イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

占領と戦後政治

藤本一美他、つなん出版。「戦後日本政治ハンドブック」シリーズのその一。「そういえば戦後史やってねぇ」と図書館の新刊の棚で見かけたときに思い返し、貸りた。よく資料に当たっていると思うし、判りやすい文体でハンドブックとしての用は十全に満たしている。しかし難点をいうとすれば、やはり特定の政治思想のプロパガンダ的な色合いが強く、歴史的事実に色を着けて解説がなされるところであろうか。
無色な政治理論、というものが存在するとは思わないが、同時に学術の助けとして自らを位置づけるのであれば、筆者の政治的な位置取りに重々気をつけることが政治学書の重要なポイントだと思う。その距離のとり方が薄く、自らの立場に読者をひきつけよう、という色が見えるのが「戦後日本政治ハンドブック」としては不満点である。
という僕もまた、特定の政治的な立場からは逃れられない。親父殿がド右も右なので、その影響は強い。この本にある種の反感を抱いたのも、色のない分析ではなく個人的な感傷(=干渉)なのだろう。それでも、僕は他人の話を聞ける人でいたいと思うし、自分の「なんか違う」部分を気付かせてくれたときは直せるようにありたい。そう願って、その材料を手に入れようと手に取っただけに、この色の濃さは残念だった。
とりあえず、戦前戦後史はもう少し歴史学の方向から勉強すること。同時に、東西ドイツの戦後史を重点的に読むことにしよう、と思った。ここから先、そこらへんの事情は「知りません」ではすまないような気がするので。