イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

GANGSTA:第5話『SANCTIONS』感想

吉野襲撃が一段落ついたと思ったら、麻美子が拉致られたでござるの巻。
A級どうしのヒリつくアクションの合間に、親友を犬扱いしなきゃいけないウォリックの悲哀やら、タグ付き関係の設定説明やら、色々挟まる話でした。
じわじわと世界の全容が見えてくるほど、主人公周りの状況が本当にろくでもなさすぎる……。

今回一番叙情的だったのはウォリック(毎回このおじさんが一番メッシーな気もするけど)でして、優秀な事件屋としての側面、死に向かって突き進む親友を案ずる男としての側面、システムに絡め取られどこにも行けない中年としての側面、色々見せていました。
ダウナー投与でヘロヘロになったニックとシャツがどうのの下らない話をするシーンは、ちょっと北野映画的悲哀漂ってて良かったです。

その前段階、話を収めるためにはツレを押さえつけて『おすわり』と言わなきゃならない所引っ括めて、ね。
メロウな要素を見せつつ、一瞬で銃を奪われる『タグ付き』との身体能力の差や、どチンピラではどうにもならないシステムの壁をしっかり見せて、ドライな感触を残しているのがいい。
結局吉野を拾ってきちゃうところといい、犯罪都市で生き残るには優しすぎる男なんだろうなぁ、ウォリックおじさん。

その相棒たるニックは、想像以上に虚無的な男であることが判った。
劇薬を過剰投与してでも性能に拘るのは、ウォリックという主人の役に立つためか、思い出の中の女と同一化するためか。
どっちにしても、『タグ付き』が生き易い世界ではけしてないので、やけばちになっちゃうのもしょうがないのかなぁ。
ニック個人には、ウォリックや手話を覚えてコミュニケーションしようとするアレックス、事前に手術の準備をしてくれていたニナと、優しい人たちが集まってんだけどね。
そういう個人的な暖かさでは、生きる理由にはならない世界とキャラなんだろうな。

おじさん達のイチャイチャとズバズバには付いていけないアレックスは、今日も電話番。
早い時期に犯罪地獄に叩き落とされたウォリックに比べ、殺人のトラウマにいまだ苛まれるくらいの初々しさです。
犯罪に擦り切れて色んな物を諦めてしまったウォリックのようになるのか、はたまた慣れないまま進んでいくのか。
それはここからの物語……とか思ってたら、音速で拉致られてた。
一瞬も油断できんな、この街。


今回『タグ付き』周辺の設定をこまめに出していましたが、ただ情報を貼り付けるだけではなく、ウォリックとニックの関係の中で見せることで、設定がしっかり伝わって来ました。
三原則という非人間的なルールに従うことで、ギリギリ人間社会に引っかかることを許されているタグ付きと、身体的な能力では劣りながら常に命令を与える側である人間。
命を維持するために劇薬を投与し続ける『タグ付き』の宿命も、ニックの無痛症を通じてよく分かるようになってます。
吉野は成長抑圧、メガネは吃音として、ディスピア様声の怖いお姉ちゃんは何が欠損してんだろうか。

インパクトのある横殴りを決めたパウルクレイおばさんですが、道具的存在である『タグ付き』を犯罪者会の中で流通させる、強い意志を持っている模様。
ノーマルたちにいいように使い潰されるくらいなら、自分たちで死に場所を決めて社会に存立したいというのは、自然な欲求よな。
『タグ付き』が人間扱いされていないので、それをまとめあげるのにも厳しい手段が必要なのだろう……キツすぎる感じもするが。
一言で言えば『声が榊原良子な女』ということだな!

色々あったモンロー組襲撃編も一段落……とか思ってたんですけど、アレックスは拉致られるわ吉野を拾うわ、今後に繋がる要素満載で終わりました。
簡単にはチル・アウトさせず、勢いを残したまま続いていく展開はワクワクしていいわね。
街に翻弄される腐れチンピラたちが一体どこに行くのか、来週を待ちたい感じです。