キラキラ☆プリキュアアラモードを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
総決算の個別回ラストラップ、今週はキラパティの王子様担当、生まれついての聖人(エル・サント)剣城あきらのお話。
病弱な妹にすべてを捧げてきた彼女の歪みをしっかり切開し、その先にあるものに辿りくく良いエピソードだった。
あきらさんはすご~く物分りと都合のいい人で、彼女がどっしり構えてくれたからこそ、中学生組(とペコリン)は存分に子供出来た部分がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
その結果、面白みのないただの『いい人』で終わっていた…かと言われると、自分的には結構疑問である。
あきらさんがナチュラルに善人で、魂のレベルが高く、汚れることをいとわないこと引っくるめてノーブルな人格してるってのは、それなりに統一された描写だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
あの人は王子という形に自分を当てはめているわけではなく、ただただあるがまま生きていたら飛んでもない所に辿り着けてしまう、稀有な人格だ
土まみれになりながらおばあさんの失せ物を探したり、時折年相応の笑顔を見せたり。『キラパティのお父さん』をしっかりこなしつつ、そこからはみ出る愛おしいエゴは、結構巧く切り取れてきたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
そんな彼女に回ってきた最後のエピソードは、剣城あきらというキャラのど真ん中を射抜く形になった
誰にでも優しいあきらさんだが、みくは特別だ。彼女の献身も高潔も、身近な人を襲った不幸から始まっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
それは喜びであると同時に呪いで、彼女を規定する『みくのために』は尊い献身であると同時に、巨大な檻でもある。
ここを触ってしまえばあきらさんの物語は終わるので、あえて突っ込まなかったポイント。エリシオの陰謀…という名前の助力を得て、今回の話は『仲良し姉妹』のいびつさにしっかり切り込んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
光は影の同居人で、キレイなものはいつでも醜さに接触している。見て見ぬふりは出来ないのだ。
判断力に乏しい子供に、真実の一面だけを見せて引きずり込む。ビブ公やジュリオにも見せていたノワール一味の手口は今回も健在だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
不穏な空気をうまく醸し出すホラーな演出が今回非常に冴えていて、光の中の闇、闇の中の光を複雑に切り取る展開としっかり噛み合っていた。フツーに怖い。
妹は自分を重荷と思い込み、(女児アニらしくそうとは断言されないものの)自死を願う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
姉は妹を守ろうと願った自分の行動が、妹の重荷になっていた事実に、妹に縛り付けられていた寂しさに涙する。
それは、当たり前にそこにあるものだ。キラキラ変身すれば、人間の業すべてが消えてるわけではない。
だが、重荷になることを悲しむ気持ちも、縛り付けられる痛みも、愛ゆえに生まれてくるものだろう。それは陰りと同じ場所、心の一番深い場所から溢れてくる、嘘のない感情だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
あきらさんは自力でそこに辿り着く。自分の積み上げてきた尊さをけして踏みつけにせず、しっかり認めて力に変える。
プリモードは重い葛藤を、(当然仲間の助力で舞台は整えられつつ)あくまで自分で踏み越える描写が多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
人間、結局は一人。それはけして、寂しいことじゃない。
友情にもたれすぎないここら辺の哲学は、かなり好きだったりする。孤高と友愛は、別に排他の関係はないのだ。
特にあきらさんは人格成熟度の高い『大人』なので、エリシオの誘いを自力で断り、それに飲まれるばかりだった『子供』のみくを抱きしめて救いあげることが可能だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
一面でしか無い真理の裏側をしっかり見て、愛の真実を他人に伝える力。つくづく、善人で聖人で大人だと思う。尊敬する。
闇に食われれば本当ってわけでもなく、闇が存在しないってわけでもなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
人間の魂を引っ張り込む重力をナチュラルに弾き飛ばせる、生まれながらのノーブル。そういう人間も世界にはいるのだ、とあえて真っ直ぐ走りきった今回のお話、僕は凄く好きだ。
あきらさんを正の頂点とすると、ノワール一味は負の極点だといえるだろう。世界に確かに存在する闇を、唯一の真理だと思ってしまった人たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
その薄暗い重力に身を横たえることが、かなりの快楽であるという事実は、ノーブルならざる僕(たち)はよく知っている所だ。プリキュアが描けない自堕落だ。
幹部が軒並みいなくなってから、エリシオは獅子奮迅の活躍をしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
これまで抑えられてきた心理攻撃をバンバン打ち込み、キラキラ☆な心の奥の闇を切開する。
それは確かに真実だから、お話が終わる前に踏み込んでいかないと嘘が生まれる。闇を背負った、悪役だけが出来る仕事だ。
光の戦士の中にも、等身大の高校生の中にも、『よく出来たお姉ちゃん』の中にも、闇はある。人間が生きて病み、老いて死ぬ生き物である以上、常に負の想念は付きまとう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
エリシオの怪奇な空間はそれを表に出して、しっかり切開させる。その奥にこそ、心の奥から湧き出る真実があるからだ。
こういう『悪役』の使い方は非常に適切、かつエモーショナルでいい感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
スイーツ野盗からこじらせた子供、そして闇に囚われた悪の幹部と、プリモードの敵は細やかに様相を変えてきた。一シリーズの中で、『悪役』の諸相を捕らえなおしている感じだ。結構面白い試みだと思う。
闇の誘惑を具現化した『電話』の道具立ても、紫色の陰りが随所に渦巻く不穏な感じも、トラウマを切開する心理手術を巧く盛り上げて素晴らしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
『敵』で『大人』で『男』なのに『変身ヒロイン』なエリシオ、かなりにチャレンジャーだ。相変わらずのクソダサ冥衣(サープリス)はどうかと思うが。
『雪』というモチーフも、非常に巧い使われ方をしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
姉妹を縛り付ける運命の日に降り注いでいた白い涙は、闇の中で黒く染まり、冷たい色合いになる。
『いつか』を夢見た想いがねじ曲がって、雪だるま型の暴力になって二人をとらえるけども、あきらさんは冷たさに支配されない。
雪は優秀な断熱材として、辛さを和らげ、温もりを守ってもくれる。ラストで二人が入った(そしてみんなで作った)かまくらは、オレンジ色に温かい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
諸相変化する心の明暗を切り取る回に、様々な色合いの『雪』を置く演出はなかなか良かったと思う。
作品全体を貫通する『スイーツ』のモチーフも、とてもいい具合に使われていた。ある意味流れでキラパティに席を置いたあきらさんだけども、そこで学んだ技術が『いつか』約束した雪だるまを、二人の食卓に連れてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
甘くてかわいくて、きれいな夢。それを形に出来るって、やっぱ善いことでしょうよ
姉妹にフォーカスしたので仲間の描写は控えめだったが、『隣のお姉ちゃん』としてのあきらさんの魅力を、いちかちゃんが巧く引き出してくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
願わくば、もっと早く、多く、ああいう二人を見てみたかった…イヤ実際最高にいい感じだったじゃん! キレイでステキな『隣のお姉ちゃん』だったじゃん!
恨み言はさておき、病院の外側に広がった世界としてキラパティと宇佐美家を配置し、あきらの歩みが間違っていないことを暗に示唆するのは、なかなか良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
全部あきらさんが自分で歩いて、広げた世界なんだ。その意味に迷いつつ、しっかり自力で答えにたどり着いてくれたのが嬉しかった。
剣城あきらのキャラ性である『ナチュラルな気高さ』を損なうことなく、その弱さと迷いにちゃんと向き合い、その中から生まれる輝きをしっかり見せてくれる、良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
健気すぎて闇に沈んでいくみくちゃんも、非常に良いヒロインだった。エリシオもいい仕事した。
そして来週、キラパティ最大の爆弾のラストラップである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
「撫でられるだけが、猫の生き方じゃない」
高校生の口から飛び出すセリフとは思えない煮えっぷりだが、琴爪ゆかりとは元来そういう人だったように思う。ほんとやりたい放題やな…好きやで。
今回のあきら回も、おそらく次回のゆかり回も、『あきゆか』でセットに終わらせず、あくまで個別の輝きと陰りをちゃんと見据える構成にしたのは、とてもいいことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
そのうえで、『キラパティのお母さん』と一番近い場所にいたあきらさんが、来週なんかど偉いことをしてくれると嬉しいが。
今週も、何かが劇的に変わるわけではなかった。みくちゃんの病気は完治しない。闇を掘削しても、昔と同じ答えが出てくるだけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
でも、その足踏みにも思える小さな歩みを積み重ねて、人はゆっくり高みにたどり着いていくのだと思う。
色々あるけどプリモードは、その足取りには嘘をついていない。
そこを確認できて、個別回ラストラップはどれも現状好きな話です。凄くプリモードらしいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月17日
このいい流れを活かして、ゆかりさんの物語のピリオドをどう打つか。来週も、とても楽しみですね。