イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

はやて×ブレード 16

林家志弦集英社。林家先生の乙女チャンバラ、16巻目。リスタート後の実質新一巻目という感じで、旧来のキャラ(今回なら桃と犬)をピックアップしつつ、黒組という新しい設定を基軸に巻き直す、という展開。波が二つあると潮目ができるわけで、少なくとも玲紗枝編の最後の、もにょもにょした展開よりもキッパリしていて解りやすい。
桃犬コンビとの再戦は今回のメインディッシュで、乙女の真っ直ぐな心意気とコンビの絆という、はやブレの一番強いところ(そして僕が一番好きなところ)を全面に出した展開。非常に良い。あまりにも群像劇なので、出てきたキャラが背景やピンポイントギャグ担当に落ちることが多いのだが、メインを貼るとやはり太い。この太さを、上手く制御できると更にいいのだが、なにぶんキャラが多いので悩ましいところだ。
桃犬が過去への視線だとすると、未来を見据えての黒組はどうなのか。正直なところ、まだ全然わからない。顔見せ程度の出番しかないわけで、実質新キャラであるナギに絡みそうな知花さんにも上手くフォーカスできていない感じがする。ヒデとロザンナもだ。動いてみればさすがのはやブレ、となるのだろうが、その兆しが見えないのでは不安にもなる。
そこら辺の不安感は林家先生も共通なのか、チラホラと自虐が顔を出す。メタレイヤーからのツッコミはこの漫画の花なのだが、それに笑いではなく困惑を返してしまうのは、自分の気持ちが後ろ向きなゆえだろうか。今回大きくクローズアップされた桃犬が非常に良かっただけに、新キャラを投入して先に進むであろう状況に、期待だけを抱く訳にはいかない。桃犬の話しが持っている速度は、キャラクター性の蓄積とそれへの愛着があってこそだからだ。愛されキャラだからこそ、ガチ展開がアツい、というやつだ。
新キャラたちが投入された理由。設定が巻きなおしされた理由。読者である僕には、それは見えない。見えるのは結果だけであり、それはまだ始まっていない。予兆があるだけである。ただ、その予兆は、自分にとってはただただ期待感だけが高まる、と無邪気に言えるものではない。漫画の背骨はたやすく折れる。心臓は簡単に止まる。そういう漫画を僕らはたくさん見てきたわけだが、新しく起き上がったはやブレは、さて、どちらの道に歩いて行くのだろう。