イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-:第2話『学園崩壊』感想

街に迫る陰謀をスペシャルな武装で守るヒーロー! ……ってお話じゃないけれど、少し捻くれて結構アツい、パワードスーツお巡りさん達のお話、第2話。
第1話がアクション満載で一気に世界を駆け抜け、キャラとお話の骨格を見せる感じだったのに対し、今回は新人あさみちゃんと山吹室長をメインに据えて、結構じっくり見せる話でした。
情報の圧縮加減と掛け合いの気持ちよさがあるので、ペースダウンしても勢いが死なないのは素晴らしいし、速度を落としたことでじっくりと内面に入り込み、細かい伏線を撒く事もできる。
特撮でも活躍する超ベテラン、荒川稔久の面目躍如という手綱さばきでした。

前回は意識だけ高いポンコツ力を強調されてたあさみちゃんですが、今回は新型ウィルウェアを着込んでの大立ち回り。
前回の調子だと新人がベッコベッコにされながら海千山千の手管を学んでいく成長モノなのかなぁとも思いましたが、学校はぶっ壊したけどイイとこいっぱい見せた今回を見ると、あさみちゃんの意識の高さがダイハチに良い影響を見せる展開もアリかなぁ。
前回ダイハチのアクの強さを見せる壁役にされたあさみちゃんが、学校はぶっ壊したけどちゃんと見せ場をもらって、それを先輩たちにちゃんと評価されるというバランスの良さは、結構作品を信頼できる足場になる。
いやね、誰か『ぶっ叩いても良い被害担当』を作ることでお話を安定させる作品、イジメの構図そのまま過ぎて僕は好きじゃないんだな。

あさみちゃんは現場での経験は少ないけど、熱意はあるし知識も豊富だし結構機転も利く、長所欠点兼ね備えた良いキャラだと思います。
切羽詰まるとゴリラの血に覚醒し、腕力で全てを解決しにかかる所も、普段の意識高いっぷりと良い対比になってて面白い。
最後の室長の問答からして、『正義の味方』に結構純粋な理想を抱いている真っ直ぐなキャラだってのが見えて、彼女のことが好きになれる良い回だったと思います。
小澤さんのちょっと濁った声質がポンコツで元気でマジメなキャラとよく合っていて、仕草も可愛らしくて、とっても良いですよね。


今回のエピソード、もう一人の主役である室長も私生活や仕事風景が切り取られ、普段何をやっている人なのかが見えてきました。
独立独歩の秘密部隊とはいえ、というか表沙汰に出来ないはぐれ部隊だからこそ発生する、組織の間の軋轢。
それを一身に背負って頭を下げ、頭を下げ、頭を下げて回る仕草には、思わず『ご苦労さまですッ!』と感謝したくなる、立派な姿だった。
パワードスーツ着て殴りあうわけではないけど、これもダイハチを機能させる立派な仕事であり、それを説得力を持って見せてくれたのはとても嬉しい。

事件が発生してからは身内が巻き込まれても動じない冷静さ、大量の報告を的確に飲み込む頭のキレを見せ、あさみちゃんの実力考査も兼ねて一人に任せる度量もあって、頼れるボスって感じでした。
学校をぶっ壊しちゃったのでドン凹みするあさみちゃんに、警察官の仕事を教える姿も頼りがいがあり、『この二人、いいコンビになりそうだな』という楽しい予感が生まれてきた。
前半頭を下げる様子を見せていることで、あさみちゃんが引き起こした大惨事がどれだけ室長に負担をかけるかと、それを飲み込んで後輩を支える室長の器に、視聴者の想像力が伸びやすくなっているのがとても良い見せ方です。

他の先輩方の出番はやや少なめでしたが、ただの整備担当ではないセクハラっぷりを見せたキョウカイさんや、過程よりも成果を重視する合理的な猛さんなど、コンパクトに良い見せ場を作ってました。
事件に苛立った様子を見せるのが、一見冷静担当っぽい颯一郎ってのが、この亜に目のキャラ配置に面白いところだな。
露骨に裏がありそうな会長や議員秘書など、今後広がっていきそうなキャラもどしどし顔を出して、とにかく的確なキャラ回しだ。


キャラの描き方もこなれていましたが、設定の説明や伏線の見せ方も流石。
アレだけの悪事をしでかしたウィルウェアが『消防用』であることから、今後激化する戦いを予感させたり、ダイハチの苦しい立場を室長の謝罪行脚で見せたり、ボッ立ったままセリフで説明するだけの退屈さを避け、アクティブに必要な情報を出していく姿勢は一話から継続です。
携行チェーンソーで学校が解体できてしまう事実から、いかにウィルウェアがヤバイか、お話しのスケールがどんくらいかを推測できるってのは、やっぱ上手いやね。

アバンいきなりのお色気シーンで見逃しそうになりましたが、ちゃんと事件調査書類が机に置かれている所とか、細かく作中の状況を教えてくれる気の使い方で、とても好きです。
『賢すぎる』という違和感を見逃さない室長の鋭さ表現であると同時に、意味ありげにポエムってる当面の敵役・ロゴスの存在にキャラクターを近づける足場にもなっていて、欲張りな見せ方だなぁと思いました。
ロゴスの人は良い感じに『僕悪いです。あと人命とか悪事とか弄んでます。悪いことに酔っ払ってるんですよ!』というサインが出てるグッドな悪役で、しばらくダイハチを振り回した後大逆転されて冥王星までぶっ飛んで欲しくなる、素晴らしいキャラだ。
悪役はやっぱ、視聴者にわかりやすく行動理念を説明し、ツッコミどころを用意してくれたほうが嬉しいな。

他に気になる伏線といえば、ともよヴォイスと弾むような仕草が可愛いLikoちゃん。
利便性が高く結構普及しているみたいですが、ダイハチ内部をロゴスが監視していたところからするだに、彼らのバックドアーとして機能してんのかね。
ただの可愛いマスコットでも良いんですが、このアニメ結構意識的に画面にモノを映すので、今後何らかの意味を持ってくる予感です。


というわけで、フルアクセルで踏み込んだ速度を少し落とし、キャラクターと世界の肖像をより深く掘っていく第2話でした。
ペースを落としたら落としたなりの魅力が出てくるってのは、話運びが製作者に握りこまれているということ、どんな速さでも面白みが出てくる豊かさが作品にあるってことだと、今回思いました。
それは凄く貴重でパワフルなことであり、このわすうでこういう強さが押し出されてくると、ぐっと楽しみになっています。

今回表情を彫り込まれた二人の女以外にも、面白そうなキャラがわんさかいて、今回取り上げられた要素以外にも楽しそうなネタがたんまり埋まっている世界。
そこにどう切り込んで、何を見せてくれるのか。
ワクワクした気持ちが盛り上がってくる、とっても良いエピソードだったと思います。