イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

がるぐる!! 下

成田良悟電撃文庫。終わったなぁ。というのが一つのこの書物への意見だ。その通り、佐渡大橋リーズは一つの終わりを迎えた。僕は成田作品では佐渡大橋シリーズが一番好きだ。成田良悟という作家の特徴−特長−は「過剰」であるが、佐渡大橋はその物語・舞台・登場人物全ての造詣において「過剰」を削り取った形の「過剰」で更生されていた。
それはつまり「洗練」という名前だ。
スタイルと言い換えてもいいかもしれない。それは単純に各々のキャラクター戦い方の奇矯さでもあるし、東と西の二大組織が牙をむき出しにする舞台構成でもあるし、全員が狂っているあの島で唯一、誰よりも狂っていないが故に最も狂っている最強のヒーローのことである。ああ、すべてを読み終えてやはり断言するべきだ。この話は、葛原という男の話だ。
文体の洗練、物語導線の上下の操りの上手さ、キャラクター造形の深度と透明度。すべてにおいて、「バッカーノ!」というあまりに過剰な作品から出発した成田良悟はこのシリーズにおいて「過剰」を「過剰」な切断をもって洗練させる手法、つまりは小説を上手く学んだのだと、僕は思っている。今後も成田良悟の作品を、とても楽しみに読むだろう。この作品は、とても上手く、面白く、洗練され、何よりも過剰だったから。