このはな綺譚：第11話『神様の休日』感想ツイートまとめ

このはな綺譚を見る。
深山に木枯らし吹いて、なお寂しき。紅葉の季節が行き過ぎ、冬の寂しさが気配を覗かせる頃合いに、神は来る。神無月過ぎて、なお地上に神無し。文明華やかなりし人の世にも、付喪神を愛する者もいる。
晩秋。枯淡の気配漂う中で、静かに滅びと再生を語っていく奇譚。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

というわけでAB明瞭に別れつつ、寂しさで通じ合うエピソードであった。
人の世に居場所の亡くなった神と人形。先週咲き誇っていた紅葉の錦も地に落ちはて、寒さを感じさせる季節に相応しい取り合わせだが、寂しさの中にも色があり、滅びの中にも満足がある。
艶やかなものだけを肯定しない姿勢が良い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

Aパートは人と神の境界線にある此花亭が、人の世で崇められなくなった神のハレの場になるお話。
芸能の神のどんちゃん騒ぎも、戦の神の静かな癒やしも、共に生き延びる活力を補充する意味合いでは同じだ。此花亭は一種の、神霊的ホスピタルなのだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

今週は櫻ちゃんの出番も多く、思う存分子供子供ふしぎ子供してもおり、大満足の仕上がりであった。
1クールず～っと櫻ちゃんが遊ぶ映像だけが流れ続けても大丈夫な自分は、戦の神の気持ちがよーく分かる。思う存分野を駆け、楽しくはしゃいでいて欲しい。万事皆仲良くなって欲しい。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

人の命を刈り取る刀剣で、子供の遊び道具を造る。本来の仕事が果たせなくなった戦神だが、その穏やかな暮らしを楽しんでいるようでもある。
ドングリの腕輪は、戦神として刈り取った霊を弔うための数珠か。
なぜ戦神が、頑是ない児童に惹かれるのか。その内面を語らなかったのがとても良かった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

オカマの酒飲みもまた、地上で行われなくなったハレの日の代用品であり、それ自体を存分に楽しんでもいる。
神様は存外にタフで、信仰が枯れ果ててもそれなりに生き、盛りを過ぎた神々の秋を楽しむ風流も知っている。そこに寄り添う此花亭もまた、盛りは過ぎた。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

ケモ顔でなくなった女将はいわば『全盛期の姿』であり、一瞬だけ蘇った『晴れ姿』でもあろう。晴れ晴れとした陽の気は遠くに去り、宴席で騒がれているのはその偽物でしかない。
それでも、寂しさを嘆くよりも楽しむ方に舵を切ったから、此花亭は未だ立ち、新しい狐たちもやってくる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

神が神として人に求められていた時代を、柚たちは知らない。寂れた秋こそが彼らの日常であり、遠い夏の日は他人事だ。
かつて熱い神世を当事者として生きた人々のノスタルジーと、枯淡を当然として生き延びている少女たちの想いが、すれ違いながら交錯する。なかなか風情のある、いい景色だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

季節がめぐるように、神が地上で崇め奉られ、求められる時代も戻ってくるのだろうか。はたまた命が役目を終えて朽ちていくように、神も滅んでいくのだろうか。
個としては寂滅しつつ、総体としては循環する。そんな大きなサイクルを思いつつ、個別の楽しみと喜びがある。此花亭はそれを全て受け止める

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

やっぱ、可愛い女の子ばっかが画面を埋め尽くすのではなく、オッサンやオカマやブサイクなブタがちゃんと喋って、存在してるこのアニメは良いな、と思う。
美醜性別は属性であって、価値を分ける絶対の基準ではない。色んな季節、色んな色、色んな思いが行き過ぎていくことで、人生の錦は色を持つ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

そこには滅んだり消えたり、枯れた晩秋の色彩も含まれている。全てを覆い隠す白い雪も。
巡る季節と人々神々の立場を上手く重ねて、物語と作品世界に奥行きを出せているのは、とても良いことだと思う。今回の話は、秋にやる話だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

さてBパートは、お菊の大冒険と寂しいお別れのお話である。獏に又借り10センチの世界をウロウロするお菊の視点が、よく作画されており素晴らしかった。
獏の足運びがちゃんと『動物』なの、凄く良かった。トロットを作画でやるのは、地味で手間かかるところだろうに。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

此花亭の末っ子として、邪険に扱われつつ愛されているお菊。彼女は彼女なりの幸せを見つけ、その意味をツンケンしつつも噛み締めている。
「ここの狐は、気のいい奴らばかりなんだから」という言い回しに、中居たちが彼女を普段どう扱っているかが透けて見えて、しみじみ良かった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

ああいう言葉は、エピソードとしては切り取れない日々の積み重ねが土台にあって初めて生まれるものだ。
逆にあの言葉を言わせたことで、描かれない日常生活まで視聴者の想像力が、スッと伸びていく。静かな秋の終わりが丁寧に書かれるお話のなかで、余韻がよく響く描写だった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

お菊は人のいい怨霊なので、同じ立場の西洋人形にも自分の幸せを分け与えようとする。
しかし同じように見えても、幸せの在処は人それぞれ違う。西洋人形にとっては、ぼろぼろになるまで使い倒され、役目を終えて死んでいくことが器物の喜びそのものなのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

生前のお菊が背負えなかった、必要とされる喜び。それを此花亭と仲居たちは与えている。だからこの曖昧な場所こそが、お菊の第二の生の舞台であり、未練なく生き切るための足場なのだ。
西洋人形は現世で存念なく生ききったので、亡霊にはならない。成仏するのは、生物だけの特権ではないのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

お菊の現在進行系の幸せ。西洋人形の過去完了形の幸せ。
その両方が本当のもので、だからこそお菊は自分の幸せに同輩を寄せようとした。デカ人間ばかりがウロウロする世界で一人、獏をお供に歩くのは、強がっていても寂しいのだろう。拾い上げたのは善意ばかりではなく、トモダチが欲しかったからだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

そんな寂しさを理解していたから、西洋人形は別れる時に謝って、微笑んで去っていった。
お菊の幸せは彼女の幸福ではなかったけども、それを分け与えようとする優しさ、分け与えて隣合おうと願った寂しさは、彼女に伝わったのだ。それはちょっと哀しくて、とても暖かいお話だと思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

自分に似ていて、全く違う岸へと離れていった少女。その別れを悼むように慈しむように降る雪が、なかなかにロマンチックだ。
白雪に覆い隠そうとしたお菊の感情が、蓮の心遣いで決壊する。相変わらず、美少女に情け容赦なく鼻水流させるアニメで、信頼が置ける。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

生きる喜び、それを果たすべき場所が全く違う二人が、一瞬行き合い、語り合い、去っていく。
この世とあの世、神と人のインターミッションである此花亭の、曖昧な優しさは人形にも有効なのだと教えてくれる、いいお話だった。ここで一話、お菊に使ってくれたのは非常に良い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

というわけで、奇譚としての切れ味鋭い短編二編でした。秋という季節を最大限活かし、去りゆく寂しさとそれだけではない逞しさ、優しさを両立させ、非常に奥行きと情感のあるエピソードになってました。
やっぱ『綺譚』の部分を疎かにせず、ちゃんと仕上げてくれる所がこのアニメ好きだな、ウン。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

四季の移ろいと女と女の感情、不可思議で曖昧な世界の光を追いかけてきたアニメも、ついに冬本番。白く冷たい世界の中でどういう話をやって〆るのか、非常に楽しみです。
ラストは限界女の感情質量がロシュの限界を突破し、女と女がズブズブになって欲しい気持ちがある。やっぱそこが骨子よな！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

アイドルタイムプリパラ：第37話『ホップ・ステップ・グランプリ！』感想ツイートまとめ

アイドルタイムプリパラを見る。
最後のグランプリついに開幕ッ！　なかなかネーミングが決まらない主役三人をよそに、しゅうかのゴージャス＆ストイックな勝負根性はメラメラと燃え上がり、ガァルルとバックの邪悪な捕食は加速する。
3クール目の〆を前に、集大成感のあるチームでの勝利回。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

つうわけで、身内の大事な人への特別なお披露目の後は、万人に向けてのステージである。ユニットの絆強化自体は先週終わっているため、すぐさまステージに立たない道具立てが必要で、名前探しはその為か。
安易にザーッと決めず納得を大事にしているところは、チームに賭ける思いを感じて良い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

先頭切った時点でしゅうかの負けは決まったようなものかもしれないが、今回のしゅうか周辺の描写はなかなかに面白かった。
自前のゼニを持ち出してまでマイ・ドリームを土俵にあげようとするのは、勝ちへの強い思い故か、そこからはみ出した個人的な勘定があるのか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

しゅうかにとって、ファララという超自然存在に選ばれること＝NO1であることの証明なのだろうし、それとは別の感情をファララに持っているのかもしれない。
個人的には感情の質量がぶつかり合い、激重ブラックホールが発生する展開は大好物なので、しゅうかにはファララとゆいを好きでいて欲しいなぁ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

そんなしゅうかのステージを見ているガァララの描写も、今後に通ずる重さがあった。
一人でも勝てる、一人でも輝ける。しゅうかのステージに目を輝かせるガァララは、自分を縛り付ける宿命の勝利者として、しゅうかに憧れている。あのとき、二人はすごく健全に『アイドルとファン』だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

孤独孤高といいつつも、しゅうかのステージは人々の目をひきつけているし、ガァララもまた『誰か』を求めている。
別に『みんな』が同じスタイルで踊る必要はないけども、スタイルを超えて求めているものは多分、皆同じだ。でもそこには、乗り越えなければいけないねじれがある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

長い時間を結成したユニットに名前がつき、主役たちが勝つ今回は一つの『終わり』でありつつ、まだまだ解決されていない歪みを顕在化させる『始まり』でもある。
ラスト1クールの背中が見えてきたタイミングで、こういう描写を挟むのはとてもクレバーだなぁ、と思った。年明け後が楽しみ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

一方、主役勢はネーミングに悩みつつ、夢を奪う夜の精霊を追っかけまわし、物理的解決で夢を取り返していた。
何事も、拳で解決するのが一番手っ取り早い。迷わずボコりに行く辺りプリパラだなぁって感じだが、ガァララとマイ・ドリームの対話はまだ先なのだな。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

ステージ前の回想が完全に最終話のノリだったが、ゆい・にの・みちるそれぞれの歩み、夢のカタチの違いを尊重する形に仕上がっていたのは、とても良かった。
夢とともに歩くことも、夢を思い出すことも、夢自身になることも。様々な個性があるが、そこに差異はあっても優劣はない。どれも尊い戦いだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

そんなバラバラの三人は、さんざん凸凹をぶつけ合ってお互いを認め、掛け替えのない仲間としてステージに立つ。
しゅうかの孤高はけして間違いではないが、マイ・ドリームが掴まえた夢のカタチだって、当然嘘じゃない。本物と本物がせめぎ合って、一つの決着に辿り着く。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

今回始めて敗北を知ったしゅうかが、マイ・ドリームと自分自身、孤高と結束をどう捕らえるかは、とても楽しみだ。
まほちゃんが『みんなトモダチ』に自分なりの答えを出すまでに、あれだけ時間を使ったプリパラが、単純にしゅうかに『みんな』の価値を見つけさせ、自分を捨てさせて終わるとは思えない

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

尖った個性を迷いなく叩きつけあったからこそ、チームになる意味をマイドリが見つけたように。
しゅうかは負けたことで勝ちを目指す意味を、現実を追い求める意味を、一人でいること、みんなでいることの意味を、もう一度洗い直して欲しい。それはしゅうか個人だけでなく、作品にとって意味深いだろう

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

三人同時エスコートを経てファララも大復活を果たしたが、それと同時にガァララは眠った。
夢を食いつぶす害獣悪漢が退治されてメデタシメデタシ…としないのは、次回予告を見ても、ここまでプリパラが積んできた物語を思い返しても、当然のことだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

勝利の結果ファララが覚醒し、ガァララは眠る。昼と夜のシステムは常に犠牲を必要とし、その運命を踏みにじるべく、ガァララは女の子の夢を踏んでいる。自分もまた、『あのステージ好き！』と目を輝かせる、一人の女の子なのに。
そんなネジレを前に、夢を取り戻し夢を押し広げる主役は、どう動くか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

しゅうかの敗北との向き合い方も含めて、来週非常に楽しみである。
あ、地獄委員長二度目のステージ、彼女なりのアイドル道って感じでよかったですね。
『上田麗奈繋がりなら”Girl's Fantasy”で綺麗にまとめても良くね…？』とかは、思ってても言わないこと。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月13日

クジラの子らは砂上に歌う：第10話『新しい旅に出るわ』感想ツイートまとめ

クジラの子らは砂上に歌う　を見る。
戦争が終わり、日常が帰ってきた。流れた血は刻印を描き、もはや無垢なる時代は帰ってこない。敗北の道化も、勝利の蛮人も、流されるまま未来と出会う。それが衝突か交流かは、舵の切り方次第。
大きなイベントとイベントの間を、手際よくこなす回。笑いあり涙あり

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

というわけで、新展開に向けてのブリッジ回である。
『あ、原作から圧縮かけたな』という微妙な駆け足が感じられるが、ここで停滞するより新展開を連れてきて、話をかき回そうという意志が良い。
僕は砂クジラの日常描写が好きなんで、まったりしてくれても全然OKだったけども。椎名SFっぽいよね。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

とは言え、日常描写、正確に言えば戦争という非日常から日常を再獲得していく描写は丁寧に積まれていた。
葬礼、労働、訓練、祝祭。意識して行為を積み重ねることで、狂熱に浮かされていた感情が落ち着いて、日々を流す態勢になる。これもまた社会システムの、大事な仕事であろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

自分で『キレイに死ねよ！』と嫁さんに念押ししておいて、それに準じて嫁さん死んだら向かい合えない。リョダリも難儀な…ていうかクズい性格しているが、適切に祈れない哀しみは上手く描けていた。
『マトモ』なクジラの子は祈りの儀礼を内部化できるが、イレギュラーたるリョダリは儀礼が下手なのだ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

※訂正　リョダリ→シュアン

酒席、宴席、挨拶に葬礼。戦争以外にも人と人が触れ合う方法はたくさんあって、状況と選択が一つを選ばせる。
取り戻した平和に微睡んでいるように見えて、クジラの子らは戦闘訓練を日々の暮らしに組み込んだ。戦争を日常化し、日常が戦争化することで、理不尽な死と握手したのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

リョダリは妻の自死（と、それを後押しした自分の言葉）と、上手く握手できない。流れた涙は他人のもので、殺し合いばかりが上手くなる。
そういうふうに壊れてしまっていることは、征服者（候補）から油断なく武器を奪う行為に繋がる。心がぶっ壊れて人殺しが巧いのは、悪いことばっかじゃない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

※訂正　リョダリ→シュアン

肌を晒し雨を乞う身内のお祭りに、突如乱入してきた異邦人。衣一つまとわぬ無垢なる蛮人と、銃を構えた制服者の構図があまりにもコロニアリズムを感じさせ、ちょっとどうかな、と思うほどだった。
まぁ楽園は地獄でもあると描き続けてるアニメなんで、ゴーギャンっぽいのは良い皮肉かな。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

問答無用でぶっ放してきた帝国に比べ、ロハリト様御一行は出だしからギャグっぽい。実際おバカで呑気で、銃で喋る以外のコミュニケーションが可能だ。
毒殺や不意打ちも気にせず、バクバク無防備に食う辺り、頭は悪いが悪い人じゃなさそうだ。彼もまた、無防備な肌を見せたわけだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

再獲得した日常に酔いしれる暇もなく、クジラは新たなる外部と接触した。お付の人たちを見ると、感情剥奪を装置化し、社会の根底に据えている様子はない。
帝国とは違う、ファレナと似通った他者相手に、スオウ酋長はどういう舵取りを見せるのだろうか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

似通った他者と言えば、船落としの大英雄・オウニも優しくケアされていた。
社会から排斥されて手に入れた、自分たちの王国はもうない。臣民は死に絶え、嫌でもファレナのスタンダードで眠らなければいけない現状は、オウニにとって幸せなのか、不幸なのか。ようやく起きた彼に聞いてみたいところだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

スオウは、印持ち/無印の構造を越境する新しい首長だ。弱者にして英雄であるオウニに『薬』を差し入れる様子は、変化をうまく抽象化している。
長老会もすっかり牙が抜けた現在、ファレナは変わりつつある。舵を手に入れ、さまよう罪人船から、自意識を持った国際政治の一アクターに。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

その舵取りはスオウがやらなきゃならない。敵を弔い、傷ついた人を見舞い、祈りすぎて指を痛める優しい王様は、弱肉強食のパワー・ポリティクスを前に、泳ぎきれるのか。
彼が沈めばファレナも沈む。『美しい自沈』を選ばなかった以上、優しさの半歩先に進まざるをえない局面も来るだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

とは言うもののロハリト殿下はスオウの（あるいはファレナのスタンダードたる）優しさが有効そうな相手ではある。
仮面被ってサミを殺す輩より、アホバカ人間のほうがずっと良い。蛮人を善導しようと張り切る態度が、どこまで彼のものでどこまで彼が属する社会制度のものか、気になるところだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

ファレナとスオウが難しい舵取りを迫られる接触と同時に、物理基盤としてのファレナも舵を手に入れた。
コカロはおもしろマスコットに変化し、戦の女王は子供に自由を与える。勝利によって獲得した骨が、罪人を鎖から解き、責任に満ちた海に誘い出す。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

チャクロが主人公らしく、世界に漕ぎ位出る重要なパーツを与えられるシーンの『絵』が良い。
とんでもなく危うい決断が果たされるのは、非常に危うく高く細い場所で、その二重の危険性に子供であるチャクロは気づいていないのだ。それはファレナの住人、全ての似姿でもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

舵を手に入れたことで、ファレナは自由と責任を背負った。その自覚があろうとなかろうと、経済力と軍事力を備えた国家として、巨大な政治の海で的確に泳ぐ必要がある。ミスれば沈むだけだ。
『メシの旨さ』で、ファレナが持ってる文化力・感情力のアドバンテージをひっそり見せるのは面白かったな。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

一方敗者たる帝国では、オルカが余裕綽々で道化と戯れ、リョダリが無様に生き延びていた。いや、ぜってぇ死んでねぇとは思ってたが…。
道化が他人と自分をあざ笑うための知性は、感情の揺らぎ…笑いを基盤とする。あの部屋は、社会制度の外側にいるアウトサイダー以外感情を獲得できない帝国の戯画だ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

※　こっちはリョダリでOK

死人であり敗残兵であり罪人であり殺戮者でもあるリョダリもまた、道化に堕ちることで生き残ろうとしている。
主も自分も全てをあざ笑い、相対化するシニカルな知性を、あの凶獣が獲得できるのだろうか？　まーた殺戮のヘイトアーツを稼いできそうで、なかなか頭が痛い。しばらくは無様に生きろ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

コカロが『マスコット』化して主役たちに自由と責任を与えるエピソードと、リョダリが『道化』になって罪から放免され、自由を奪われる話が重なっているのは、ひどく愉快だった。
人も獣も、みな道化だ。勝者と敗者を隔てる幕は薄い。正気と狂気を隔てる幕も。時々このアニメ、凄い後ろ向きの絵描くな

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

ぐるぐると渦を巻く世界の中で、オルカは余裕綽々だ。道化が揶揄していた『物語る才覚』で乗り切るつもりなのだろうか。
感情を奪われた世界で、自分の意志で世界を染め上げる行為。歪められた『物語』の威力で彼が己を救うのなら、それは愛おしさと慈しみで『歴史』を綴るチャクロとは正逆の立場だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

帝国とファレナに別れた、二人の語り部。その対比構造を見る意味でも、『物語』がどの程度波紋を残すか確認する意味でも、来週あるだろうオルカの見せ場は気になる。
オルカの『物語』は帝国の空疎な広大さを、エコーロケーションするためのピンガー足り得るかな。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

そんな感じで、敵味方明暗、色んな色合いの『戦のあと』を描く回でした。
リョダリもオウニも、あの戦争で傷月生き残ったものが『部屋』にいるのは面白い。そこは風雪を凌ぐシェルターであり、『外』から隠す/出さないための檻でもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

そして『外』は、望むと望まざると幾度でも訪れる。柔らかな揺りかごの中で微睡んでいられる贅沢は、漕ぎ出してしまった物語には遠い。
どちらにしても人生が転がっていく。泳ぎきるか、砂に沈むか。その舵はもう、子供たちに委ねられた。日常が終わり、非日常が始まる。来週も楽しみです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

アニメガタリズ：第10話『アニケン、ヤットハイブ』感想ツイートまとめ

※以下全文にわたって、『校長』は『学園長』です。訂正します。

アニメガタリズを見る！
アニ研は廃部！　廃部です！！
降って湧いた校長からのテコ入れに対し、主人公が物理的障壁によってマンツーマンで対応する舞台が整えられ、蚊帳の外の部員はネットでバズってクソアニメ探求。
どんどん荒唐無稽度が加速しつつ、同時に妙な人情味を感じる、ガタリズらしいお話

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

というわけで、先週からリアリティレベルの書き換えが激しいガタリズ。OPも出番がない陸上部ちゃんにまるっと占拠され、やりたい放題し放題だ。
…この大暴走、なんか理由つけて回収するとは思ってるが、走りっぱなしかもしれんなもしかしたら。それでも良いけど。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

今週はみのあだけが特権的にマンツーマンで校長に向き合い、その外側でアニ研部員が走り回る、かなりトンチキな構図である。
校長が一生喋り続けているわけだが、そこはさすがの超ベテラン、中尾隆聖の達者な芝居を心ゆくまで堪能できてありがたい限りだ。やっぱイイなぁ隆聖さん…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

聞くのも喋るのも素直なのが我らが主人公・みのあのいいところ。物理的に強制1ONになっても、キッツい批評を叩きつけられても、腐らず折れず素直に聞いて、素直に褒めて。
あのトンチキな状況が曲りなりとも食えるのは、みのあの人間的魅力に頼る部分が大きいのだろう。いや、俺がみのあ好きなだけか？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

閉ざされた校長室は監督経験者のドミニオンであり、アニメ制作の光と闇が交錯する小宇宙だ。
思いの丈とリスペクトをぶつけすぎて、過積載になったクソアニメ。校長のアニメもアニ研の自主制作も方向性は同じだが、かたや黒歴史、かたや一般生徒の支持を集める青春の輝きである。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

プリキュアの悪役もびっくりな闇に染まりっぷりで、自分の過去と殴り合いし続ける校長。
みのあの声が届いてんだか届いてないんだか分からんが、制作当時彼を苛んだ非難は、みのあからは聞こえない。
どんなクソアニメでも、届く人には届く。いや、世の中にはクソアニメなんてないのかもしれない！！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

みのあのように語れば、その理想はたしかに現実になる。というか、現実だったからこそ外からカタルシスファンが集って、校長の闇を晴らす形になった。
放たれた言葉は、どこにどう刺さるかを決めれない。伸るか反るか判らないけど、好きでいてくれる人が多分どこかにいる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

味付けは相変わらずトンチキなんだが、校長のクソアニメを受け止める人々のリアクションには創作者/発話者の祈りみたいのが籠もっていて、泥臭い実感があった。
いつものアニメガタリズっぽくて、やっぱ好きだった。でもやっぱ盛り過ぎでクソアニメだと思うよウン。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

さて、隔離された闇の領域の外側では、アニ研部員がネットと向かい合う。今正に俺が語ってる場所にも接合するネタで、なかなか面白かった。
アニ研廃部に激怒する一般生徒と同じように、あの世界のウェブは優しい。クソアニメと罵り単芝生やしつつも、生主アリスはあっという間に大人気になる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

第5・6話が一番わかり易いけども、このアニメは学校の外部、あるいはアニメの外部に出ようとする。
アニメが超ポジティブに受け入れられつつも、それで全部を染め上げてしまうのではなく、アニメを拒絶する外部を残す。その奥ゆかしさというか思い切りの悪さが、不思議と冷静で好きなのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

今回も匿名掲示板と動画サイトを駆使し、アニ研は外部に接続する。扉を開けて閉ざされた中身を知ろうとする。ロックのかかった世界を開けようとする運動は、校長室とネット世界、両方に働きかけているわけだ。
分厚そうな壁を貫通して、即座にみのあボイスを聞き分ける有栖ちゃんはみのあ好きだなぁ…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

そんな働きかけを操作し、外部に接合する運動を遮断しようとする、中野先輩の謎。
アニ研はDOGEZAでチョロっと転がされてたけども、あの首を曲げる平伏…”花の慶次”で秀吉に謁見するときのアレじゃねーか！　心はカケラすらもすまないと思ってないやつだこれー！　松っぽい過去ぜってぇ嘘だー！！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

あのサラッとしたネタの使い方（というかアニメネタですらない）で、中野先輩の面従腹背っぷりを見せるのは、クレバーでよかった。
生徒会長を操っていた校長を操っていた中野先輩を…と、黒幕マトリョシカみたいになってきてるが、一体どこまで行くのだろうか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

どんだけ中野先輩が邪魔しても、みのあのピュアでポジティブなアニメ愛はガンガン状況を克服してしまう。
その強さはなんか童話的で嘘っぱちなんだが、同時に理想的でもある。ああやって真っ直ぐに、『好き』で皆と繋がれたらなぁ。そういう憧れを掻き立ててくれるから、俺はみのあが好きなのだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

何度目かの廃部の危機も無事に去り、気づけば猫語も喋れるようになったアニ研。リアリティの枠組みは既にグッチャグチャだが、なんとなく計画的な犯行な気もする。校長がカタルシスの過積載を、狙って積んで失敗したように。
このアニメのクライマックスは、巧くポボスとエレオスを呼び起こせるのかな

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

ちょっと”ハイスクール奇面組”っぽい絵面の、写真の中の中野先輩。時間を飛び越える謎の奥には、どんなカタルシスが待っているのやら。
巧く伏線を集めてキレイに収めても、トンチキなまま暴れ散らかしても、俺は結構納得して飲み込める気がする。それはやっぱ、このアニメが好きなのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

みのあが一話打ち切りのクソアニメを心に刻んだのと、僕がこのアニメを好きな気持は遠くて近い。
俺は二次元美少女じゃないし、アニメガタリズはクソアニメじゃない。でも、『好き』を惹き付ける引力がアニメ（にかぎらず様々な物事）にはあって、その力に素直になるってのが良いことなのは共通だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

みのあがずっとやってきて、今回も一人でそうしたように。アニメガタリズが終わったときに『ああ、いいアニメで俺このアニメ好きだな』と素直に語れるような終わり方だと、良いなと思う。そう口にできる俺だといいなと思う。
来週も、とても楽しみだ。さーどんだけぶっ壊してくるかな！！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月12日

Wake Up, Girls! 新章：第10話『WUG!と言えば･･････？』感想ツイートまとめ

WUG新章を見る。
降って湧いた忙しさの中でバラバラになっていくWUG。新体制で勝負をかけるべく、意識して分解されていくI-1。ようやくアイドルの園にたどり着いた三人娘。三者三様のアイドル生活。
という意図は判るが、やっぱ飲みきれない回。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

アバンでザックリと展開する『仕事いろいろです』描写から始まって、WUGはそれぞれの個性が認められ仕事が増えた。
煮え切らない曖昧さの中にいるのか、世間が求める強みがあるのか、どっちか判然としない内に状況は動き、圧力は高まる。物語の中に張り込めない状況は続く。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

今起きているものが物語の大きな流れの中の必然なのか、はたまた用意された筋立ての一部なのか。そこを分ける壁は案外薄いのかもな、と思わされるエピソードだった。
実波と菜々美の対立と和解、志保との絆が仇になり深まる断絶。用意されてるイベント全てに唐突感があって、話に入れない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

筋立てを作中の現実に引っ掛ける釘となる作画は、やっぱり不自然な前後運動を繰り返して忙しない。相変わらず壁が喋るし、美術はVRゲームのようにのっぺりしている。
『ホーム』であるはずのタチアガレ荘が異物になってしまっているので、そこで波風乗り越え絆を育む展開に変な色がつく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

アニメを構成する全てのものがチグハグで、噛み合ってないから唐突に思えて。負のフィードバックが加速している感覚が強いが、一視聴者の立場からどうにか出来るものではない。
動き出したプロジェクトは、どんな形であろうと走りきらなければいけない。その世知辛く荒い息遣いを、生々しく感じる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

アイドルの祭典が蹴っ飛ばされ、大田の声だけがファミレスに響くシーンは、なんだか凄く物悲しくて象徴的だった。
あの仙台に、キモくて暑苦しいファン代表はもう、実体として存在していないのだろう。ウザいメガネデブ作画する余裕があるなら、女の子描いて満足稼ぐ。その怜悧な計算は判る。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

無印時代の残滓を切り飛ばすべく、クライマックスを別の形で設定するのも判る。その象徴だったアイドルの祭典を消滅させるのも判る。
判るが、あまりにも急で、無造作で、それが肝心のアイドルの方にもどうしようもなく飛び火していて、やるせなかった。消し飛ばしたものは、僕が好きなものだったのに

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

アリバイのように断絶と融和を積み重ねていく足取りは、主役以外の物語を束にして一話で『片付けた』筆と同じだ。
そんなに急いで、『普通のアイドル物語』なイベントをこなしていって、一体何を描くつもりなのだろう。アリバイ工作の果てに生まれるWUG新章の総体は、どんなものなのだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

そういう感じの話だった。
忙しい状況の中でも自分たちなりに関係を繋ごうとしたホワイトボードが、何も知らない新参と、せっかく作り上げた装置に無頓着な古参のあわせ技であっという間に真っ白になっていくのは、妙に刺さった。
まぁ、そういうもんだよね、と思った。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

別に三人娘が悪いわけではなく、ジリジリとアイドルの本丸に近づきつつある彼女らの必死さは、キツい画面の中でほぼ唯一の救いだ。足取りに一応の実感がある。
そんな彼女達も、駆け足のダンドリの中で仕事を果たしている感じからは逃げられない。キャラも背景もストーリーも、誰も逃げられない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

そういうある種の、綻びかけの仮想の檻が、仮想の仙台と東京の中で走り続けている。そのギリギリ感と無様さを遊ぶほど、僕はこのアニメ嫌いじゃない。
ただ、そういうものになってしまっているなぁとどこか遠く実感し、寂しい限りだ。キャラにキャラの物語を歩ませてやって欲しい。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日

ピンチのためのピンチ、和解のための和解。その先に、クリスマスでのライブ対決が配置されている。
それが形になれば、今感じている全自動な離人感は埋まるのか。望み薄な未来を半目で睨みつつ、来週も見る。
つくづく、普通とは凡庸の同義語ではない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日