かくしごと を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
漫画に喰われて消えた記憶、時を巻き戻して演じられる優しい嘘。
運命にすり潰されてもなお離せぬペンに、姫は思いを閉じ込める。
それでも消えないものが、心の扉を叩くなら。
箱に閉じ込めた過去と未来を開け放つために、少女よ、まっすぐに走れ!
そんな感じの大・団・円! かくしごと最終話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
まー…素晴らしい仕上がりでした。
これまで断片的にしか見せられなかった未来をつなぎ合わせて、謎解き答え合わせが押し寄せるカタルシス。
シャープでクリアな未来世界の表現を、全身で浴び続ける喜び。
メロウでハートウォーミングな部分だけでなく、シモネタでド下らねぇ要素も含めて、人生全部を肯定する話運び。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
忘却という箱を開けて、未来へと突き進んでいくハッピーエンド。
めぐろ川たんていじむしょ再結成も含めて、まさに集大成。ここにたどり着くために合った物語、全てを活かす最終回でした。
南国にしても、改蔵にしても、絶望先生にしても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
散々バカやってた世界がその実凄くシリアスで、暗く重たい真実。
そんな世界を満たしていたバカな嘘が、洒落ですまない人生の苦味を飲み込む大事な妙薬であること
これを最後に暴露する不意打ちが、久米田先生の”最終回”な印象があります。
”かくしごと”は未来の描写を随所に挟み込むこと、破綻だけを描いて中間を描かないことで、『何故こうなってしまうのか?』という興味と、『この幸せな日々はこうなってしまうのだ』という覚悟を、早い段階で視聴者に作る運びでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
どうなるかは知っていても、何故、どのようにそうなるかは知らない
この計算された宙ぶらりんが、全ての謎が明かされる瞬間を待ち望みつつ、訪れて欲しくないと願うアンビバレントを強め、読者を作品に引き付けてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
姫と可久士に積み重なる、愛おしくありふれた日々。
それは謎と未来のどん詰まりが明らかにされ、それを越えて進んでいくカタルシスの滑走路です。
しかし積み重ねた日々はただの素材ではなく、それ自体が輝きを放ち、掛け替えのないものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
世間の視線に耐え、、一筆一筆積み上げてきた生原稿。
鎌倉の家という、失われた愛おしさをそれでも守るための”箱”から、姫が可久士の存在証明を持ってきたことで、忘却という箱は壊れ、時は動き出す。
画業への執着も、下らねーいがみ合いも、優しい微笑みも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
可久士と姫と、彼らに関わる沢山の人達が積み上げた物語の全てが、このお話が終わるためには必要だった。
そういうふうに、自分たちの作ったものを寿ぎながら終わることが出来るのは、非常に幸福だと思います。
散々見せられた未来世界の荒廃と寂寥、思い出だけが箱に積み重なるどん詰まり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
その謎解きをしつつ、18歳になった姫が自分の意志で、父の物語を再起動させる。
『かくし』の物語として始まった第一話が、『ひめ』の物語として終わり、二人の新しい人生が始まっていく。
円環を描きつつ、高く高く飛び立つ希望に満ちた、螺旋構造の物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
久米田先生の原作、それを再構築したアニメ両方の背骨を支えた、メタ構造の巧さと、それに振り回されない世界観の活力、作品世界という”箱”の中で生きるキャラクターの血潮。
自作の全てを生かしきった、見事な作品でした。
さて物語は、これまで断片的に描かれてきた”未来”をつなぎ直し、リニアな現実として駆動させるところから開始します。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
こうしてつなぎ直されると、光と影の表現に凄い力があるな…未来世界の色彩。24分これを浴びれるのはマジ幸福。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/ZMVAAdVJrN
”箱”を開ける鍵を貰って、七里ヶ浜の駅にたどり着いたところから始まった物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
姫は薄暗い影から眩しい光へと、身を乗り出していく。
見ていた当時はこの影が何を意味するか、判らなかったわけだけども。今回ネタが明かされたことで、父不在の孤独と、11歳以降の困窮だったと納得もできる。
今回は影から日向へ、明から暗へとキャラクターが踏み出す/踏み込む演出が非常に多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
コメディの中に苦い人生の活写を盛り込み、バカ騒ぎの奥にホッコリ心を揺らす日常を刻む。
過去編でも元気だった両極の同時描写が、シリアスな局面で別の武器を振り回してくる感じだ。
ここまでは一応既に見た物語だが、箱が開いて物語が進むためには、新しい物語が必要になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
つーわけで謎の少年がINNだ! 誰だオメー!!
と思ったら、後藤家の複雑な家庭事情が”隠し”てた、姫ちゃんの弟でした。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/UhIGthAn2E
隠し子に”可久士”って名前つける親のセンス、ぶっ壊れ過ぎだと思うけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
日本画に歌舞伎、”和”の美術のメインストリームに挟まれる形で、父子は生まれた。そのどちらにも身を寄せることが出来ず、しかし芸術から離れることも出来ず、可久士は漫画家になった。
彼が時に過剰に世間の目を気にしてきたのは、非嫡出子という生まれが、結構影響してんのかな、などとも考えてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
しかし妹さんとの距離感は良かったようで、弟くんも姉ちゃんを大事にしてくれるナイスガイだ。彼との接触から、箱が空いて謎が繋がっていく。
姫がなつかしく思い出す、優しすぎるお父さん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
知らない内に色んな女の恋情を引き付けていたことが、不幸の呼び水となったのか。
千田さん、赫赫と輝く”止まれ”を、守れないほどに本気であったか…。その勇み足が、全てを壊した、と。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/JNRDkjm8Ue
それを知ってしまったら、もう笑えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
重たい過去が顕になってしまったら、素直に笑ったり、ホッコリなんて出来ない。
本気で嘘を付く仕事の脆さを、”美談”はぶっ壊してしまう。画業を追い出されてなお、姫を養うために挑んだ仕事で、可久士は漫画に喰われた。
ネタだったはずの無自覚ハーレムが”止まれ”を越えて、黄金の日々が破綻するトリガーを引く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
その脆さと儚さもまた、人が生きる世界、その実相の一つである。いやまぁ…千田はパナし過ぎだと思うけど。
一生、好きだった人とその周辺を決定的にぶっ壊した傷を抱えて、この子生きていくんだろうなぁ…。
硬くて重たい質感を乗っけるために、未来世界はシャープで鋭い描線を選び取っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
柔らかな夢のようだった、黄金の日日。僕らがメインで見てきた過去は、色彩も輪郭もソフトだ。
その先にある冷たさが、メインに躍り出てなお、柔らかな時代は消えない
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/OeWfiVrmgU
これが対峙/衝突/突破して話が決着する未来は、OPラストカットで最初から示されていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
可久士が身を置く暖かな7年前と、18歳の姫が立つ寒色の現在。
雲も草も全く違う描き方をされる二つの世界は、混ざり合うことなく隣接し…今回、ようやく”その先”が見えてくる。
そこにたどり着くためには、隠されていた過去を暴いていく必要があって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
満ち足りていたように見えた、親子二人の生活。その裏には、妻と娘のために全てを使う困窮があった。それを笑顔で”隠す”ことが、親父最後の矜持だったのかもしれない。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/MnKwkBakDw
無邪気で何も知らない姫を、世間の風から守る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
空回りを笑っていた”かくしごと”も、思えばシモネタ漫画家の娘だと後ろ指をさされないように、姫を思っての勇み足であった。
筆を手放し鉄骨を握ってなお、姫だけは綺麗な場所に守り抜いた。オヤジ…アンタは偉い。
しかしそういうシリアスさは、楽しく虚構を消費する側にとってはノイズになる。洒落にならない現実を知ったら、洒落は洒落でなくなってしまうのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
コメディの危うさに踊らされて、可久士は暗い場所へと飲み込まれていく。(暗→明への移動)
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/j04Hs16rHu
僕らが見てきた”かくしごと”という作品自体が、シリアスな事情を知ってなお、というか寧ろ知ればこそ『毎度バカバカしいお話』を笑って楽しめるような構造になっているのは、非常にパワフルである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
可久士が飲み込まれた、残酷な世間の荒波。それを越えて”ギャグ漫画”が成立しうる証明を、自作でやる
ガハハと笑い飛ばし、ひっそり下に見て溜飲を下げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
そういう使い捨ての笑い以外にも、人生の苦味を滲ませてなお面白い笑いを、筆で生み出すことは出来る。
”笑い”ナメてんじゃねぇぞ。
このメタな救済の裏に、久米田康治という作家がが”ギャグ漫画”に寄せるプライドと信頼を、僕は勝手に見てしまう
可久士の断筆と、姫の作家性の発露。絡み合う過去と未来が、バッキバキにスタイリッシュな構図と建築で襲いかかってきて、脳みそが破裂しそうや…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
悲しい破滅の次に、新しい可能性を。それを追いかけるように、重たい現実を。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/1x6DGZGVBx
糾える縄の如く、希望と絶望は明滅する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
やっぱ可久士にとっての妹、姫にとっての弟が『いい人』なの、分厚く救いだなぁ。
世間的には素直に繋がれない間柄かもしれねぇが、当人の間には温もりと絆がある。そういうヘンテコな繋がりを大事にしてきたお話は、ここでも元気だ。
諦めようとして捨てられなかった、妻と娘と暮らす美しい日々。賤業と蔑まれても、血をインクに滲ませて描いた原稿。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
そういうものを閉じ込めた鎌倉の”箱”を、売らずにおいたこと…18歳の姫に鍵を預け、蓋を開けさせたことが大団円に繋がるのも、縁を感じさせて良い。
しかしそれを繋ぎ直すためには、暗い闇に深く踏み込む必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
『キミ、誰?』
よ、予測はしていたが耐えられない…マジキツい。
しかしその辛さに踏み込む歩みは、あくまで光の中への一歩である(暗→明への踏み込み)
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/cCDXWzAxDx
幸福に満ちた7年前。漫画にも家族にも世界にも恵まれていた、幸せな”箱”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
可久士の認識はそこに閉じ込められて、出ることがない。十丸院オメーじゃねぇよ幸福の源泉はッ!
でもまぁ、クソ編集とギャーギャー言い合うのも幸せだったかも…かも?
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/n04EsIzcnw
斜陽業界、端仕事と自虐していても、可久士は筆を捨てられない。白紙の記憶を追いかけるように、作り上げられる嘘っぱちのスタジオ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
過ぎ去ってしまった時間の残虐を、遠ざける優しい嘘。
再結成なったGプロが、姫に”かくしごと”してた後藤先生と重なって見える。に、人情…。
生業を隠していた”漫画家・後藤可久士”の仕事場に、10歳の姫は二重の意味でいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
対等に仕事をするパートナーではないし、そもそも”かくしごと”だ。知らない女の子はアシスタント候補でしかなく、思いのこもった姫の拳が…マジ辛い…。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/i8SmECd2zp
ここで何が一番幸福なのか、必死に考え想いを”かくす”ほどに、姫は成長した。ぽけけーっとなんも考えてない11歳の少女…の面影はあるけども、7年の過酷な年月は彼女を立派に育てた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
その風雪で折れなかったのは、やっぱ父が体張って守ったから、愛された思い出があったからだと思うよ。
7年前の幸福に時計をとめて、優しい嘘を付き続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
眩しすぎる真実を突きつけるより、お父さんが笑ってるほうが良い。
そう大人びた表情で語る姫は、しかし影の中に身を沈め(明→暗)、愛犬の胸で一人泣く(暗→明)。ロク…お前がいてくれて良かった
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/xDpaeueDN5
過去編だとただただ可愛い担当の子犬だったロクが、重たい”かくしごと”を涙と一緒に吐き出せる唯一の身内になってるのも、未来編の相転移だなぁ、と思う。デカくなったのは、姫だけではないわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
しかし思いを隠せる大人であることが、姫の涙を強くもする。どーにかならんのかッ!
一番漫画に体重預けてなかった墨田が、看板作家になってる不思議なども書きつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
Gプロは黙々と、虚空に原稿を積み上げていく。そういう嘘に我慢できえねぇ十丸院の暴走(ファインプレー)で、親子二人の時間が生まれる。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/APCXEZmWIA
ひまわりの花言葉は『偽りの富』、そして『あなただけを見ています』。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
虚構の仕事場で、漫画に真摯に向き合う父が見つめているのは、やはり姫。
一番大事な人に向けて必死に生きることが、作家の筆を豊かにもしていたのだろう。
思い出の中の娘を語る時、可久士の視線は光に向かう(暗→明)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
漫画だけが、可久士の支えではなかった。時を巻き戻す嘘だけが、人の救いではない。
姫は胸の中の箱を開けて、想いを開放していく。
少女よ、ひた走れ!
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/RO1dqSEYIa
ここでねぇ…探偵団の制服が全員違うのが、すっげー良いんすよ。7
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
年の時間が過ぎて、学校っていう”箱”はバラバラになったけど。
彼女たちはまだまだ友達で、助けてもらったことを忘れていなくて。
子供っぽい激情に背中を押されて仲間が走るなら、一緒に駆け抜けてくれるのだ。
時の流れを背負って、錆びて荒廃していく建物。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
その世知辛さを越えて、時間を先に進める。優しい嘘を越えて、その先にある青空へと駆け出していく。
そこに広がる雲は未来のシャープな描線ではなく、暖かな日々の柔らかさを取り戻している。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/ZRnHYOBPY1
この雲のクローズアップ、ホント天才の演出だな、と思うんですけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
未来が現在に追いつき、謎が明かされ時間が進む最終回。散々現実のシビアさを刻んできた筆致が、今まで11話積んできた夢のような柔らかさを思い出すことで、大団円への扉が開く。
そういうドラマを”絵”で示す。
ここに説得力を持たせるためには、一貫性と意志のあるムード・コントロールが必要で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
この大きな入道雲には、ほんわか日常コメディに甘えず、徹底的に意識を込めて作品世界の描画を統一していたことが、最後の最後で巨大な演出爆弾として炸裂した感じがあります。マジすげーな…。
姫が記憶の扉を開けるべく、鎌倉から集めてきた鍵。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
それは可久士が筆を握って、一コマ一コマ作り上げてきた過去。厳しい現実に苛まれてもなお、作家として『いい最終回』まで導いた、下らねぇギャグ漫画。
過ぎゆく季節の中、確かにあった人生の一ページ
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/hCS4YDaJkC
甘い夢に自分を閉じ込めて守ろうとすれば、その掛け替えなさも消えてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
可久士が姫から手渡された原稿は、どこか可久士が妻を思い人生を燃やした日々と呼応している気がする。
消えたとしても、忘れたくはないから。
鎌倉の家に住めなくても、壊せなかった男なのだよこの人は…。
漫画も、娘も、生活も、ドタバタも、笑いも、辛さも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
全部がそこにあった。
幸福な日々は夢のように儚く消えてしまうとしても、嘘にはならず確かにそこにあった。
僕らが見て、彼らが活きた物語は、隠されてしまうものではない。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/GDrz1dSLdM
その中心には、いつでも君がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
筆を奪われ、ボロ屋に追い込まれてなお、世界を輝かせてくれるあなたが。
愛した人が死に、それでもなお歯を食いしばって生きようと思えた、その証となるあなたが。
可久士の記憶は、僕らが知らない未来へと…確かに歩んできた過去へと進んでいく。
世知辛くもあり、美しくもある中学時代の色彩。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
それこそが、このエピソードで幾度も繰り返され、暗示されてきた影から光への跳躍…全てが幸福へと向かっていく結末の呼び水だ。
幸福な10歳を過ぎても、中学に入っても。
姫とお父さんは幸せだった。
そう思い出せたのなら、箱の蓋は開くのだ。
かくして父は優しい嘘から飛び出し、娘に”かくしごと”がバレた気恥ずかしさに赤面する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
かくして、18歳になった娘と父は対面し、時計は動き始める。
『なんも良くねー!』と吠えるけども、いや…良かったよ後藤先生…本当に良かった…。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/dszJ6IMt1A
かくして僕らを引っ張ってきた悲しい破綻のその先へ、物語は進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
色々辛いことはあるけど、世界は柔らかで暖かく、ドタバタと笑顔に満ちている。
暖かな過去を超えて冷たい未来に飛び込み、既知の情報を整理・公開したあとに、未知の物語へと踏み込む。
物語が、”家”に帰ってきた感じもある。
しかし姫の世界は、何も知らなかった幼い輪郭には戻らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
隠し事をたくさん知って、自分にも隠し事が出来た。
胸の奥に思いを隠す優しさと、それを解き放つ強さを学んだ少女の世界は、今までの全てがあって、そのどれとも違う色合いだ。
© 久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会 pic.twitter.com/gNpkwvw4pR
後藤先生も漫画家として再出発するべく、かつてのアシの城に間借りしてアイデアを練る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
美しい思い出は取り戻されて、しかし同じ形にはならない。
少女の背丈は伸び、可久士もゼロから再スタートとだけど。
大丈夫。EDのその先へ、物語は進んでいける。
姫ちゃんのお母さんが結局見つからない所が、僕は凄く好きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
世界はそういう風にシビアで、都合のいい物語のようには巻き戻らない。死人は死人だ。
でもだからといって、可久士が注ぎ込んだ金と思いが無駄だとは思わない。
いつか壊れるとしても、共にあった幸福は消えない。
一瞬と永遠が、儚く美しく踊る人生というダンス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
その只中を駆けていく父と子、それを取り巻く様々な人達の諸相を、懸命に賢明に追いかけ、刻み込む作品だったと思います。
主役の太さが言うまでもなく、横幅広い群像を大事に運んでいたのが良かった。
憎まれ役かと思われていた『ダテナオト』が、憎らしい婿どのの入院費を出してたと理解る最後のツンデレ爆弾。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
『戒潟先生…アンタも”オヤジ”だったか…』って感じですけども。
色んな連中が生きてて、色んな幸福と不幸が入り交じる人生という”箱”そのものを、祝いだ作品だったと思います。
つうわけで最終回でした。いやー…素晴らしかった!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
アニメ化と同時に漫画も終わらせる決断に支えられ、過去と未来が複雑に連動する物語がしっかり終わる心地よさ。
現在の暖かさに癒やされるほどに、執拗に突き刺さる未来の破綻に怯えつつも、目を向けざるを得ない構成の妙味。
それを成立させる色彩やライティングの徹底、ソフトな日常描写と鮮烈な演出の同居は、非常に見事でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
最終話が特にバッキバキだけども、常に何を見せるか、何を差し込むかは考え抜かれたアニメだったと思う。
でもその鋭さが悪目立ちせず、日常の手触りも愛おしく描けていた。
なにより姫と可久士がチャーミングでしたね…みんな可愛いけど。うーん、十丸院はどーかなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
姫がむっちゃ可愛いから、彼女に本気すぎて空回りしまくる可久士もグッと胸に迫るし、愛しい娘を守るため歯ァ食いしばって生き抜くシリアスにも、体重を預けてしまう。
笑いのためには、シリアス邪魔だよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
そういう気持ちにならない作品を作っていたことが、可久士が飲み込まれた残酷から一歩踏み出して、ギャグ漫画の力、物語のタフさへと進んでいくラストを下支えもしてました。
お仕事要素も含めて、漫画家漫画としても凄いパワーだと思う。
ほっこり家族エッセイ、ドタバタ日常ギャグ、冷たいサスペンス、シリアスな感動。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
凄くたくさんのものを貪欲に盛り込み、その全てを楽しめるよう精妙に組み上げた、見事な作品でした。
アニメというメディアの表現力を、この原作に噛み合わせたスタッフもまた、本当に凄いと思う。
多彩さは作品ジャンルだけでなく、そこに流れる感情も豊かで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
姫と暮らす暖かなシェルターを描きつつも、その外で吹き荒れる風の強さ、人生の厳しさから目を背けず、しかし膝も屈しない。
愛に出来ることはまだまだあると、堂々吠える最終話の前向き、見事でした。
僕は、コマの外側に続いていく物語が好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
幕が下りて、キャラクターを照らすスポットライトが落ちたとしても、彼等の人生は続き、作品世界という”箱”は豊かに踊る。
そういう気持ちにさせてくれる最終回って、本当に良いものだと思います。
笑いも涙も、嘘もみっともなさも尊さも、全部ひっくるめて作品世界、そこに息づくキャラクターを描けたからこそ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
後藤家三人が海に進んでいくラストカットの”先”を、文句無しで見送れる豊かな終わりが、胸に着陸してくれたんだと思います。
みんな幸せになってくれ! いや為るッ!!
未来編の過酷さに散々振り回され、一体どうなってしまうかハラハラもしましたが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
最後にそう叫べる終わりにたどり着いてくれて、本当に良かったです。
ベタなハッピーエンドを文句無しで飲み込ませるためには、マジで力量いるからな…何度も言いますが、マジ見事です。
非常に楽しく、豊かな作品でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月18日
初見時の『これはかなり野心作だぞ…』という肌感覚を信じて、前のめりで見続けた思いが兆倍で報われ、非常にありがたい気持ちです。
良い物語、良いアニメでした。見たいと思ったもの、全部見れたなぁ…本当にありがとう!!