イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うしおととら:第24話『愚か者は宴に集う』感想

バケモノとニンゲンが仲良くなったり争ったりするアニメ、今回は久々の単発エピソード。
真由子ととらがキャイキャイしまくりつつ、『誰かのために戦う』というヒーローの資質を問う話でした。
自分はうしとらの日常描写がとても好きなので、少しテンポが下がる今回のお話が挿入されたのは嬉しいなぁ。

今回のお話はとにかく真由子ととらの距離が詰まる話でして、うしお以外のニンゲンにとらが興味をもつことで、彼のキャラクター性が一段階変化する話でもあります。
とらちゃんはツンデレブラックベルトなので自分からは口にしませんが、今回真由子が見せた『自分のためではなく、誰かの為に戦う』という人間の条件を、うしおとの旅の中でどんどん学習している。
真由子を気にかけているのもその延長であり、今回白馬の王子様っ面でピンチを助けたことで、その路線が決定的になるお話でした。

人間の条件が分からないとらを鏡にすることで、力なき真由子が勇気を振り絞る姿こそが人間の証明だというテーマがはっきり見えてきて、それを手助けするとらもニンゲンより人間らしく感じられる。
そういう意味では、人間の条件を追い求めるあまり脳みそとか啜っちゃう今回の敵は、無意識にニンゲンを理解してきているとらの対比として、非常に良いキャラなのだな。
興味が暴力になっちゃう妖怪の特性を、『はんばっが』というギャグに押し込めたり、甘噛して喧嘩して退場したりしてコントロールするとらちゃんは、やっぱ周囲見えてるなぁ。

今回の真由子はなけなしの勇気で立ち向かうヒーローであると同時に、うしおへの恋心に悩むヒロインでもあります。
バケモノ故に遠慮がないとらちゃんが聞き役になって、真由子のキャラがどんどん掘り下げられていくのは良い掛け合いでした。
安野さんのホワっとした声もあって消極的なキャラに見えるんだけど、思いの外賢くてグイグイ前に出るよね……藤田先生のヒロインがおとなしく座ってるわけもねぇか。
親友麻子のために自発的に身を引く姿が、傷を負いたくない臆病さに見えないのは、今回体張ってる姿見せたからだよなぁ。


キャラを掘り下げられているのはとらも同じで、共に背中を預ける相棒・潮とはまた違う、背中に庇うヒロイン・真由子への反応で、とらの中の人間性がよく見えたと思います。
とらちゃんの食う食う芸も極まってきた感じの王子様っぷりですが、バケモノの性を乗り越えさせるくらい潮と出会ってからの日々が大きいということでもあり、偏見を持たない真由子の気性がまた大きな変化を引き起こしているということでもあり。
今回の交流で潮と同じく『守るもの』を手に入れたとらちゃんがどう変わっていくかは、今後の描写が楽しみなところです。
しっかし真由とらは美女と野獣カップルとしての完成度高いなぁ……今になって見返すと判る太ももへのフェティシズムといい、性癖歪む漫画だね、うしとら。

伝承者篇からこっち、大筋を展開させることを重視した重めのお話が続いていましたが、今回はゆるっとした日常の中の異常事態であり、違う空気を感じました。
僕はうしとらのなんてことない日常描写がとても好きであり、今回は服を選んでいるシーンとか、麻子とガールズトークしているシーンとか、『これまで供給されなかった栄養分、ありがとうございます!』って感じだ。
潮は日常から切り離された超英雄として戦っているわけではなく、こういうどうでもいい(ように思えてとても大事な)風景を背負い守って戦っているわけで、日常描写に温かみを感じられるのは、非日常を舞台にしたバトルアニメとしても大事なところよね。

今回は潮が舞台裏に引っ込み続けているのも特長で、お話の隙間が空いた分とらちゃんのあざとい・可愛い・カッコいいシーン満載でした。
うしとらは最高のバディなんだけど、時々切り離して個別に描写しないと関係が癒着しちゃうところもあるしな。
まんじゅう顔でハンバーガー食べるシーンとか、「食うぞ!?」の時の異形顔とか、いろんな表情が見れたのは嬉しい限りです。
ほんとあざといよなぁあの金髪年寄り妖怪……素晴らしい。

そんなわけで、最近のお話と毛色は違えども、うしとらの良さを別角度から掘り下げるお話だったと思います。
こうして深まり変化したキャラ描写が本筋で生きてくるわけで、サブプロットが魅力的なのはやっぱ良いなぁ……。
切り捨てられる形になった他のサブエピソードも思わず見たくなってしまう仕上がりでしたが、まぁそれは贅沢がすぎるというものだ……面白いからこその苦悩だな、やっぱりこれは。
来週は本筋に戻ってHAMMRエピソードのようですが、一体どう見せてくれるのか。
楽しみですね。