イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

影鰐 -KAGEWANI-:第12話『漆黒』感想

ここ三話で一気にたたみに来たラディカル・アーバンホラー、全ての真相が明らかになる第12話でございます。
奇獣の起源、影鰐の真実、これまでの物語の意味、猿楽と木村の狙い。
謎という謎を一気に暴露し、全てが繋がって行く気持ち良さが背骨を疾走するような、気持ちの良い回でした。
まとめ回を面白く感じるってことは、これまで積み上げてきたお話が僕の中で意味を探していたってことなのだろうなぁ。

いろんなことが語られた回でしたが、やはり衝撃的だったのは奇獣の起源。
蠱毒によって生まれた影鰐の破片が様々な動物に取り付き、異質な変化を引き起こしていた』という説明は、奇獣の多様性とインチキ能力に上手く説明がつき、お話が影鰐一本に集約する良い真相でした。
猿楽の動きもそうなんですが、バラエティ豊かな話が実は一本の道糸でまとめられていたと知る体験は、物語の凄くプリミティブな喜びがギュッと濃縮されていて、凄く気持ちが良いです。
八分アニメで良くここまで満足感のあるストーリーラインを作ったなぁと、今更ながら感心してしまいます。

番場先生が巻き込まれたり人命救助したり傍観したりする影で、色々動いていた猿楽の狙いも明言されました。
『オッス! 俺達ろくでもないことしまくってます!!』というサインを出していた集団なので、定番通りのろくでもないクリーチャー制御狙いだったのはむしろ有り難い安心感。
奇獣の素たる影鰐の設定が同時に出たことで、人造奇獣とその制御という猿楽の行動にも説得力が生まれていて、『定番をあえてしっかり見せる』というこのアニメの強さが、直球ストレートでドシンと届きました。
いやー、速度のある王道展開は本当に気持ちがいい。


定番といえば、自滅フラグを幾重にも積み重ねていく木村&猿楽研究員の皆さんは。自分たちがどういう舞台に立っていて何が望まれているのか、最高に理解した動きだった。
影鰐はホラーの名作の美味しいシーンを良く研究し、一つの世界観の中で濃縮して見せてくれる気持ち良さがあると思うのですが、今回はモンスターホラーの美味しい部分総取りって感じでしたね。
『始祖から派生したバリエーションを、一話一体カウントで倒す』『始祖は地下で培養されている』辺りの描写は、ちょっとエヴァっぽい部分もあり。
ああいう驕り高ぶった研究所は自らの傲慢で崩れなければいけないものなので、キッチリやり切ってる猿楽さん達は良いPLだと思います。

番場先生は暴走に巻き込まれてあっけなく死んでましたけど、伊達や酔狂で影鰐人間ではないはずなので、こっから大逆襲を期待したいところです。
まぁ番場先生だから、あそこでざっくり死んだままってのもある意味納得は行くんだが。
でもそれだと木村の一人勝ち過ぎてスッキリしないので、やっぱり影鰐の力を取り込んだ番場先生が奇獣ハンターとして覚醒し、なんかスタイリッシュなアクションで暴走研究体をブッちめる展開が良いな。
"Arrival of Fear"が名曲すぎるので、影で作った日本刀と拳銃武装の番場先生が影鰐を真っ二つにする所で、例のイントロに入ると良いと思う。
……まぁそういう派手な展開にはならないと思うけどさ、影鰐だしこのアニメ。

そんなわけで、主人公が死んだ所で一話残っている影鰐でした。
これまで見てきたオムニバス展開の中で拡散した要素が、一気に収束する気持ち良さがある、良いまとめ回だったと思います。
物語の設定部分は良い決着が付いたけど、ドラマ部分はこっからが勝負。
ショートアニメの可能性を切り開いた名作が、どういう終わり方をするのか、とても楽しみです。