ボールルームへようこそ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
かくして、物語は終わり、続いていく。ここまで描いてきたもの全てを切り取る、見事な視野の広さ。少年がたどり着いた境地を圧倒的な表現力で魅せるパワー。勝利と敗北の先にある新しい風景の予感に満ちた、美しいラストダンス。
ありがとう、最高のアニメだった…。
このアニメが描いてきたもの、全てをしっかり切り取り直した最終回過ぎて『良かった…最高だった…ありがとう…』しか言いたくなくなるが、それもなんだか悔しいので、蛇足と知りつつ感想を述べる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
みんな知ってると思うが、このアニメ最高に面白いから見てない人は是非見てね。
今回はドラマの盛り上がりとしても、キャラクターの成長としても、到達点を描いて手を離すタイミング。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
そのため迷い路を細かく歩んできたここまでの道のりとは別の、とてもゴージャスな表現がバシバシと顔を出す。最後の勝負でキッチリ作画力を解放。カロリーコントロール上手すぎる。
幾度も見てきた、黄金色のボールルーム。二人のヴェエニーズワルツは本編とOPの区切りを飛び越え、夢想の領域まで膨れ上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
規格外の表現力を、こういう形で表現して納得させてしまうセンスは、本当に凄いと思う。イメージ映像だと思いこんでいたものが、本編を侵食してくる驚きと納得。
そこに到達できるロジックもまた、納得力が高い。ツインエンジンで推進するヴェエニーズワルツは、『リーダーが二人いる』多々良ペアには部のいい勝負だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
言われてみると納得で、でもちょと思いつかない。良い所にしっかり理屈を付けてきて、勝つ理由に納得がいく。
それを追いかけるように、釘宮組のスロー・フォックストロットが来る。地獄と知りつつ、ダンスの引力に引き寄せられ、離れられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
それは愛情という名前の楔で、魂が縫い止められた結果だ。ダンスと出会ったことが、不幸だったのか幸福だったのか。そのすべてを飲み込んで踊る覚悟が、彼に生まれた
多々良組がお互いの顔を、過去の決断をしっかり『見る』こと、リスペクトに溢れることで覚醒したのに対し、釘宮さんは『見ない』こと、黒く塗りつぶすことで覚醒したように描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
しかし釘宮さんもやはり、『見て』いるのだと思う。パートナーと、会場に集ったダンスの引力に惹かれた魂を。
体をトラックに引き裂かれ、魂を師の言葉に砕かれてしまった男が、地獄と知りつつ踊り続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
そこには間違いなく、ダンスへのリスペクトと愛情がある。それを持っているなら、自意識に閉ざされた世界には大きな風穴が開いている。そこを通じて、観客も彼を見ている。
多々良が最終的に到達する、花咲く美しい世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
そこでも『見る』人と『見られる』人は渾然一体の共犯を踊る。
多々良はラストダンスのなかで自分の中の『見られる』ことへの欲望を再確認するが、同時に『自分を見てくれる人』への敬意を忘れない。主体と客体は常に混ざりあい、お互いを刺激する。
それは異質でバラバラだからこそ可能な、視線の相互侵犯だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
何も持っていなかった少年が、『僕を見ろ!』と世界に胸を晴れるようになるまでの旅路。それは自分もまた、とてもヘンテコで尊い『自分』を持っていて、『見られる』価値がある存在なのだと心から思えるまでの、魂の旅路だったのだろう。
そこに多々良を連れてきたのが、沢山の異質な人々との出会いと交流だったことは、彼のダンスを取り囲む沢山の人々、回想される思い出から見て取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
やっぱ最後の瞬間に、あらゆる人がみんないるってのは良い。最高にいい。そこにいない仙石さんも『いる』『見てる』ってところが、マジ最高に良い。
自分を見つめる内向きの視線と、世界を見つめる外向きの視線。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
その引力がつりあう…というよりも、逆ベクトルに思えた二つの視線が実は、お互いを強め合う魂の双子であったことを思い知るための手段として、多々良(とこの作品に出てきた全てのダンサー)はダンスを選んだ。
この物語が何を紡いできたのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
その問いかけをど真ん中に据えて、今回のダンスは展開する。真っ直ぐで分厚い勝負で、最高に気持ちがいい。
そう思えるのは、このアニメがそれをずっと問うて、描いてきたからだ。幾度も問われたものは、最後にまた問われなければいけない。あの問いかけは必然なのだ。
『何故ダンスを選んだのか』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
まだまだ少年時代を謳歌する多々良は、それに答えを出さない。だが、彼の細胞が、ダンサーにリシェイプされた背筋と筋肉が、触れ合う肌と肌が、もう答えを知っている。
それを世界中に、胸を張って叫んだ…叫ぶ特権を持った主人公だったからこそ、彼は勝ったのだろう。
今回はダンス作画もエンジン全開で素晴らしかったが、表情の作画が最高に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
答えを得てダンサーズ・ハイにたどり着いた人たちの、汗まみれの多幸感。輝きに満ちた瞳、不敵な口元、真っ直ぐな視線。
今彼らがどこにいるのか、言葉より雄弁に語りつくす、最高の表現だった。
この『貌の良さ』に後押しされて、ダンサーが手に入れたもの、それを見守る人たちの心情が、グッと胸に迫る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
ドラマの積み重ねだけでも十分胸に迫るのに、一切怠けず激情のラッシュをぶち込んでくることで、僕らもボールルームの熱気に巻き込まれ、幸福な一体感をアニメと踊る。なんて素晴らしい。
そういう圧を込めつつ、回想でキッチリ作画カロリーをコントロールしてきたり、順位発表を飛ばさなかったり、冷静な運びも素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
多々良が『僕を見てくれる人』を見る視線は、ああいう何気ない描写に生きている。六位はビリでも敗者でもない。胸を張って受け取る順位だと、天平杯で描いたように
思えばこのアニメはダンスへのリスペクトを原作から引き継ぎ、常に強化してきた。それが物語の開始から終了まで維持され、誇りと愛情を込めてモチーフを描ききってくれたことは、本当に素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
その姿勢が、『見る』子供である多々良の描写を分厚くもしていたのだろう。
勝敗が決した後、釘宮さんは哭く。目元を映さず、ただ溢れる感情だけを切り取るカメラと、特等席でそれを受け取る井戸川さんの不敵さが最高にいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
地獄の引力にとらわれて、踊って踊って、釘宮さんはようやく涙をながすことが出来た。それは苦しみや哀しみだけではない、何かにたどり着いた証明だ。
釘宮さんが閉じ込められていた闇が晴れたのは、多々良のダンスがその強いメッセージで切り裂いたからなのか。今ここで、多々良と競い合ったことが彼の運命だったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
それは明言されないけど、僕はそうだと信じたい。ルーキーとベテランは、お互い『見』合って、お互いがいたからこそ飛べたのだと。
釘宮さんはかなり出番が削られて心配だったけども、血栓の渦中でぐっと分厚い描写に支えられ、最高のライバルとして、尊敬できる一ダンサーとして、見事に輝いてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
パートナーである井戸川さんも、最高にいい女としてリーダーを支え、共に踊ってくれた。彼らがあってのアニメだった。
そして主役二人も、溢れる高揚感を荒い息に乗せ、新しい境地へ旅立っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
踊り会えた後『勝ちたいよね』ではなく『踊り足りないよね』で呼応し合う関係が、二人で一緒に扉を開ける領域に登ったペアを活写している。勝者の特権、オナーダンスをもぎ取りに行く強い意志。
散々凸凹ぶつかり合う過程を見せられたからこそ、二人の新境地にも、そこに連れていけなかった女たちの目線にも、強くうなずける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
まこちゃんの嬉しそうな輝きが、一瞬陰る寂寥。下克上の予感にビビりつつ、闘争心を燃やすしずくのハンサムな表情。やっぱ顔貌の圧力が尋常じゃねぇ。
素直に感情を爆発させるガジュくんの爽やかさと、不敵に会場を立ち去り、自分のステージからラブコールを送る清春の気持ち悪さが、凄く面白い対比だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
お前はほんとに多々良が好きで、ダンスが好きで、自分が好きだなぁ…そしてわかりにくいなぁ…そういうお前が好きだよ俺は。
あときったない顔で号泣する明な…お前も本当に面倒くさいなぁ…Wで掻っ攫う気満々でちょっかいかけてるし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
『取られちゃった』という発言は、一度でも自分のものだった実感があって初めて出てくるもんだと思うが、ちーちゃんは一度もそういう感覚なかったと思うよ…でもしょうがないね、愛だもんね。
そんな人々の豊かなエピローグを切り取りつつ、最後に物語はスタートポイントに戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
あの時と同じ場所で、あの時と同じ人。
でも体型はダンサーに、足運びは滑らかに変わり、経験の重さを語っている。そして、ダンスとあの人への愛情は何も変わらない。むしろ増えた。
『行きて帰りし物語』という基本構造をしっかり踏まえ、終わるべき絵でしっかりと終えてくれたラスト・シーン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
多々良の笑顔が最高に良くて、それを見る仙石さんの視線も素晴らしい。『見る/見られる』共犯関係の物語は、そのようにして決着するのだ。
というわけで、ボールルームアニメ、大・団・円でございます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
文句はねぇ…ただ感謝だけがある…ありがとう、本当にありがとう…。
良いところは山ほどあって、好きになれるポイントも溢れるほど言える。強さと正しさが同居し、グイグイと惹き付けドシドシ進んでいく、真っ直ぐなパワーに溢れた快作。
原作の絵力をアニメに落とし込みつつ、作画枚数を的確にコントロールしてメリハリを付けた演出・コンテ力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
原作の諸要素を取捨選択し、ストレスが長く続きすぎるタイミングを見事に乗りこなしてみせた構成力。
勝負どころで身体の圧力をアニメーションさせ、ダンスを題材に選んだ理由を語り切る作画力
アニメーションが持つ様々な力を結集し、最高の原作を最高のアニメにしてくれた、最高のアニメ化でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
キャラクターも声と動きを手に入れ、新しい魅力を次々繰り出してくれた。元々好きだったアイツラが、アニメ見る度もっと好きになった。最高にありがたい。
個人的に、仙石さんとマリサ先生が体現してた『コンペティターと指導者』に気づけたのは、アニメに感謝な部分。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
仙石さんが指導者になりきれなかったところを、マリサ先生が的確に洗い直して伸ばしていくことで、ダンスにおける(そしてそこを超えた)指導者の役割、難しさとやりがいを再発見出来た。
仙石さんは指導のロジックも、生徒へのヴィジョンもないへっぽこ教師なんだけども、結局多々良を前進させている根っこは彼との運命的な出会いで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
コンペティターとしてのパートナーシップが、ちーちゃんとの関係の『正解』になってる構図も、アニメでより分かりやすくなったなぁ…寿美菜子が偉い。
激しく輝く主役だけでなく、ダンスを取り巻く人々、その家族に至るまでリスペクトを込めて扱ってくれたおかげで、多々良が最後に到達する答えに必然性と運命力が宿ったのは、構成の妙味だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
色んな人が、色んな思いを込めて踊る。それってなんか、良いじゃないの。
あと身体が創る曲線の美、靭やかに撓るフォルムのストラクチャを楽しませてくれたのは、最高に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
人体は美しく出来ているのだなぁという、当たり前なんだけどもなかなか思い出せない事実をダンスの中で感じさせるアニメだったのは、本当に素晴らしい。
結果として原作を追い越すことになったが、正にここで終わるしか無いという必然と余韻を込め、しっかり終わることが出来た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
それはアニメスタッフの原作把握、そして愛が本物だった証明だと思う。別作者による答えだが、圧倒的に正解な終わり、そして途中の語りだった。ありがとう…ホンマありがとう
色、動き、音。アニメーションの力を最大限に活かしつつ、原作が持っている劇的なドラマ、絵の強さ、筋立ての熱量、キャラ配置の妙味を更に加速させ、最高の仕上がりにしてくれました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月19日
ホント最高に素晴らしいアニメでした。ありがとうございました。いいアニメだった…本当にいいアニメだった!!