イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ルパン三世:第14話『モナリザを動かすな』感想

前回とっつぁんとの蜜月を抜け出し、泥棒稼業に復帰したルパンが狙うのはルーブルの至宝、モナリザ
実は2015では珍しい正統派のお宝争奪戦……をAパートでたっぷりやって、2つのモナリザのミステリをじわじわ解いていくBパートに繋げるという。少しスクリューの効いた話でした。
毎回何らかのミステリ要素を入れて、話を牽引するエンジンにする話作りは、2015に特徴的だなぁ。

Aパートのルーブル攻防戦は、とっつぁんのルパン理解度が良く分かるカッチリした展開でした。
2015はとっつぁんを道化ではなくライバルとして描くことを徹底していて、『ブツを動かせば隙が出来る』というキーワードを上手く使って、油断も甘えもない優秀な警備担当者の顔を演出しています。
まぁルパンとの付き合いも長いしね、少しは学習しないととっつぁんが揮発性メモリの白痴に見えてきちゃうしね。
とっつぁんが堅牢だからこそ、それを出し抜こうとするルパン一味の手練手管も映えてくるわけで、良い描き方だと思いますね。
次元が変装担当するのは、なんか新鮮で面白かったな。

ドタバタとした攻防戦の面白さを演出した上で、盗めなかったはずの真作がルパンの手元にあるトリック、二つあるモナリザの謎という風に、お話を広げていく手法も見事。
『とっつぁんが警備に入る前の段階で既にブツは動いていて、その隙をルパンが狙った』という見せ方は、ライバルの株を落とさずお話を転がす丁寧な操作でした。
『お宝が盗めるか』から『お宝はお宝なのか』へと、気づけばお話の焦点が移り変わっている気持ちよさは、アクションもミステリも切れ味鋭く演出できる2015故の強みって気がする。


二つのモナリザにルパンと視聴者が振り回されつつ、見事なペテンで大逆転する展開も、見ていて気持ちよかったです。
不二子が敵と通じるトリックスターを演じることで、怪盗アクションとミステリに加えてコン・ゲーム的な楽しさも入ってきて、バラエティ豊か話だったな今回。
オムニバスという形式はそもそも色々やりやすいわけですが、一話の中でジャンルを切り替えつつ、どれも面白く見せてくれる贅沢さもありがたいですね。

そういう意味では、謎の男が意味深なことを言って終わる〆は、伝奇物語的な要素まで付け加える欲張りなオチ。
あの男がダ・ヴィンチ本人なのか、はたまた別のペテンがあるのかは今後分かってくるところだと思いますが、最後の最後でリアリティレベルが一気に変わる終わり方は、様々なジャンルを横断した今回のエピソードに相応しかったと思います。
まぁルパンはそもそもオカルトと親和性が高いし、2015見るだけでも幽霊も出れば『イタリアの夢』なんつートンデモ書物も出てくるわけで、ダ・ヴィンチが生き残っててもおかしくないわな。

というわけで、24分という尺の中でジャンルが四回くらい切り替わる、遊園地のような楽しいエピソードでした。
こうも色々やっていて騒々しさを感じないのは、ルパンというキャラクターが持ってる豊かな地層故か、はたまた2015スタッフの洒脱な物語捌きのおかげか。
どちらにしてもルパンらしい、ルパンにしか出来ないリッチなお話であり、とても面白かったです。