さらざんまい を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
浅草、下町。人情幻想を一枚剥げば、そこには当たり前の欲得が踊る。
騙し、奪い、殺す。洒落にならない悪徳の中、幼いその手に握った拳銃。弾き出された銃弾は、嘘と断絶に世界を包む。
Stand by me…側にいて欲しい人は、いつでも誓いの彼方、星の遠くに。
そんな感じの悠エピソード、さらざんまい第四話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
重いッ!
女装が兄弟愛がホモセクシュアルがサッカーがなんぼのもんじゃいとばかりに、溢れる借金、親の自死。ヤクザと銃弾、罪の代理。
想定していた五割増でシリアス&ハードな過去が、ズバッと叩きつけられるエピソードとなった。
家族の団らんから弾き出されているとはいえ、家がある一稀。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
当たり前に幸福な過程に、当たり前に居場所がある燕太。
悠はそんな"家"を、親の死別、兄との離別によって失った存在だ。フツーの子供ではない。
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/SnkrPpFMr9
春河を中心に展開する、明るい家族の肖像。笑顔に満ち溢れた光から、一稀は追放されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
悠は父母が死に、己が殺人者となり、カインの印を兄が引き受けてくれた時から、当たり前の幸福に背中を向けた。電話越しの拷問に、驚く気配もない。それ以上のものを、とっくに知ってるから。
生きるためには殺さなきゃいけない。奪わなきゃいけない。盗まなきゃいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
燕太がドン引きする『当たり前』の領域では、悪徳とされる悠のルール。しかしそれは確かに存在していて、拒絶すれば自分が死ぬしか無い。
フィクションではない、リアルな手触りの生存戦略だ。
『世の中、悪いやつが生き残る』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
量刑では窃盗よりも殺人のほうが重い。銃弾で人を殺した悠と、鐘を奪った誓。
どちらが『悪いやつ』なのか。世界の真理を教えてくれた兄は、誰に生き残ってほしかったのか。
今まで性自認の方向で揺れていた常識は、モラルと愛、犯罪と善意の狭間で揺れ始める。
今回は敷居を跨ぐ描写、闇の中に身を沈める描写、そこから光を覗き込む描写がとても多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
罪という陰り、略奪という宿命。可能ならばそこから抜け出したいけど、抜け出すことを許してくれない反転した『当たり前』に、悠と一稀は深く身を置いている。そのシンパシーは、燕太からは遠い。
悠は逆光の中、兄を見つめ続ける。兄の表情がよく見えないのは、憧れの光が強すぎるからか、闇が濃すぎるからか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
そんなのは悠にはどうでもいい。
重要なのは目が離せないこと。手を差し伸べてくれたこと。今は離れていることだ。
判んないかなぁ…愛の話なんだよ
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/DifTAHRfxJ
悠の内面に住まう兄は、いつでもシルエットだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
光と闇の境目に立って、細かい部分がわからない。でもだからこそ、絶対的な存在として遠くにある。
信仰にも似た純粋な気持ちは、届かないからこそ狂騒していく。
報いたい、でも遠い。だから狂うように、身を捩って待ち構える。
兄もまた、神ではなく悩める人なのだろうなというサインは随所に出ている。甘さを残したキャンディは、聖遺物のように誓の世界の中に刻み込まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
甘さ。奪い生き残るためには邪魔になるはずの愛で、兄は弟の罪を背負った。
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/VVS9uYocca
子供っぽさ、一抹の救い、致命的な隙。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
今後誓が振り捨てようとして、結局捨てられなかった"甘い飴"が彼を、彼を信奉する弟をどこに追い込んでいくかは、非常に気になるところだ。
それは銃と札束が踊るピカレスクにはあまりに不釣り合いで、だからこそよく目立つ。突き刺さる。
もう一つのフェティッシュとしての"金"も、様々な顔を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
世界の薄暗いルールに気づいた兄は、銭金をクシャクシャに蔑する。
それは大事なものだから、悠は大事な人の前に丁寧に広げる。
束ねてまとめれば、大事な場所も取り戻せるし、保護と家族を買えもする
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/xCX9WK5MKi
それで手に入れた平穏に、しかし誓は(い)ないし、温もりもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
薄暗い"家"の切断面、愛する人(秘密を剥げば、それは自分自身でもある)を『人殺し野郎』と罵倒する真っ当な"家族"から、悠は冷たく切断されている。闇の中、孤立している。
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/GSohCHgZGB
その孤独は明るい燕太の"家"ではなく、春河という中心から阻害され、団らんを前に立ちすくむ一稀に共鳴していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
愛のためなら、何でも出来る。
その狂った心証において、転校生と美少年は強い共通点を持つ。あと、『元サッカー少年』ね。燕太…なんてハンディキャップマッチだ…。
重苦しい"家"の境界線を描いた後、しかし燕太はその朗らかな善性を舳先に押し出して、悠の中に入っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
カラーコーンのバリケードを乗り越えて、踏み込んだ秘密の領域。お互いをさらけ出し、確認する明暗のダンスフロア。
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/MuwB7y4HBv
犯罪から距離をとって『マトモでフツー』でいられる特権を自覚しない燕太と、既に悪徳に身を染めた悠の間には、カラーコーンの障壁がまだ残る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
それでも、『愛のためなら、かつて受けた恩義のためなら、すべてを捧げられる』という強い意志が、少年二人の間を繋ぐ。
衒いなくそこに踏み込める無防備さ、無邪気な突破力は間違いなく燕太の強さで、純粋な輝きでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
お互い違いすぎる環境、個人史、価値観が断絶を生むとしても、根っこの部分は繋がっていて、なにか共通するものがある。光と影の淡いに、虹の架け橋がかかるという希望。
それは燕太が、色んな意味で恵まれた甘ちゃんボーイだからこそ背負える光だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
サッカーを続けられる。家族を恨まなくてすむ。あるいは呪いのように、愛に縛られなくてもすむ。
女装しなくていい。殺人しなくていい。離れ離れにならなくてもいい。
燕太は甘い。ピンクのキャンディのように。
でもそういうモノを許してくれない厳しさが、世界の全てというわけではなく、燕太の抱えた秘密もまた、必死で重たいものなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
様々なレイヤーで所持され、接触しつつ混じり合わない、孤独な秘密。カパゾンビを狩る中で、その境界線は揺らぎ、秘密は漏洩していく。
自分が同性に懸想する"変態"だと知られたことで、燕太はある意味吹っ切れたのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
知られても、秘密は消えてなくならなかった。暴かれても、大事にしたいと思えた。思い出に報いたいと、愛に殉じたいという気持ちは本当のことだった。
その真摯は、兄を想う悠とは全然違くて、強く共鳴する。
対して、一稀は境界線なく飛びついてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
女を装う男という境界を、思いっきりぶっ飛ばす媚びた声色。迷いのない身体接触。スルッと吐き出される犯罪計画。
近いのだ。一稀はその犯罪への躊躇のなさ、闇を前に足踏みしない意志が、悠と似ている。
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/fD2JQIDW9P
つるりとカップそば("側"であり、悠の家業。誓が守りたかったもの、悠の大事な物のギズモ)を飲み込む唇に、悠は胸をときめかせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
ストレートとゲイの境界線も、夕日(昼と夜の間に生まれるもの)の中で危うく揺らいでいく。犯罪という煉獄、恋という地獄が、悠を捉えていく。
そこに踏み込む邪悪さに、悠はひどく無邪気で無自覚だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
春河のために女を装う異常も、アイドルを誘拐する凶悪も、悠の足を止めない。カラーコーンは、彼の前にはないのだ。
運命に押し流されて、既にその線を超えた悠には、その侵入を押し止められない。
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/0VvE3htuWU
通路の奥、強すぎる光が闇を濃くする場所に、幼い悠は既に入ってしまっている。犯罪に手を染め、人の命を奪うことで何が生まれるのか。人が死ぬことで何が奪われ、何が必要になるかを、身を持って知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
身勝手で呑気なおとぼけ誘拐計画とは、違う重さ、違う苦さ。そこに、一稀はまだ無自覚だ。
そばゾンビの尻子玉を腸液まみれでぶっこ抜いて、戻ってきた現実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
漏洩し、共有された秘密を前に、燕太はドン引きし(当たり前だ)、一稀はのんきにキュウリをかじる。
愛ゆえの犯罪なら、河童の面に小便である。
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/g3iTZuljgk
燕太が代弁する『マトモ』な価値観(それは視聴者の大半が内面化する『フツー』でもあろう)を、悠は切り裂く。兄がそうしてくれたように『ブスッと行く』覚悟を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
それは虚勢ではない。かつて殺し、その罪を代理してもらった申し訳無さを果たせるのであれば、いつでも覚悟完了、犯罪上等なのだ
その思いを受けて、一稀は自分の銀のさら…欲望を叶えうる魔法の杖を差し出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
キミのほうが、想いが強くて立派だと。
燕太はその異常な交流に、テケテケ逆立ちで追いつく。『マトモ』をひっくり返さなきゃ、踏み込めない領域なのだ。
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/BrrnAnk4Yt
ここで一稀の表情が引き締まっているのは、自分が足を止めてしまっている暗闇に、悠が既に足を踏み入れてしまっていること…自分のためらいが悠にとっては過ぎ去ったリアルであることを、痛いほどに思い知った結果だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
犯罪はポップな夢想ではなく、人生と愛にブスッと突き刺さる生々しい刃
その事実を、気軽な犯罪計画を持ちかけて踏みつけていたことに思い至ったから。自分がどれだけ身勝手だったか、漏洩した秘密を見て思い知ったから、一稀は欲望を手渡したのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
だが、本当にその皿は手渡して良いのか? 掴みたいと思った欲望は、どんな顔をしているのか。それを今後掘るのだろう
複雑怪奇な明暗が、少年三人の純愛と欲望を照らす。奇っ怪なアングルで切り取られる、真心のコミュニケーション、無理解のディスジョイント。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
春河の"兄"でもある燕太は、弟を諦めるかのような一稀の言い回しにショックを受け、糾弾する。
お前、アイツが大事じゃなかったのかよ!
その問いかけに、少年は表情を鋭くし『アイツのことが嫌いだ』と吠える。キュウリかじっていた時ののんき顔は、どっかにぶっ飛んじまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
これで"次回に続く"である。前回の車椅子といい、毎回強くていいヒキ入れるなぁ…こういうワクワクの巧さが、アヴァンギャルドを食わせるのだ。
というわけで、悠の秘密を暴露し、漏洩させ、そのショックが少年たちに反応を引き起こすエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
家庭内の温度、愛する者への感情、その現れ。少年たちは全くバラバラに孤立して、しかし魂の奥底で同じものを見ている。
かつて(燕太にとっては今も)追いかけた、サッカーボールのように。
それがどうパスされ、ゴールできるのか。はたまたファウルを取られたり、ボールを見失ったりするかは今後の展開次第である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
兎にも角にも、愛のためなら『マトモ』を蹴っ飛ばせる焦熱が、全員に宿っていることは分厚く確認できた。
誓兄ちゃんが、あまりにも狂暴な純愛人間過ぎる…。
組織時代の兄ちゃんが"白い鳩"背負ってんの、いい皮肉だなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
犯罪上等の反社会集団が、平和の象徴をマスコットにする。
可能ならば、優しくあたたかい家庭を守り、善良に暮らしていたかった。でも世間の荒波が、全てを奪った。悪くなるしか、生き残れない
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/DEBtczdsfK
それでも洪水の後オリーブの葉を見つけた鳩のように、弟には幸福を与えてやりたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
兄弟最後の抱擁は陰りの中ではなく、光の中で行われている。この眩しさと温もりが悠を縛り付け、また愛されているという実感を与えてもいるのだ。
呪いは常に、祝福の背中に縫い付けられている。
こうしてみるとスカジャンの翼は天使のようでもあって、顔を見せない兄が既に死者なのかも、という空想も踊る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
春河の儚い描写と合わせて、どーも死者の国との通信ツールに見えんのよね、このアニメの"携帯電話"。
死の河を超えて想いが届く描写もイクニ作品にはよく顔をだすので、注目したいポイント
水辺の浅草が格差に飲み込まれ、地べたの"下町"と移植された"山の手"に分断されつつあるリアルな事情も、今回密かに描かれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
"階級都市―格差が街を侵食する (橋本健二、ちくま新書)"によくまとまっているが、この長い影と低い光の同居/侵食は浅草の"今"だ
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/KS44d3fWvE
すごーくファンタジックでギガエロティックな妄想世界を重ね合わせつつ、現実を取り巻く時代感覚、シビアでハードな生々しさから目を背けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
むしろぶっ飛んだ夢幻を重ね合わせることで、リアルを直接見つめるよりも鋭く、そのグロテスクを顕にしていく。
そういう幻想作家としての鋭い目、腕前も幾原邦彦の大きな魅力であり、それは"浅草"という舞台だけでなく、そこで踊る少年たちにも深く切り込んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
彼らが抱え込むものはとても切実で、生々しく、様々に異なっている。簡単には相互理解に至らず、それでもどこかで繋がっている。
そんな三者三様の地獄が、ここまでの四話で開示された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
欲望の形、愛の狂暴はどんな摩擦を生み出し、痛みをこらえて内側に受け入れられていくのか。
エロティックで、だからこそ切実な慕情と誘惑はどんな火花を生み出すのか。
さらざんまい、とても面白いです。次回も楽しみ。
追記 愚かでいいのだろう 見渡す夢の痕さよなら 蒼き日々よ
さらざんまい追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
『バレて困るような嘘を言うな』
『キスを勝手に略奪するな』
『身勝手に側に痛いとか言うな』
カパゾンビに叩きつけた少年たちの言葉が、軒並み『お前が言うな!』で自分に突き刺さってんのは残虐で美麗ねぇ…ウットリしちゃうわ。
ガキどもは自分の欲望すら直視できないバカばっかで、勝手に暴れて勝手に傷つけて傷ついて、好き勝手に走っている。ゾンビ狩りのフッドのように見えて、三人全員バラバラでもある。おまけに軒並みホモヤローだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
正しきも綺麗でもない場所に、しかし否定し得ない魅力と輝きがあるのなら。
それは正常や美麗をジャッジする大きな判断基準、信頼されるべき『マトモ』『フツー』が根本的に、実は危ういのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
そういう問いかけを、少年たちの身勝手な欲望は投げかけてくる。そういうデカい問いかけはあくまでドラマとコメディの熱量から自然と湧き出てきて、堅い感じがしない。
そういうとこ、やっぱ良いなと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
すげーデカいこと言ってんだけど、まず自作に熱心なのよね。『今、この話を書く!』という近視眼が、ブンブン唸ってるところに、信頼がある。
そしてそのエゴイズムは、キャラにもしっかり投影されて愚かさと体温があるのだ。俺このアニメ好きだな(何度でも言う)
追記 リアルはファンタジーの中に、物語は現実と癒着してある。夢で麻酔をかけるだけしか機能がないポルノは、それこそ"クソくらえ"である。
さらざんまい追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
"少女革命ウテナ""ユリ熊嵐"に漂っていた耽美の気配、現実の生臭さをファンタジーでシャットアウトし、峻厳な世界観構築で雑味を混ぜ込まない作り込み。
それと"さらざんまい"の腸液ダラダラ、クソ噴出の生っぽいゲイ描写は真逆にも見える。
これが『いい加減新しいことしてぇ…』というイクニの自己挑戦なのか、同性愛をリアルな感覚に引っ張り降ろす簒奪の企みなのか、はたまた別の意図があるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
それは先を見なきゃ(多分見ても)判断しかねるところだが、僕はコプロフィリアなところも含めて好きである。
ケツに突っ込みゃクソが出る。傷が出来れば血が流れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
当たり前の身体性を、そのあまりに完成された美麗によって"耽美"に閉じ込めてしまった第一人者たる幾原邦彦が、先頭を切ってケツの穴を描く。ケツがあって、生臭い存在としての変態性欲を書く。
それは社会から逸脱した(とされる)欲望を手放せず、己と抱きしめている人が確かにいる"今"を、見つめ直す視座だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
そしてそれは、江戸期の衆道趣味という"過去"にも伸びている。あの時代のホモネタ、ホントクソまみれなんだよね…生臭い。
江戸期の残り香を戦略的に背負い、"ザ・ジャパン"として生き延びている浅草。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
そこで『日本が日本ぽかった』幻想の投射先としての江戸紀、そこで流通していたセクシャリティと、仮想の中の腸液噴出が時間を超えて衝突する。
勝手に見取った絵図だが、僕にはそれがなかなか面白い共鳴に思える。
僕は"ユリ熊嵐"が凄く好きで、あれがとても綺麗なおとぎ話、男性が存在しないがゆえに女と女が抱き合うのが『当たり前』の幻想として自己閉鎖していることが、とても好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
現実から切り離して始めて、語れる物語は確かにある。
そして、湿っぽい生々しさを盛り込んで、初めて語れるものも。
そこにズズイと"さらざんまい"がぶっこんできたのは、僕は凄いことだなぁと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月2日
綺麗でソフトな口触りの、食い散らかしやすい"耽美"だけが背徳の実相ではない。色々あるなら、色々やるしかない。
叩きつけられる糞便からは、そういう気合を感じる。俺このアニメ好きだな。(何度でも言う)