イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

歌舞伎町アンダーワールド

安晃龍一、同胞舎。歌舞伎町の中国マフィアの犯罪ビジネスについてのルポ。犯罪系のルポは出来の振幅が激しいので、常に眉に唾しながら読むようにしている。つまり、出来に期待しないで、ルポとしての基本を抑えていなくてもしょうがない、と思いながら読み始めるわけである。
しかしこの本はなかなか腰の据わったルポタージュであった。歌舞伎町の中国系(といっても香港、福建、台湾、そのほか沢山のマフィアがいるわけだが)マフィアにコネクションと足を利用して切り込み、ついには香港、マカオに赴いて、新義安のNO2にインタビューまでしてしまう。判らないことは判らないと明記し、複数のコネクションに情報の裏を取る。なかなか誠実な取材で、それが文章の瑞々しさになって読まされてしまう。
それにしてもよくよく内側に切り込んだ取材で、TVや新聞の報道ではつかめない、流動する犯罪地図の情勢の見通しがなかなかわかり易く書かれていた。それはやはり、筆者の取材に対する誠実な姿勢と、労苦を厭わない努力の賜物だろう。良著。