ランウェイで笑って を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
おかっぱ頭のデザイナー見習い、都村育人の初陣が終わった。
何かを成し遂げた感慨に浸るまもなく、襲い来る運命の波濤。
お互いの愛が枷にもなる、家庭の事情。新たな出会いと、若き才能。激動の予感を秘めて、展示会に向けての準備が始まる!!
という感じの、ファッション青春物語第四話、主役の事情とライバル登場である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
いやー…早い! 綾野さんと心ちゃん登場まで一気に持っていくためか、細かい枝葉をバッサバッサ落とし、三巻ラストまで猛スピードで走っていった。
このスピード感が、芸華祭決着までアニメでやりきるためには必要…か?
エピソードのコアの部分はしっかり押さえ、情動の流れに不自然なところはないと思う。キャラの印象づけ、それぞれの強みはよく見せれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
ただセリフと演出のテンポがやや急いていて、描写が視聴者の胸のなかで膨らむ余韻をあまり取れなかったのは、少々残念である。
コマのサイズとページのめくり引き、視線誘導でテンポを作る漫画を、アニメに落とし込む難しさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
僕は原作を読んでしまっていて、自分なり理想のペースで物語が流れる体験ってのを内部化している。百人いれば百通りあるだろうその体験を、全体の構成を見つつ映像に落とし込み、”アニメ”にしていく
これはとても難しいことだと思う。どこをカットし、どこをふくらませるか。どういう視聴体験を原作既読者に、このアニメで初めて”ランウェイで笑って”に触れる人に、体験して欲しいか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
作る側、見る側。見る側にしても色々条件があり、期待するものも違う。それに答えうる物語を紡ぐ。難しいことだ。
そこに挑んだ結果としての、やや早回しのストーリー展開…というか、出来事の消化スピードだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
僕個人としては、もうちょい余韻があると原作に籠もった人情、溢れかえる情熱がより良く伝わったかなー、とも思う。
同時に、物語が成立する上で必要十分以上に、上手くまとまったかなぁ、とも感じる
どっちにしても、僕は既に”読んで知ってる”側で、アニメで初めて見る人がどう感じるかは、推測できても体験できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
個人的には、アニメでお出しする以上そっちが大事かな、とも思う。原作が持つ芳醇で…時にクドい味わいが上手く伝わってると良いんだが。(多分通じている)
ま、そこはいち視聴者が気にする領分でもないし、『大丈夫なんじゃねぇの!!』という、根拠のない安心感もあるのでこのくらいとして。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
お話はAパートを都村家の家庭事情、Bパートを亜音速の展示販売会決定からライバル登場まで繋げる、盛りだくさんの内容だ。森山さんの退場と展示会、マジ早い。
”家”は芸華祭までの育人を貫く非常に大事なファクターなので、描かないわけにはいかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
病床の母と三人の妹を抱え、自分の夢を踏みつけに頑張ってきた育人。千雪という触媒は、そんな彼に夢を見せた。
…否、思い出させた。
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家計を助け、家族を喜ばせるために作る続けた服。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
それが育人の高校生離れした(しかし、プロとしてやっていくには圧倒的に足りない)技術を支えている。
お互い無邪気な時間が終わり、それぞれの未来を考える時代。四人の子供を背負うには、母の健康はあまりに脆い。
造花の赤が、鮮やかで少し痛いね
クールな優等生ズラに家族への愛を隠した(隠しきれてない)ほのかと、イノセントな優しさを真っ直ぐぶつけてくるいち花に挟まれて、葵ちゃんがあんま目立たないのは残念である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
育人も含めて、みんないい子なんや…。いい子だからこそ、自分を抑えて他人の幸せを作ろうとする。
『いっくんに甘えないぞ!』と決めると、チェックの服を着なくなるほのかが可愛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
それは幸福を肌で教えてくれる、とても大事な第二の皮膚なのだ。それに包まれると、うっかり体重を預けてしまうので、自立を目指す優等生は着ない。
健気な強がりで、オッサン涙出てくらぁ…。
柳田さんはグダグダ毒を吐きつつ、後輩デザイナーの将来を気にかけている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
一度諦められる”好き”では到底続かない、理不尽な世界。そこにしがみつける太い夢、”いい人”で終わらないエゴイズムを、お前は持っているのか。
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そんな問いかけに、育人は千雪を幻視する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
年頃の男の子が家をはみ出して、広い世界に飛び出していく理由。最もスタンダードな”恋”と、自己実現の”夢”が相互に繋がっているところが、育人と千雪の関係性で面白い部分だ。
あと”仕事”にもね…学生ムード、ほんとに全然ない話だな、改めて描かれると。
これから服飾業界でやっていく上で、自分を支える”芯”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
それは結局、満たされたいた幼年期の思い出にある。
可愛い妹のため、素敵な服を考えていた時代は終わり、あの喫茶店はもうない。母は倒れ、”経済”がミシミシと、幼いきょうだいに伸し掛かる
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兄は妹が自由に夢を広げることを望み、妹は兄と母の重荷にならないことを願う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
真心の摩擦熱が、狭い家を熱し、いち花が泣く。泣くな幼子よ…兄ちゃん、結構稼げるようになってきたんだぞ!
夢と現実の間にある厳しさを、給料袋が埋めてくれる。腕を上げてバリバリ稼ぐことが、家族の幸福に繋がる。
自己実現という、必須だけど恵まれた人にしか許されない領域が、ファッション業界で働いてバリバリ稼ぐことと繋がるのは、育人にとって幸運だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
働くことで学び、それが腕に繋がる。理想的なエンジンが、柳田さんの下で動いている現状を、兄ちゃんはようやく妹に伝えられる。
まぁこの後も山盛りの波風がこの家に待っとるわけだが、一旦は眼鏡と和解である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
都村家が背負う”経済”の生々しさは、華やかなファッションという題材、夢を追ううわっ付いた物語を強引に地面につなぎとめ、重さを生む良いネタだと思う。
それが重たいからこそ、育人は家族のため”にも”頑張るわけで。
涙の現状報告は、同時にクリエイティビティの原点、それが照らす未来を確認することにも繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
『作りたい人』で千雪が家族より前に来るのは、育人の変化が誰から生まれているか、鮮明になっていい。
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柳田さんは、育人の”野望”を笑わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
スレた現実主義者かと思いつつ、この人も相当な夢色チェイサーだからね…。おかっぱの甘っちょろい初心を笑うと、野望に邁進する自分も笑うことになるわけで。
こういう一番根っこの部分で、他人を尊重できる人間なのが柳田さん好きな理由だ。当たりキツいけど。
というわけで、柳田さん現在進行系の夢をつなぐ、展示会の修羅場…は、かなりのスピードで走る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
ここをショートカットしないと、育人と千雪メインの話として終われないんだろうなぁ…。シビアだぜ。
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”仕事”としてのファッションを取り扱うこの話で、育人が初めて『服が売れる瞬間』を見るゾクゾクを、アニメで見たかった気持ちもあるが。ファッションを『考える・作る・届ける・受け取る』と、多彩な角度から魅せるのが好きだから…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
まぁそれはしょうがねぇ。状況はゴロゴロと転がるのだ。
と、急ぎ足の物語の間にワンカット、アニメオリジナルのシーンが挟まったのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
原作だと屋外でのデートを圧縮して、屋上での視線の交錯に変えているが。育人の運命が切り替わるジャンクションには、必ず千雪がいる。
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二人三脚というには、力強く独立し。しかしお互いに支え合い、引っ張り合う不思議な関係性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
それを節目節目で確認しながら、育人の運命は転がっていく。アニメ版は作品を再構築するにあたり、千雪との関係性を主軸に選んだんだなー、と。再確認できるシーンだ。
抜けるように青い空が、甘酸っぱい。
千雪が開けてくれた扉から、世界はどんどん広がっていく。露骨にヤバいオーラを漂わせた、木村くん声の超天才。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
お互い服を見抜く”眼”の持ち主、ライバルとの、運命の出会い。育人にそのつもりはないんだろうけど、マウント取り合いでバチバチや。
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ここで分かりやすく、デザイナーとしての”強さ”を可視化するのは、少年誌連載っぽいなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
バトル漫画なら必殺技の威力を見せればいいところだけど、ファッション題材だとハッタリの聞かせ方も難しい。ここら辺、題材と媒介を上手く調和させて、独自の面白さに繋げてる部分だと思う。
可愛い可愛い心ちゃんとも合流しつつ、若き野望のヤドリギとなった柳田スタジオ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
綾野さんはヤバいオーラをモリモリ出して、育人をバンバン試す。どの程度の技量で、どういう適正があるか。
その視線は、野心にギラついて心ちゃんをビビらす。
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育人にとっては遠い夢でしかない”デザイナー”は、綾野さんにとってはなんとしても掴み取る現実であり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
そのために必要なスタッフを見極めるために、わざわざ柳田さんの仕事場にも足を運んだのだ。
育人は自分の未熟と、綾野さんの腕だけを見てる。
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だが綾野さんは、パタンナーとしての育人の才能、その上に乗っかる自分の野心を見てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
この視野差が、年齢によるものなのか、既にAphroで仕事してる立場によるものなのか、デザイナーとして成し遂げたいものの差なのかは、今後彫り込まれていく部分だ。
まぁヤベー奴なのよ、このヒトも。
家族を喜ばせるチェックの服は、過不足なく作れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
でもモードが絡むエッジな領域に踏み込むには、腕が足らない。
そしてそのレベルで通用する型紙は、教えられなくても即仕上げられる。
綾野さんという触媒で、育人の現状もクリアに見えてくる。
適性と理想。その間を泳ぐもう一人の同志と、今の育人はちょっと距離がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
裏で柳田さんと綾野さんが『パートナー』の話をする時、心ちゃんの彷徨う視線、かすかな微熱を切り取ってくるのはうまい演出だ。出会ったばかりの距離感が、よく見える
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己の野心のために、育人を引き抜く。そんな綾野さんの”圧”に、柳田さんはどう応えるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
そんな嵐を知りもせず、思わぬ出会いに生まれる微熱。いっくんと心ちゃんの青春はどう転がるか。
そういうヒキまで、一気に疾走するエピソードでした。早いけど、結構良かったんじゃなかろうか。
早いとはいっても、バイタルパートは抜かしていない。余韻が弱いといっても、伝わらないわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
そういう及第点を越えて、時折グッとこちらに働きかけてくる鋭い演出もあり、早いからこその面白さもあり。
色々大変そうなオーラが透けてもいるけど、頑張って乗りこなしてる腕力も見える。
1クール12話完結と考えて、残り8話。芸華祭決着で終わるとして、残り単行本5感と少し。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
かなりのスピードレースとなりそうですが、その渦中でどんなモノを選び取り、どう魅せてくるか。
作品自体の仕上がりもそうだけど、どう組み上げてなにを捨てていくか、そのチョイスを楽しんでる感じもあります。
これは結構斜な視線で、あんま良くないのだろうけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
諸条件を色々飲み込んで、アニメという表現を組み上げる苦労とセンスを推察できるチャンスは、なかなかないからなー。
今作ではこういう見所にハマっちゃった以上、プレーンな見方はちと難しいか…。惜しくもあり、面白くもあり。
ヒネたオタクの寝言はさておき、色んなライバル、新たな舞台を前に、育人の青春と懊悩は加速していきます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
家という重荷、帰るべき場所を背負って夢に突き進む青春に、どんな風景が待っているのか。そこで出会う人々は、どんな顔をしているか。
まだまだ続くランウェイ、次回も楽しみ。