成田良悟、電撃文庫。バッカーノ！のメディアミックスが忙しかった成田先生、デュラララ！！ のほうの続刊です。前回で大きな話にちょっと一息ついたので、今回は特に何かが起こるわけでもなく。成田作品らしい、とりあえず起こった事件に全員巻き込んでおく流れのお話。ストーリーという骨格を取っ払い、皮肉であるところのディテールとキャラ造形だけで回転させたほうが面白いのが、なんとも。
名前すら出ていなかった完全新キャラも、一人？ かな？ 成田作品はとにもかくにもキャラ多くて、把握が困難なのですよ。実質新登場のキャラがゴリゴリと前面に出てきて、折原妹Sと平和島弟は今回メイン。この三人は非常にいい塩梅にキてて、好感が持てますね。折原妹Sは特にエロス漂っててグッドナイスよ。
話のほうは先ほど述べたように、いつものこの作品のよーに、イケブクロでごちゃごちゃしたサムシングが勃発し、エッヂの立った連中が巻き込まれる、というもの。成田先生はこう、キャラとイベントだけザクザクと起こして、そこを掘り下げずに高速ですり抜けるスピード感がやっぱ味なのかなぁ、などと思った。だって面白いんだもん、今回。すっぱすっぱ話は進むし、視点の切り替えは気持ちいいし。
シリーズとしてみれば別にあってもなくてもいいんですが、成田作品としては気持ちのいいところ全部出てる。そんなお話でござんした。まぁセルティがちゃんと出てきて、新羅とキャッキャウフフしていれば実はわりかし満足。今回もそこはぬかり無しであり安心。加えていい小説技芸も拝めるという、お得なお話でありました。
