イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ノラガミ ARAGOTO:第11話『黄泉返り』感想

関東圏はいろいろあって一週間遅れな、大人向けのひみつのここたま第11話。
冥府の女王に囚われたヤトを待ち人のもとに返すべく、レギュラー総出演の総力戦が展開されております。
これまで頑張ってきたキャラクターそれぞれに役割と見せ場があって、一つの目的のためにとにかく一生懸命なのは、やっぱクライマックスとして見応えもある。
良いアニメだなぁ、ノラガミ

本命に辿り着く前に噛ませ犬として雪音くん&ひよりの前に立ちふさがったのが、根性最悪の愉悦マンこと陸巴。
ネチネチとした精神攻撃は相変わらずでしたが、毘沙門エピの時の狂った確信犯っぷりが薄れていたので、結構さっくりぶっ飛ばされてました。
まぁ長々足止めされてもダルいんで、『真っ直ぐな信頼が、この作品では強さに変わる』という基本ルールの確認終えて退場ってのは、良いタイミングだったんじゃないだろうか。

VS陸巴戦で目立っていたのはやっぱりひよりでして、捻くれず真っ直ぐに真実を捉え、それを的確に伝える特質が、メンタルが強さに直結するノラガミ世界でどんだけ強力か、良く判る戦いでした。
気持ちさえまっすぐなら勝てるというのがノラガミのロジックなんだけど、逆に言えば心が迷えば陸巴程度にも苦戦するわけで。
余計ごとに惑わされず真実を見つける賢さ、痛みに逃げずに必要なことをする強さ、他人に本当に必要な言葉を伝えられる優しさを兼ね備えたひよりの言葉で、雪音くんが奮起するのも当然といえば当然。
『厳しいノラガミ世界で生きていくためには、神や神器の超常の力よりも、ただの人間が持つ真っ直ぐな気持ちと、それを伝える言葉が大事』という見せ方は、単なるバトルアニメから一歩踏み出した魅力があって、やっぱり俺好きだな、このアニメ。


そんな氏子が待つ現世に帰りたいヤトくんですが、冥府神がヤンデレすぎ強すぎでなかなか帰れません。
こんな状況でもヤトを全て受け入れ癒やしてくれる野良といい、狂った母性で(字義通り)縛り付けてくるイザナミといい、冥府戦はヤトを縛り付ける母性との戦いでもある気がする。
それを助けに来るのが都合の悪い女代表である毘沙門であり、絆を繋いだ小福であり、信じて待つ身内以外の女ひよりであることも引っくるめて、ヤトを巡る女の戦いの様相を呈しております。
……もう一つの鎖であり最大の束縛源である『ととさま』に関しては、ちょっと描き切る時間がないかな?

今回の戦いはイザナミが本当に強くてしつこくて、キャラクター全員の力を限界まで絞り出しても尚足らない、厳しい戦いです。
そういうハードな状況だからこそ、クソバカアマこと毘沙門が過去を懺悔する流れにも重みが出てくるし、ヤトの帰還を待つ神と人の気持ちの真摯さも伝わってきます。
敵の強さって味方の気持ちを試す試金石になるから、とっても大事よね。

前半情けないところばかり披露していたリベンジとばかりに、セイバーのコスプレした毘沙門がゴリラパワー全開で大暴れしていましたが、イザナミは神すら超えた法則それ自体なので、武力では勝ち切れない。
ここで小福の呪われた力と、恵比寿の知恵に導かれたひよりが鍵になる流れは、ぼーっと見ているだけのキャラを一人も造らない、見事なクライマックスです。
これは当事者であるヤトも同じで、あんだけ捨て鉢に人も神も殺しまくっていた男が、刺されてボロボロになりつつ何としても変えるという気概を見せる姿には、やっぱりグッと来る。
イザナミという障害の大きさを見事に活かして、彼らがこのアニメで手に入れたモノの全体像と大きさを、強い説得力で描いているのは本当に良いと思います。

キャラクターたちが手に入れたいモノの貴重さを、抗っても抗ってもしがみついて来るイザナミの強さで上手く表現した、最終決戦前編でありました。
小福とひよりという、どのキャラも好きなんだけど特に好きな二人に美味しい見せ場がバッチリあったのが、個人的には大満足ポイントであります。
えっべさんが死にそうになりながら絞り出した逆転の秘策は、一体どんなものなのか。
その鍵となるひよりは、どんだけヒロインポイントを稼ぐのか。
来週も見逃せない展開となりそうで、非常に楽しみですね。