キャロル&チューズデイ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
ついに始まった"マーズ・ブライテスト"本選。
予選にもまして個性豊かなトンチキ相手の勝ち抜きトーナメント。
我らがキャロチューの前には強火の厄介ファンとか、SNSの人気者とか、元ギャングスタとか大集合。一筋縄じゃいかない百鬼夜行、少女たちはどう踊る?
というわけで、どうも1クールの焦点になりそうなMBエピソード、第二話目。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
決勝の舞台に癖の強い連中が集まってきて、キャロチューの順風満帆ロードにもいい感じの波風立ってきたぞ! って状況。嵐に漕ぎ出す中で、二人の強みも強調されていく。
すっかりアンジーのモンペなので、彼女(とタオとママ)がどうなるかも注目していたが、バチバチ火花を散らしてライバルと運命的に出会ったり、なんかいい感じに運命転がりそうなメガネ女マネジを雇ったり、グッと回転してきた。いいよ~、そういうの待ってたよ~。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
キャロチューサイドにはチューズデイの強火ファン、シーベルがぶっ刺さり、『あ、超ろくでもないことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
声が佐倉綾音だし、女と女の関係と感情を超かき回す人間スクリュードライバー以外のナニモンでもねぇ』という予感が、いい塩梅にビリビリする。
『名前覚えない』は良いヘイトアーツだなぁ…
シーベルは『キャロルと会うために』MB本選まで勝ち残る。その妄執は大したもんだが、音楽それ自体に向き合えていないヤバさが、このお話では致命打になりそうでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
しかし今回のお話がそうであるように、火星では何もかもが見た目通りではありえない。
チャラいギャル男に見えて、本物のダンスと歌、情熱とカリスマを持ったピョートル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
死にかけのジジイはヘヴィ&ラウドなサウンドを奏で、AI犬は審査員としてヴァイブスを感じ取り、強面は透明なヒップホップクワイアを歌い上げる。
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そんな中、AIのアシストを使わず、ナチュラルな素の自分で勝負をかけたキャロル&チューズデイに、カトリーヌは『それこそがあなた達の強み』と穏やかなエールを送る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
毒舌に見えて、音楽とアーティストの可能性にとても真摯。彼女にもまた、裏がある。
人種と性別、人間とAI。様々な多様性が雑多に煮込まれた火星のナチュラルから、アンジーは特別扱いされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
『アンジェラとその他』に分類される事は、少女にとってハッピーなのか。『勘違いした素人』になれない事は、結構辛いのではないか。
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アンジーは車内…移動する密室、完全なプライベートの中で、サングラスを掛けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
先週、チューズデイが自分の顔と過去を隠すために使ったアイコンは、カメラが特別扱いして近寄ってきた時、顔面から外される。ナチュラルな表情を見せても、そこには媚と打算がある。その奥に、小さな震えもある。
アンジーにとってサングラスは、脆い自分に立ち入らせない鎧なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
注目され、特別扱いされ、結果と娯楽を最初から期待されている少女。幾重にも仮面をかぶった天使は、早々簡単に新入りマネジに心を許さない。それが彼女の防衛策だからだ。
自分だけの部屋で、アンジーはケイティとの間に線を引き続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
ケイティも(まだ)一線を越えられない。タオも自分を見に来ない。沢山のカメラに見据えられても、アンジーの苛立ちは埋まらず、仮面は剥がせない。
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そこに踏み込む特権を、同年代のキャロチューだけが持ちうると示すこと、三人がライバル関係になりうることを見せるのが、今回のエピソードの大きな仕事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
取り繕った"天使"の演技を、アンジーはバックステージで引っ剥がす。
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「プロデューサーの仕事してんの!?」とアンジーが苛立った時、タオはAiの作り出す音楽に向き合っている。それが火星のスタンダードだからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
『勘違いした素人』の歌、ナチュラルで飾りのない素直な歌、タオが振り向く歌を前に、アンジーは苛立ちと挑戦状を叩きつける。
いかにも嫌な金持ち娘ムーブなのだが、彼女が向かう先は"STAGE"の矢印で示され、その表情には苛立ち以上の何かが、しっかり刻まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
天使の仮面を引っ剥がした"なにか"に、おそらくアンジー自体も気づいていない。それに名前を付けていくことが、今後の彼女の物語なのだろう。
その歩みにケイティが、ママが、今回不在のタオがどう絡んでくるかは、来週のバトルで見えてくることだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
正直結構なダンドリ感ある筋立てなんだが、出てくる音楽が全部"マジ"なので、妙に体温高くなるのは質の暴力で素晴らしいなぁ、と思う。ピョートルのマジモンっぷり、一発で"届く"もんな。
キャロチューの試金石になったOGブルドッグは、偽りのボースティングでギャングスタを気取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
原義通りのanthemをストリート文化に取り込んだ歌は素晴らしいのに、過剰な鎧を着込むことで信頼を失い、敗北してしまう。
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後に顕になる、脆くて優しい彼の素顔。歌いきって安心して、それが一瞬見える瞬間をちゃんと切り取っているのは、このアニメらしい細やかさだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
素の自分とは違う名前、素性、起源を演じてアーティストとしての鎧を作っていく(その時、ストリートの犯罪感が"武器"になる)のは、ラッパーだなぁと思う
まぁヒップホップシーンも当然色々あって『悪そうなやつはだいたい友達』が共通言語だった時代は遥か過去である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
それでも分かりやすい押し出しを求め自分を偽り、しかしそれはカトリーヌには見抜かれてしまう。先週タオが言っていたとように『そんなに甘くはない』のだ。
ナチュラルであること。偽らないこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
キャロチューの武器とされる部分が、しかしAIが当たり前に音楽を語り、性差(と地球の僕らが受け取るもの)を乗り越える人達が多い火星の『不自然』のなかでどう掘り下げられるか。
それは今後、作品の奥行きを決める大事な部分だと思う。
そもそも"ナチュラル"なままでは生きられない、テラフォーミングされた火星の中で、それでも"ナチュラル"であるとはどういうことか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
キャロルの失われたオリジンが地球にあること含め、装うことの意味、偽ることの価値に踏み込んでいくことは、ナチュラルである特権を背負った主役にとっても大事だ。
過剰にナチュラルであるシベールと、ナチュラルであることを見失いかけてるアンジー、両極にキャロチューが出会えたのは大きいことなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
シベールが愛するチューズデイに向き合う時と、どーでもいいキャロルに向き合う時の"距離"ね…。
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『むき出しの不発弾かよ…』って感じの間合いだけども、それが爆裂するのは本選第四試合がある次週となろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
『今週はアンジェラさんでないから、タオさん来てないんじゃ?』という台詞から鑑みるに、来週は来るんだろうしな。バチバチしてきたぞ~。
バチバチと言えば、断酒を宣言してたガスがキャスケットにキスしまくってるのは気になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
第6話でヨシュアが見せていた、緊張の麻酔薬としてのアルコール。大勝負を前に、ガスもその魅力に飲まれたか。
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保護者席で一足先にバチバチやり合う、ママとガス&ルディー。失った夢を娘たちに投げるダメ大人も、本選という火薬庫で炸裂し、なにか新しい場所に到達できるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
ここら辺のブッコミも気になるところだ。やっぱ色々タネ蒔いてるエピソードだな…。
今回のサブタイトルは、モット・ザ・フープルをデビッド・ボウイがプロデュースしたグラムロックの名曲、"All the Young Dudes"から。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
日本語タイトルは”すべての若き野郎ども”だが、老若男女問わず、音楽で何かを突破しようと、ナチュラルな自分に向かう人達の苦闘喜劇を優しく見据えるお話だった。
ジギー・スターダストとして『両性具有の宇宙人』という仮初の人格を演じ、スターダムにのし上がったボウイの曲が、『AI世代の火星音楽』のサブタイトルに使われるのは、なかなか面白い共鳴だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
"ジギー・スターダスト&ザ・スパイダーズ・フロム・マーズの栄枯盛衰"だもんなぁ、アルバム名。
誰もが星になりたいと望んで、"火星で一番輝くもの(Mars Brightest)"のステージに上る。パブリックイメージの奥に嘘を、あるいは秘めた実力と情熱を隠して、けしてナチュラルとは言えないけども、それでも必死に踊る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
そんな屈折から、主役の少女たちだけが自由だ。軽やかさと率直さこそ武器だ。
そんな素朴な時代が、一足先に屈折したライバルたちとの衝突でどう変化していくのか。惹かれればこそ唾棄する"ナチュラルな素人"との出会いは、アンジーと仲間たちをどう変えていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
火星の仮面舞踏会は、まだまだ続く。来週も楽しみですね。
あ、AI審査員シャクティは渋い吉野裕行声がバッチリハマっていて良かったです。魂のない自分を、軽いブラックジョークに仕立てるエスプリもいい感じだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
魂入った音楽に震えるのは、そうプログラムされているからか、熱が共鳴するからか。
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犬の外見も合わせて、ちと"狗子仏性"を思わせる面白いキャラクターだと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
イデアにシャクティ。AI生命体が軒並み哲学的・宗教的な概念を名前として選び取ってるのは、なかなか面白い。機械知性と湧き上がる感性を融和できるから"シャクティ"なのかなぁ…。
追記 一足先に大人の世知で自分を鎧ってしまった子供と、思う存分黄金の幼年期、火星の多様性を泳ぐ子供。それぞれの幸福と不幸、無知と卓見が交錯を始めるタイミング。
キャロチュー追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
無条件の運命、多幸感に満ちた同質化をみっしり詰め込んで、主役コンビはようやく陰りにたどり着きつつある。
世界と私、私とあなたの間に切断があって、けして満たされることはない事実。己が様々に足りておらず、望みがなかなかかなわない現実。
そういう不満を思い知ることで、子供の中には自分の輪郭が生まれ、他者に満ちた世界との付き合い方も学習されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
幸福だった幼年期を過ぎて、不満だらけの青年期へ。キャロチューを巡る物語の進行は、人間普遍の成長曲線としっかり重なっている。
そんな黄金期を既に過ぎ去って、不満(に埋め込まれた愛の乱反射)だらけの暗闇で、必死に思春期と取っ組み合ってるのがアンジーである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
アンジーの幼年期は匂わされつつまだ明言されていないが、おそらくキャロチューの出会い、その先にある幸福な日々のように全きものだったのだろう。
でもそんな幸福な子供部屋には、もう戻れない。ママのいうまま子役人形だった時代には戻りたくないけど、ママを愛しているし愛されてたい。しかし、ママが押し付けてくる愛には息が詰まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
主役が向き合う(だろう)当たり前の矛盾に、アンジーは物語の開始時から飛び込んでいる。
母との距離感にしても、意を決して出た後は振り返らない(かわりに、お兄ちゃんが引力に囚われ続けている)チューと、不在を不在と感じないキャロル、主役は共に葛藤がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
多分、今後にょきにょき芽生えて取っ組み合うことになるんだろうけど。
アンジーは父であり母であるダリア(よりにもよって母なる暗黒にこの名前、マジでエルロイである)との権力闘争に感情をメチャクチャにされつつ、そんなナチュラルを誰にも預けられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
強がり、嘘を着込むことで己を防衛する以外、術を知らないし与えられない。
素裸の自分、AIに頼らない音楽で突き進められる"ナチュラル"が実は凄まじい特権である事実に、主役が目を向けるのか。自分が幼くあれることの特別さを、玩弄し蕩尽するのではなく、誠実に研ぎ澄まして武器に変えうるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
MBを超えた後の物語で、僕が気になるのはそこだったりする。
そういう陰りに向き合ってこそ、陰影のある自分らしさをしっかり掴み取って、いい話を展開することも可能だろうし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年5月30日
まぁここまでの周到かつ精密な演出制御を見ると、キッチリやるとは思うんだが。
あとアンジーに友達作ってあげてくださいねマジ。(アンジーPTAからのご意見表明)