イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ヴォイニッチホテル 1

道満晴明秋田書店。へんてこな島の、へんてこなホテルに、へんてこな人が集まって生きたり死んだりする漫画の一巻目。道満先生らしい、キッチュっつうかプアキュートつうか、ヘンテコ可愛いけどおざなりにバタバタ死ぬ空気がかなりキモチイイです。一種一休的というか、芸の域にまで達した「どうでもいい」感の練熟。
この漫画を一番象徴する場所はタイトルになっているヴォイニッチホテル、ではなくて遊園地のような気がします。打ち捨てられて、どうでもよくて、錆びて軋んで歪んで、でも可愛くてまだ動く。沢山の登場人物はみんな、この遊園地のようなカタワであり、同時に(道満先生の筆癖からして必然的に)可愛い存在で、生きている以上生きてあるしかないわけです。死人とか悪霊とかも出てくるけどさ。
闇鍋というかお菓子皿みたいに、色んなキャラが色んなことする漫画で。見てて飽きません。同時にどことなく寂しい無常観も漂ってて、油っこくない。一般出版社から出てるのも、いつもの先生と少し違った味付けになってる理由かなぁ。四年かかってるとはいえ連作だし。いつもどおりで、いつもと違う。そんな道満先生の新しい漫画でした。