イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ホラー小説講義

荒俣宏角川書店。洋の東と西の二部構成で、ホラー小説の成り立ちと発展を描いた本。とにかく荒俣先生の博覧強記が光る本である。膨大な量の図版を惜しげもなくちりばめ、おどろおどろしい雰囲気の中にも鋭い視点での歴史紹介・分析が繰り広げられる。
前半の西洋編はそこまで圧倒的ではなく、丁寧な論旨の運びと、幅広い知識を唸りながら読み進めた。しかし民俗学(あえてこう表記)への驚異的な知識を誇る筆者の本領は、後半の東洋編で爆発的な勢いを見せる。とにかく、(まぁ僕の知識が西よりなのも大きな理由だろうが)奔流のごとく溢れる知識と、それを操る筆の巧さに驚かされる。やはり荒俣宏は知識を死蔵することなく、鋭い視点と論述でいきいきと活写できる論者だな、と実感した。良著。