ノー・ガンズ・ライフを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
理想の成れの果て、老醜そのモノと化したウォシャウスキーと対峙する鉄郎は、ハルモニエを己自身に使う。
”処理屋”の背中を追い続けてきた少年を守るため、十三は拳を握る。
過去を超え、未来を掴む。
そのための”願い(じゅうだん)”は確かに、二人の魂に込められた。
そんな感じの佳境! VSスピッツベルゲンなお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
十三が喋らなかった時から…というか、熱い魂を男と男が確かめあった時から感じてきた絆が、真正面から殴りつけてきて非常に気持が良い展開であった。
こういう裏切りは、何度受けても良いもんだ。鉄郎はもう、”処理屋”に背負われるだけの子供じゃない
今まで誰かの体を窃盗してきたハルモニエを自分に使い、血を流しながら過去に、歪んだ鏡たるウォシャウスキーに立ち向かう鉄郎も。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
そんな相棒の未来のため、全身に力をみなぎらせ拳を握る十三も。
このアニメらしい”渋い熱血”を体現し、非常に良かった。やっぱ”拳”に重点した演出が生きるネ。
鉄郎に操られた(と思い込ませた)十三が地下に進むことで、鉄郎はウォシャウスキーと二人きりで向き合うチャンスを得る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
それはテロ組織を支援してた過去と、逃げずに向き合うことでもある。あるいは、ハルモニエの力を濫用してきた自分に。
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自分が正しいと思えることのためなら、他人をどう扱ってもいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
そんな独善に鉄郎は陥りかけていたし、ハルモニエはその象徴だった。
今まで他人を暴走させてきたハルモニエを自分自身に向けるのは、ウォシャウスキーをハメる欺瞞以上に、覚悟の現れという意味が濃い。
これは鉄郎自身が望んだ闘いであり、鉄郎自身が勝ち抜かなければ意味がない戦いでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
その思いと意義を、十三は夕焼けの事務所で存分に語り合い、受け止めた。だから少年が決闘に挑む邪魔をしないように、体を張って道を作る。
それは今まで通りの、侠気に満ちた”処理屋の生き様”であり…
同時に、他人の”願い(じゅうだん)”を魂に込めて、事件に挑むスタイルとは少し違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
鉄郎は自分の”銃(ハルモニエ)”に、自分自身の願いを込めた。十三の銃頭を借りるところから、彼を代理人として暴力の嵐に投げ込む立場から、離れることを決意した。
十三には、それが嬉しい。
ここで自分が手を引っ張っていた”過去”から、鉄郎に手を引っ張られる”未来”への変化を印象的に演出するために、十三のデカい背中、それを見つめる鉄郎の視線を強調してきたのかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
覚悟を固め、己の理想に血を流す生き方。
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憧れでしかなかった”処理屋”のスタイルに、鉄郎は悩みの果て追いついた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
過去と同じ…あるいはそれ以上の信頼で願いを託すにしても、自分自身が嵐の真ん中に立つことに決めた。
その成長が、十三に大きな力を与える。間違いだらけのガキが、いつの間にか自分を追い抜き、未来へ引っ張った。
乾十三はそういう変化を寿ぎ、己の力へと変えれる男なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
刃をへし折る拳の作画、それが鉄郎の凛々しい覚悟へとつながる演出が、男たちの間を繋ぐ敬愛と信頼をしっかり焼き付け、非常に良い。
離れていても…離れればこそ。あるいは、離れることを許せるほどに、強く結ばれる信頼。
今回のお話はバトルが二分割されていることに凄く意味がある構成で、その受け渡しも良い演出が冴えていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
鉄郎が向き合うウォシャウスキーの怪物性、鉄郎との類似性も強く冴えていく。
シワだらけの皮膚、不気味なチューブ。赤い瞳に宿る、狂った理想。
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”生きる”ための力として開発した拡張技術が、”死なない”技術へと腐敗してしまった憤り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
理想を体現するためのベリューレンが、現世利益を回収するための装置に変わってしまった無念。
ウォシャウスキーの中には、鉄郎が己を差し出しても叶えたい理想と、確かに似た部分がある。
しかし組織を犠牲にし、理想を諦め、いつしか歪んでいく思いは、十三との信頼を力に変え、生き様を変えた鉄郎とは似ていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
テメェの願いは、テメェの血だけで刻む。
そういう手前勝手な意地を、どこかに置き忘れて誰かを傷つける。その醜さに、いつしか目をつぶっている。
鉄郎自身も理想に目を閉じて、そんな悪魔とかつて契約した。その末路に何があるかを、喪った記憶で嫌というほど思い知った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
ベリューレンという無慈悲な社会装置を、止めるためなら犠牲もやむなし。
そんな”現実主義”が、生み出す痛みを実感した。
だから、自分も含め犠牲は出さない。理想も諦めない
そんな絵空事を叶えたいなら、対価がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
自分を暴力の只中に置きつつ、暴力に己を見失わない。トリガーを適切に引き絞り、狙い撃つべき相手を見定める。
そんな当たり前で、とても難しい生き方を無言で貫く男に助けられた所から、鉄郎の物語は始まった。
そしてウォシャウスキーは、それを諦めた。
自分のありえたかもしれない未来、過去の誤ちと向き合う仲間に水を差させないために、十三は己を縛る死穴に抗い、拳を突き立てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
俺がアイツを助けるんじゃない。アイツの闘いを、お前らに邪魔させないだけだ。
はー…十三かっこええわ~~~。
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かつてコルトの物語で、鉄郎は十三の力を借りず、無慈悲な運命を変えようとして叶わなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
自分が何もできない子供だと思い知らされ、それでも絶望に流されず、理想を追うための相棒として、自分の手を取った。
その温もりが、十三の矜持を支えている。”信頼”なんだよなぁ…。
十三が作ってくれた戦いの場で、悪魔は再び手を差し伸べる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
それを受け取らないことが、過去の自分を乗り越え、理想のために理想を腐敗させるカルマを超越する、新たな決断へと繋がっていく。
自分の魂に手を当てて、”願い”を込める。
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その仕草が、ハードボイルドな思考する銃器たる十三と、”処理屋”のスタイルと重なっているのが凄く好きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
銃頭ではなくても、鉄郎も一歩間違えば凶器になってしまう自分を見据えて、そうならないために自分自身に弾を込めた。
それは自分の矜持と誰かの信頼を混ぜ合わせた、意志を加速させる火薬。
目の前を塞ぐ諦めや邪悪に向かって、そいつを思いっきりぶっ放すことで…意地を貫くことで生まれる血まみれの反動を、微笑んで受け入れることで、どん詰まりの世界は変わっていける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
変えてみせる。
そういう決意を、ウォシャウスキーの手を取らなかった”今”の鉄郎は果たした。
この作品での”手”は誰かの手を取り、導き、未来を塞ぐ壁をぶち壊す力として、様々に描かれてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
自分一人ではぶっ放せない切り札を、信頼できる誰かに預けて引き金を引く、唯一の手段としても描かれてきた。
ここで鉄郎が掴んだモノのはそういう蓄積を生かして、凄く熱くデカいものとして描かれる。
これは身勝手さや独善、無力や苦悩も含めて鉄郎少年の歩みをじっくり追いかけてきた”時間”だけが可能にする爽快さであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
ハルモニエで無責任に、他人の体を操っていた少年が、よくぞここまで…。
迷い成長する主人公として、鉄郎がムケた瞬間と言える。
反拡張技術団体を率いつつ、その思いは『より正しい拡張技術』にあったウォシャウスキーは、拡張技術をいとわない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
しかし歪んだ理想にふさわしく、その拡張体はおぞましい外見をしている。いい塩梅にキモいなジジイ…。
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二箇所でぶつかり合う暴力は、距離を超えた信頼と意地で跳ね除けられていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
もう、ただの犠牲者じゃない。強い誰かに願いを託すだけの、無責任なガキじゃない。
十三が拳を握って吠える思いは、怪物に追い込まれた鉄郎に、確かに届いている。
ウォシャウスキーの赤い目、ホント良いキモさだよなぁ…
歪んだ理想を血液に流し込み、駆動する怪物。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
自分の似姿に敗けないために、鉄郎は赤い血を流し、自分の戦場を譲らない。
戦うための力は、呪いともなるハルモニエ。それは誰かを自在に操る兵器ではなく、己を奮い立たせるための…。
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ここ一連の”眼”の芝居は最高に良いわけだが、鉄郎に背負わされた十字架たるハルモニエを自分に向けることで、狂った理想、歪んだアニマ、理不尽な暴力に敗けない戦闘力を手に入れる流れも最高にいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
呪いが祝福に変わる瞬間と、少年が男に化ける刹那が見事に重なっている。
鉄郎に生き様を教えてきた十三も、GSUとしての過剰な力、兵器としての呪われた記憶を背負いながら、それに敗けない生き様を自分で掴んできた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
そんな背中におぶわれて来た少年が、同じように兵器でしかない自分を制御し、人間としての意志を突きつける闘いに挑む。この重なり合いが、非常に良い。
ウォシャウスキーも、拡張技術という世界を変えた力を生み出し、それに呪われた一人だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
鉄郎は第二のウォシャウスキーにならないために、それを生み出さないために、世界を変えうるハルモニエの力を、自分の責任で、意地で、思いで自分に向ける。
熱い…火傷するほど熱い展開だぜ…。化けやがった。
過去からの蓄積を活かし、物語のテンションは成層圏突破寸前。マジ盛り上がっているノー・ガンズ・ライフである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月29日
鉄郎の決意、十三の意地が巨大組織に何を刻み、何を切り開くか。
こんだけ熱い奔流をどう活かして話をつないでいくのか、次週非常に楽しみです。いやー…面白いなこのアニメッ!!