幼女戦記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
一話で世界観と主人公の現状、二話でその裏を見せてさて三話。
『キチガイにはキチガイをぶつけんだよ!』というさだやか理論でマッドサイエンティストにヒドい目に合わされ、存在Xとの信仰バトルに振り回され、いい性格したキチ幼女の軍隊ライフは続く! という回。
今回の話は二話までで補強しきれていないヤダ味をキッチリ拾いに行く展開で、主人公のチートの裏でどんだけヒドい目に合わされてきたか、活躍の裏に神様のインチキが存在しているかが、ちゃんと見えるようになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
超絶無双が現実に即している必要はないが、物語内部のロジックは欲しいものだ。
小気味よくパッパと場面の受け渡しが繋がっていくのがとにかく気持ちよく、春藤佳奈副監督のコンテ・演出のパワーが最高のテンポを連れてきている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
地べたから一気に空に上るアバン、背景だけが加速していく博士との問答、スパッと後方に引き下がる転換の快楽。
映像の気持ちよさがそのまま、物語展開の快楽に直結していて、停滞しそうなお話を小気味よく進め、笑撃の奥にある核をシンプルに体感させていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
面白いものは前のめりに見るものだし、そうすれば伝えたい事も深く刺さる。絵として面白いということは、とにかくアニメにおいては強い。
場面転換のセンスに助けられて見せられるのは、存在Xとターニャの信仰(?)を巡る綱引きであり、強制された信仰により不信心者を広告塔に仕立て上げようとする神の傲岸である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
幼女はキチ博士だけではなく、神様にもモミクチャにされる被害者なわけだ。クソチートとひどい目のバランスが良い。
信仰と自由意志の問題は、それこそ2000年以上を超えるぶ厚い論考と祈りが積み重なりまくっていて、真面目に考え始めると戦場で無双している場合ではなくなってしまうのだが、この作品においてはあくまでスパイス程度というか、徹底的に掘り下げて考えるものではない…っぽい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
兎にも角にも神は理不尽であり、超越的であり、ターニャを振り回して己の偉大さを強制的に示そうとする、倫理的に劣った存在である。(この作品においては)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
人間代表として神の理不尽に挑みつつ、他の人間は踏みつけにするターニャのヤダ味は結構複雑な味わいで、正直結構楽しい。
戦況が悪化すれば、神の遺産たるクアッドコアの箒を乗りこなすしかなく、その度幼女は祈り、神の奇跡は現臨する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
なんとなくセイクリッドでありホーリーな感じの演出がうまく行っているのもあって、望まない広告塔任務が機能してしまうのには、結構納得がいく運びだ。
性格極悪・所業最悪の神様だが、他者に馴染まない異邦人であるターニャには、その神以外に同胞はいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
その空疎さを『くるみ割り人形だけが置かれた机』で見せ、その人形に憑依し因果を捻じ曲げ続ける神の巨大さにつなげた演出は、なかなか鋭かったと思う。時間停止の描き方も好きだ。
他人に頼ることを覚えれば、少しは神との孤闘も楽になりそうなもんだが、ターニャは性格が壊れているので逃げ道はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
自業自得の地獄絵図の中で、幼女の形をした人間代表がヒドい目にあい、ヒドい目に合わす。神はそれを祝福する。本当に性格が悪い話だ。
とまれ、超絶無双し続けるだけと思われた主人公が被害者に回り、『こいつも相当に苦労してるんっすよ』と見せたのは、共感ゼロのトカゲ人間を少し好きになれる、いい展開だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
『お前もこの苦界で、ヒドい目に合え!』って負の視線の扱い、創作のキャラをこっちに引き寄せる時大事だと思う。
イジメ役のマッドサイエンティストも、飛田さんの怪演が最高にハマって良い立ち方していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
彼は早々に神の奇跡に膝を屈したが、呪いを受けたヨブたる幼女は、おそらく加速度的に悪化してくだろう戦況にあって己を貫き、不信心者であり続けられるのか。そこら辺が気になるようになった。
あと『空』アニメとしての表現力がやっぱ良くて、風を切って暴走したり失速したり、音の圧力を楽しみながら色んな飛行を楽しめた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
薄暗い色彩が飛行シーンと妙に噛み合って、独特の気持ちよさにつながっている。アクションシーンにオリジナリティと快楽があるのは、やっぱ強いな。
前回内幕が見せた主人公のさらなる一面を掘り下げ、ぬか喜びと神の悪意でしっかり踊らせて楽しませる、いい趣味の悪さ&賢い冷静さだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
ターニャの喜びは直ぐ様ひっくり返されるものだと今回示されたが、待ちに待った士官学校生活ではどういうトホホが待っているのか。薄暗く楽しみである。
しかし、よりにもよってスコセッシの『沈黙』の公開タイミングと、このばちかぶりガッデム無双アニメが被るのは、偶然とはいえ面白すぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月20日
神の理不尽とか信仰における自由意志とか、そっちを徹底的に考えたい人はこっちを見よう。https://t.co/42YQcZtqhj