マナリアフレンズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
高嶺の花は孤独に咲く。あまりの才気、あまりの地位故に敬して遠ざけられ、人の輪に入るやり方を知らないアン王女。
期末試験でざわつく凡人達を尻目に、焦燥と寂しさの置所を探し、少女は彷徨う。かつて、光と音楽に出会った場所を目指して。
そんな感じの言葉少なめ描写多め、作画と音響と撮影のリッチさを最大限活かしたエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
アンの社会的立場や内面、過去を静かに丁寧に積み重ねて、彼女がどういうキャラクターなのか、オリジナルな味わいはどんなものか、じっくり感じ取ることが出来ました。
過剰な作画パワーの割にこのアニメ、結構運びがオーソドックスな五分アニメと言うか、フックが強くてみんな使う部品だけで構成されてる印象があって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
ぶっちゃけ作品独自の”顔”が見えにくい印象だったんですが、今回はそこが強く感じ取れました。こういう話があると、作品にしっかりしがみつけるね。
美術力を信じた大胆なヒキの構図、沈黙を持たせる贅沢な音響。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
ダイアログも脂っぽい肌色アピールも少なめに抑え、アンのナイーブな内面を風景に反射させながら、丁寧に追う。
この静かで淡口の運びは素材の強さがなきゃ成立しないわけで、作品の強みを生かしたと感じました。感情の籠もった美術最高！
アンはロイヤルな出自と、なにより自分の天才で学園に居場所がなく、”生徒”の枠を超えてしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
手に入れたものを咀嚼し、誰かに分け与えるロジックを鍛えてもいないので、”教師”の役も演じられない。学園に必要なロールから、アンははみ出してしまっている。
その孤独を埋めたのが龍とのハーフであり、同じく学園に居場所をがないブルーブラッドたるグレアだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
コンプレックスの強い彼女と、社交的ながら孤独を抱えるアンは、お互いの隙間を埋めるべくして出会った運命の二人。しかし、アンほどの才気はグレアにはない。
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なので、移ろう季節の中で彼女は一人、孤独をかこつ。（ベンチから見つめるカップルが、軒並み女女なのがスゲー世界だな…）
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
時と共に変化する美しい光を楽しむ余裕は、今のアンにはない。それが高貴なる者の必然なのかもしれないが、寂しいものは寂しい。
静寂に寂しさを覚えるのは、胸に高鳴る鼓動を爪弾くパートナーを手に入れたから。それに耐えられなくなったのは、孤独ではない状態を知ったからであり、アンの世界はグレアと出会ったことで音に満ちたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
ピアノのモチーフが詩的に世界を埋めていくのは、感情の高鳴りを上手く映像に宿して良い。
黙りこくって、美しいけども（美しいからこそ）空疎な世界を彷徨う。試験が終わってグレアと再開するまでの世界は、重たく沈み込んで音がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
そんなアンの孤独が、アンの圧倒的な才能によって生み出されている描写が、なかなかに皮肉でいい。家柄も才覚も、時にギフトは孤独を生むわけだ。
アンは心の置所を探して、現在と過去を彷徨う。彼女の孤独は今に始まったことではなく、学園に迷い込んだ当初から世界は灰色だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
そんな世界で出会った運命。
目を見開き、風が舞い、花びらが散る。女と女が出会った宿命を、世界が光と色彩に満ちて祝福する。
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『アイカツフレンズで勉強したところだ！』って感じのエモ直結演出であるが、グレアと会えない現在は寂しさの嵐を吹かせ、ピアノは沈黙に沈む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
この心理状況が風景と完全リンクしてる演出、それを支える作画のリッチさはマジ最高。サイゲマネーが正義や！！！
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運命の時間（試験期間）をくぐり抜け、哀しみの嵐は感情の潤みへと変わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
この過剰なリッチさ、『ここまでやる必要ある…？』って感じだけども、あるんです女と女の感情が触れ合う瞬間にはっ！！
ほんと凄いよ…水滴のプリズムで分光して生まれる虹とか描くフツー？
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グレアにとってもアンは特別な運命であり、出会った時に音楽が生まれた。アンだけが寂しさと情愛を抱え込んでいるわけではなく、それは双方向なものなのだというのを見せるべく、孤独なアンを見つけるナイト役はグレアがやることになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
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灰色の世界に七色の彩光が差し込み、感情が音楽を奏でだす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
宗教画めいた”兆し（オーメン）”の美術で世界が埋め尽くされ、女と女の運命を祝福していく。
ぶっちゃけやりすぎ、ぶっちゃけ過剰。でもその力みっぷりがあまりにも正しい。心が動く瞬間ってのは絵画であり交響曲であり神話なのッ！！
そんなパワー籠もった過剰な詩情だけでなく、少女の小さな感情の揺れも、非常に細密に描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
待ち人を待ちすぎてちょっと拗ねちゃったアンの視線が、非常に細やかに彷徨う様子は、アニメ敵心理表現の極地であろう。
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あの時のように、寂しさに沈む自分を見つけてほしかった。特別な貴方を見つけたかった。当たり前の日常に混ざれない哀しみを、静かに奏でてほしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
外面の良い”愛されるべき王女”の仮面の奥に、ナイーブな感情を殺しすぎた少女は、素直に気持ちを吐き出せない。
心の壁を乗り越え、『寂しかった！』と叫ぶまでの一瞬の”タメ”が、ふわりと髪を揺らし、柔らかな曲線を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
ここの振り返りの作画、首とディレイで動く髪の毛の表現がマージで凄くて、ほんと凄いなと思った。（語彙力蒸発）
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会いたくて、会いたくて、会いたすぎて捻れた気持ちを、少し捻って素直に戻す。そういう人間らしい逡巡が、なんでも出来る天才少女にも確かに宿っていると、圧倒的な”絵”の圧力で見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
こういう細やかな表現があるおかげで、画面の中のキャラクターが個性を持った独自の存在…”人間”だと思える。
そういう方向に作画力を使って、丁寧に積みに行く展開が非常に良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
こうして生み出したアンの可愛らしさが、グレアの心にもズギュンと刺さっていて、『もう二人は離れられない運命なのだ！』と”秒”で判るよう広げていくのは極めてグッド。
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暗がりでしか無い世界の中で、貴方だけが光。貴方だけが風。貴方だけが花。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
そういう特別さはお互い様で、瞳が通うたびに恋をし直す。そういう関係の瑞々しさと熱量が、細かい表現にしっかり宿っていてとても良かったです。
世界に二人きりの、特別な関係。あまりにも美しい花園の中のピアノを、まず円形で見せて『二人だけの幸福な孤独』の美麗さ、静けさ、距離感を教える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
そこから連弾の距離感にカメラを寄せて、幸福なエンディングにつなげていく。
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ここで手前を横切る柱が”二つ”なのが、マジでいいんすよ…”二”なんだよなぁ運命の数字は…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
そういう特別な関係性に入れない（入らない）オーウェンくんが、ちまちま見切れてるところも奇っ怪な面白さだった。お前はよく出来た百合厨だな…壁になりたい系か。
つーわけで、アンの萌キャラ的記号の奥にある感情、関係に詩的表現のメスでギリギリと踏み込み、バリッバリにリッチな画面でキャラを理解らせていく、パワフルなエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
やっぱ肌色サービスに時間使われるより、こんくらい静かな音量で魅せてくれたほうが、個人的な好みには合うね。
アンの感情を深く彫り込むことで、そこに反射するグレアの存在感、同じだけの運命を背負っているグレアの情熱もしっかり伝わり、”二人”のエピソードとして非常に良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
リッチさを1キャラで完結させず、つがいの描写にしっかり伝播させるのは、パートナーシップを軸に据えた話では大事よね。
舞い散る花、二人きりの庭園、野ざらしのピアノ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月11日
爆エモフェティッシュを画面中にみっしり埋めて、セリフの代わりにいろいろ語らせる贅沢な語り口、それを可能にするクオリティも堪能できました。今後もこのトーンでやってくれると、色々好みだなぁ…そこら辺の舵取りも含め、来週も楽しみです。
