イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

K RETURN OF KINGS:第12話『Knuckle Bump』感想

色々あったK二期もついに最終決戦! ロジックの積み重ねより、大事なのはその場のエモーションの総量ッ!! て感じの、色々総決算前編でございます。
宗像さんを信じる青クランのみなさんのおかげで磐さんはぶっ殺され、伏見と八田の濃厚なブロマンスはスクナを当て馬にして燃え上がる。
良い作画のアクションの合間に、因縁がバッタバッタと整理されていくのはまさにクライマックスって感じがしますね。


今回ややこしいのが片付いたのは宗像さんと猿比古&八田でございまして、それぞれ緑クランの実力者とバチバチやりあうことで感情の総量を上げて、なんか突破した感じにまとまりました。
生死のかかったアクションと同時にグダグダした感情の整理をつけると、ただボーッと座ってる時よりはなんとなくまとまった感じするな。
強くなるためのロジックが一切なく、感情的な整理がつくと価値の潮目も引き寄せられるのは、Kの作品論理を強く感じるところです。
一番大事なのはムードであって、勝敗や生き死には雰囲気に従うものというルールが徹底されてるのは、自分の強みを分かっていて良いんじゃないすかね。

一時取引停止レベルまで落ち込んだ宗像さん株ですが、猿比古潜入工作の裏側を喋ったり、夢破れたもうひとりの自分である磐さんをぶっ殺したりして、何らかの自己実現が達成されたみたいな空気になって、少しは値段が上がった。
結局スカした姿勢を崩しはしないので、どこまで本気なんだかよく判んねぇので、本当の意味でキャラクターの物語が完成したかどうかは判んねーけど。
猿比古が自分の物語を完成させる途中で、青の王である宗像さんにもトス上げしていたのは、Kらしからぬ良い動きだった。
剣が落ちるかどうかがまだ不透明なので、淡島さんの決着含めてそこは来週に持ち越しかなぁ。

仲間を全て失い青臭い夢に背中を向けた磐さんと、地位を捨てて付いてきてくれるクランズマンが一緒にいる宗像さんの対比は、まぁまぁ分かりやすかったと思う。
青のクランズマンは、ぶっちゃけ理由はよく判んないけど宗像さん大好きすぎるので、宗像さんの問題が収まれば自分たちの話がだいたい収まる構造だって再確認できるしな。
青のクランが宗像さんへの個人的な執着で動きつつも、社会秩序の維持というクランの題目を一応忘れていなかったのは、なかなか良かった。
緑は物分りの良いキャラクターばっかりなので、自分がシャドウであることを的確にセリフで表現してくれるし、影を乗り越えることで問題が解決し物語が落ち着く準備も整えてくれる。
霧の中に自分を隠した磐さんは、宗像さんの問題点とその克服を的確に準備する、良い適役だったなぁ……それを受け止める宗像さんのレシーブがどうだったかは、また別問題だ。

流がシロ、紫がクロ、スクナが八田&伏見のシャドウだとして、アンナには対となる存在がいないのが優等生の悲劇というか、なんというか。
クランズマンとの関係も良好、乗り越えるべき問題も特に無し、人間関係の視野も広くて的確にトスも上げるアンナの物語にも完成のための手助けをしてあげてほしいわけだけど、このアニメ女は徹底的にしゃぶり尽くして人参あげないので、わりかし美味しくねぇだろうなというのは覚悟している。
良くて八田の物語の完成のおまけで少しリソースが回ってくるくらいかなぁ……物語への貢献度と作中の贔屓が比例しないのは、このアニメらしいゆがみ方だな、つくづく。


アバンで『俺のほうが伏見のことを理解っているホモだぜぇエエエ!!』という猛烈なトスを宗像さんから貰った八田ちゃん、スクナを壁役にして猛然と自分のお話を畳みに来ました。
ガキがホモ拗らせた結果色々面倒くさいことになった二人に、孤独なガキであるスクナがマッチアップするのは解りやすい構図だ。
アンナからも『私のことは良いから、初期因縁の伏見とのお話に尺を使って!』という健気なトスを貰っている辺り、ほんと恵まれてるな八田ちゃん。

とは言うものの、自分の物語を完成させるだけではなく、『伏見の王は青の王』というと素揚げで猿比古と宗像さん両方にトス上げしてたり、自分のお話しか基本的に見てない一期メンバーにしては、今回八田ちゃん良いレスポンスしていたと思う。
まぁお話が終わるこのタイミングで良いトスあげないと、なんにもまとまんねぇから当然といえば当然の動きではあるんだけど。
クソみたいに拗らせた幼年期に決着をつけて、猿比古とのベタベタした関係性に一応のエンドマークを貼れたのは、なかなかスッキリして良かったんじゃないでしょうか。
そこら辺の気持ちをまとめるために殴られたり刺されたりするスクナは、本当にいい仕事をしておる。

猿比古も八田ちゃんからのトス上げを素直に受け取って、何が大事で自分がなにをしたいのか、ようやく答えにたどり着いた。
長かった、ここまで来るのが……ほんとめんどくせぇなこのキャラ……。
女子校の仲良しグループをヤバい精神病に感染させたうえでたっぷり腐敗させたような、。幼い独占欲からようやく抜け出し、青のクランという(スーパー慣れ合い世帯だけど一応)社会的な場所にアイデンティティを認める自己実現は、八田ちゃんと同じく風通しが良くてグッド。
代償に山盛りの死亡フラグを抱え込んでいたが、そこら辺は優秀な忍者がへし折ってくれたので大丈夫です。
なんで負けてなんで死んだのか、正直良く判んねぇ磐さんに比べると、やっぱ人気メンバーは違いますなぁ。
……ここまで書いてきて、二期を見始めた大きな理由の猿比古より、アンナと緑クランの方が好感度高くなってる自分に気づいてビックリだわ、マジ。


取り敢えず、自分の影をぶっ飛ばしてお話を収める回でした。
これで残りはクロ(紫を殴る)とシロ(流を殴る)を残しつつ、石版ぶっ壊せばだいたい終わる……のかなぁ。
流がグッチャグッチャにした世界が都合よく収まるかどうかは最終回のロジックの使い方次第だと思いますが、クロが抱え込んでいる過去への執着心と劣等感、シロのトラウマである人類超越という夢の始末はそれぞれの敵役と殴りあうことで、今回のようにまぁだいたい収まるでしょう。
ほんと緑は良い仕事してるなぁ……二期が見やすいこと、お話がどう始まり進んで終わるのか視聴者に判る理由の八割は、緑のおかげだと思う。
こうしてまとめて初めて、ネコの物語もシロの物語を片付けるついでで終わりそうな差別っぷりに気づいたりしましたが、泣いても笑ってもあと一話。
さてはてどうなる、K!! って感じですな。