イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

グローバルセックス

デニス・アルトマン岩波書店。政治的/経済的グローバリズムの中でセックス/セクシャリズムがいかに変容しているかについて書いた本。良著である。まずなにより、グローバリゼーションについて望むときに必ずしなければいけないこと、つまりオーストラリア人/ゲイ/白人/英語使用者/富裕層として「浮遊」している自身をけして忘れずにグローバリゼーションについて語る誠実さを実現していることを重視したい。(何故ならグローバルな世界はもちろん幻想であるので、現実の自身を見直し続けることなしには不誠実な報告になることを妨げられないからである)
その上で非常に強力な文献研究に基づき、しなやかで強い理論構築を行っている点も素晴らしい。筆致はあくまで軽やかでありながら、その踏み込む深度は深い。売買春/HIV/道徳などなどさまざまな領域を軽やかに横断しながら、どっしりとした重量のある報告は読み応えがあった。このくらいの歯ごたえのある本を定期的に読むといいな、と思った。