぶことで、作品に僕が感じた共鳴とかを浮き彫りにできるかな、と思い、やってみることにしました。
作品が最終話を迎えるたびに、ここに感想が増えていきますので、よろしくご確認を。

 

・あかねさす少女
ベストエピソード 第11話『優等生』

俺はアーパー天然系(その実超重たい過去と、それに相応しいシリアスな人格持ち)としっかり幼馴染(その実臆病者で、心の躍動を支えられない弱い足腰持ち)がグネグネ感情を拗らせ、言葉のナイフで傷つけ会い、真心の膏薬を塗りあう展開が三度の飯より好きです。

あかねさす少女:第11話『優等生』感想ツイートまとめ - イマワノキワ

チャーミングなアニメ、というものがある。作画が図抜けて凄いわけじゃない。構成にはスキがあり、癖が強く、時折ヘニャヘニャになる。万人に受けるわけじゃないけども、波長が合った人にはビリビリと突き刺さる。
僕にとって”あかねさす少女”は、そういうアニメだった。感想を途中まで書かなかったことを見ても、序盤はあまりのトンチキフニャフニャ加減に付き合い方を掴みきれなかった。かといって、第1話で見せた『フツーの異世界冒険ジュブナイル』を押して行っても、スタイリッシュに突破することは出来ない。話の構造も、キャラのデザインも、どこか古い。
しかしとにかくトンチキな異世界修学旅行をアッパーにアーパーに走りまくるテンションが、だんだんと刺さりはじめた。それはそういうおふざけの奥にしっかり腰を落とし、青春と自我確立を掘り下げていくベーシックな強さが、しっかりと見えてきたからだ。

頭のネジをぶっ飛ばしたアホアホJKのトンチキ修学旅行で楽しませつつ、世界と自分の対立、真実の自分を見つけられない苛立ちには、嘘をつかない。狂った世界旅行で仲間の大切さ、自分の望みを掴み取って、クソダサスーツと一緒に新しく生まれ変わる瞬間に、偽りはない。
異能力を発現し『変身』する瞬間が、青春の繭から脱皮する少女の自己実現としっかり噛み合い、『変身ヒーローもの』としてのカタルシスが、確かにある。その変化を支え、促す仲間のありがたさ、アホを装いつつ明るく仲間を導き、元気づけるあすかの主人公力。
それが次第に、世界を滅ぼす黄昏との戦い、あすかの秘められた過去と人格に絡み始め、シリアスさが反転……するわけではない。後半、OPに相応しい重たさで展開する物語は、ちゃんとアーパーな異世界旅行の中でその土台を示され、納得できる運びになっていた。

そんなアニメで一番刺さったのは、主人公あすかの道化の仮面が反転した重たさ、それを一番身近に見守り、しかし踏み込むことが出来ない優等生の優ちゃん二人の巨大感情が爆裂する、この回だった。
異世界の自分』が複雑な感情の鏡として機能する構造は、ここまでのアーパー旅行でしっかり示されていた。便利キャラとして話の進行に寄与してたエロ優ちゃんと、正反対に見えて実はその感情の質量、質感において全く同質である、あすか好きすぎ人間・優。
デカい設定を扱いつつ、耐えきれない喪失を生き延びるためにシリアスさを置き去りにし、嘘で心を固めたあすかへの思いは、凄まじい温度でうねっていた。どっしり重たく、優しく湿っている優の感情は、話がシリアスさを増すごとにどんどん全面に出てきて、同じく全面に出てくるあすかの重たさと呼応していった。
巨大で熱いが故に、どう扱えばいいかわからない感情。それが様々な人の後押しを受けて、一つの結論にたどり着く(そしてあすかが、曇りなくその感情を受け止める)カタルシスは、非常に強力で真摯だった。繋がった思いが『変身』を連れてきて、ヒロイックなアクションで話が締まるところも、このアニメらしくていい。
すでに『変身』を果たした仲間がたどり着いたものを、しっかり掘り下げるヘイトアーツの上手さもいいし、実質的なクライマックスとして物語の全てを生かした熱量もある。
最初バカにして、斜に構えてみていたアニメが、その実自分の感性にビビッと来るチャーミングな作品であり、真摯さと上手さを兼ね備えていたと判る瞬間は、いつでも面白い。その醍醐味を最も強く味わうことが出来るエピソードであった。

あかねさす少女:第12話『 いつか、黄昏の降る空の』感想ツイートまとめ

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