佐々木健&谷将貴、小学館。サンデーの地味なゴルフ漫画。今巻は全国大会編の終わり、というキリの良いところまで。全国大会の優勝という競技的なピークと同時に、蒼輔というキャラクターのピーク、漫画のテンションのピークも高いところに達して、「いい最終回だったなぁ」的な満足のある巻でした。
この漫画はわりと地味なところをサボらず、競技としての魅力を掘りつつ、漫画として必要なハッタリを撒いて十二巻進んできました。不良+初心者+主人公という構成は、スポーツ漫画においては定番中の定番なのですが、同時に安定している主人公像でもあります。情熱だけをもてあましている主人公が、読者と一緒に競技に切り込んでいく造りは安心感がある。
その安定した歩みというのは、主人公がそのスポーツを理解し、定義を与えた時点で一つの頂点に達します。悩みとストレスが一つの言葉に結実するカタルシスは、明確かつ理解しやすい盛り上がりです。今回のこの漫画でも、今まで積んできた要素をフルに使い、文句のないテンションに押し上げてきてます。そこらへんは、しっかり少年スポーツ漫画してきた証明ですね。
しかし同時に、こっからがスポーツ漫画のめんどくせー所であり、いったん出た結論に縛られて話の横幅が死んだり、一回目のピーク以降二度目の盛り上がりが来ないで終わったり、脇キャラのエピに逃げて迷走したり、色々と漫画の背骨がボッキリ逝く要素が満載です。今まで見せてきた丁寧な少年漫画力で、今後これ以上の高いテンションを持っていけるのかどうか。僕の下らない、弱気な予想を裏切ってくれる展開を期待しています。