宇崎ちゃんは遊びたい! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
うぜーうぜーと口では言いつつ、跳ね除けはしない二人の距離。先輩の友人・榊は、これを進展させんと一歩を踏み出す。
二人の関係性を外野から楽しみたい亜美との鞘当などもありつつ、当人たちはチョコミント戦争で吹き上がる。
いたって平和な、夏の始まり…。
そんな感じの”間合い”のアニメ、第5話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
二人の関係を任意のタイミングで進展させれるだろう”外部”として榊を用意しつつ、当人たちの距離はなんともまどろっこしい塩梅で維持…しつつ、未来をそこはかとなく暗示する。
ダルく見えて、結構テクニカルな回だったと思う。
季節は夏。春からの宇崎ちゃんアプローチはなんだかんだ結果を出していて、先輩の家に上がり込むのはもうフツーである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
”性”を意識しない小学生のような距離感は、しかしそこから進展しない。そこが二人の、ナチュラルな適正距離である。
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ウザくすり寄ってきて、『私が先輩を構ってあげているんだ。”上”なんだ』という誤解に背中を押されたまま、グイグイせまる宇崎ちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
そんな幼さを認識しつつも、二人でいる距離は不快ではないので、好きなようにさせて受け止めている先輩。
中盤にさしかかり、二人の重力系はある程度安定してきた。
しかし宇崎ちゃんが抱えている事実誤認は常に危ういし、そのうち距離感間違えてリアルな衝突も生みかねない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
そこで手を差し伸べるのは、『ボッチでかわいそう』と見ていたはずの先輩になる…はずだ。精神的成熟度と視野は、いつでも彼のが広いからだ。
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ある意味ホールデン・コールフィールド的な、『滑り落ちそうな子供を、崖の寸前で捕まえる仕事』を、先輩は果たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
周りなど見ず、ただただ突っ走る危うい子供を遊ばせて、危なくなったら止める立場。
一見無駄な長尺に見える、階段での会話。むしろそれこそが、今回のコアなのかなぁ、などと考えた。
この”ライ麦畑でつかまえて”的な描写がある、ということは、そのうち宇崎ちゃんは人生の崖っぷちから滑る、ということなのだろうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
先輩との閉じた関係以外を書かれない彼女が”間違える”としたらそれは、やっぱり恋と成熟にまつわる落下になる…はずだ。
つまり宇崎花の落下とその被害両方を先輩が受け止めることになるわけだが、そこまで緊密なイベントが発生してしまえば、ふたりとも子供ではいられなかろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
つまりこの階段の暗喩が成就する時、お話は終わる。あるいは『ウザい後輩と鈍い先輩の、もどかしいラブコメ』という基本構造は大きく変化する
原作未読なので、アニメーションの歩幅がどこまで到達するかはさっぱり分からんけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
足元の危うい宇崎ちゃんの舞い上がりを、両手で抱き上げてあげるクライマックスは、アニメでは描かれないんじゃないかなー、という予感はある。
それがあると、この階段のシーンもっと面白いんだがなぁ…。
それはさておき、そんな二人の関係に一つの触媒が打ち込まれるのが、今回のエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
義務と自由、成熟と放埒の中間点に位置する大学生というモラトリアムを、心から堪能する榊。先輩とは違った意味で、自分の世界を持っている男である。
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彼はチャラい風貌に似合わず観察力のある青年で、気難しい友達が隣においている少女が彼にとっての”特別”であることを、サラリと見抜く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
見ることで立ち止まらず、スイッチ両手にガチャガチャ遊んでいるヌルい距離感を、ガッチリ縮めて”大人”にしようと食指を伸ばす。
それは『構ってあげている』と思い込むことで、先輩と対等以上になろうとする宇崎ちゃんの無意識のふるまいとは、ちと違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
榊は年齢相応に世界と個人をしっかり見て、自分の信じる”華”を友人にも呼び込むべく、意識してちょっかいを掛けているわけだ。
言葉の探査針で色々探りに行く榊を、先輩はなーんも知らない宇崎ちゃんを引き連れて交わし、二人の関係を性の介在しない安全圏へと引っ込めようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
そういう友達のナイーブさを尊重しつつ、ジリジリと間合いを詰めて余計なおせっかいをぶっこもうとするのが、榊のスタイルである。
これは安全圏から実在の人物をコンテンツ化し、自分はコストも被害も被らずに状況を静観する亜美のスタイルとは正面からぶつかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
『アンタも大概悪趣味だな…』
よういうた榊クン…その通りや!
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いや実際、クソオタクの自己保全願望、窃視趣味を煮詰めたような亜美の振る舞いは卑怯通り越して醜悪ですらある。作中誰かがカウンター当てないとヤダ味凄いことになってたと思うので、榊の存在はありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
何がヤバいって、自分の窃視趣味気づかれてないと思ってるけど、バレバレな所だよなぁ…。
自分の人生に(亜美は無関与という形で)介入してくる二人の『ハンパな大人』を背中に背負いつつ、先輩は宇崎ちゃんを守るポジションに立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
乳だけ育ったアンバランスな少女が、生っぽい人間の生態、複雑怪奇な相互作用に混乱しないように、シンプルで楽しい世界に留めてあげる。
幼く脆い宇崎ちゃんを『構ってあげている』のはいつも先輩だと、作品は常に語り続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
そうやって庇護者を演じることが、先輩の自尊心だか自己充足だか、とにかく心の柔らかい部分を刺激するからこそ、二人の関係が成り立っていると。
ここら辺、ちょっと”トムとジェリー”っぽくはある。
『先輩を構ってあげている私』という世界観に付き合い、ギャーギャーわめきつつ彼女の望みを果たしてあげることで、彼女を未成熟の領域に置きっぱなしにしている危うさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
ここらへんに目が行ってしまうと、やっぱり話が終わってしまうので、もうちょい先輩鈍感なままかな…軽い共依存だよな。
『ボッチでかわいそうな先輩』というイメージは、先輩にとって充実した自己像と繋がっていて、宇崎ちゃんを満足させるための虚像ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
しかしそこには、そういうイメージがあればこそ繋がっていられる、いびつで危うい関係性が投影もされている気がする。
『俺たちはこれで良いんだ』と、先輩が判断し続ける限り(そして物語の内圧が、このもどかしい関係を許容し続ける限り)ふたりは壁の向こうの『普通の男女関係』には踏み込まないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
しかし、それを求める心身は、騒がしいモラトリアムで疼いている。
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ミーハーなネットミームに大空直美の声を乗せたやり取りを、〆る”あ~ん”と間接キス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
『食べさせ合いを公衆の面前でやれる時点で、それはある種の”線”を超えているのでは…?』と、榊ならずとも思うところであるが。
ここでも、先に”ヤバさ”に気づくのは先輩である。
『そういうんじゃねぇ』と啖呵を切り、榊の追求から逃げた先輩はしかし、プラ楊枝の先に引っかかってる自分の感情からは逃げられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
意識してると見せれば、逆に関係が壊れてしまうと”あえて”口にしたチョコミントの意味は、宇崎ちゃんには気づかれない。しかし、自分が口にすれば気づく。
ここら辺、二人の成熟度の差、それが生み出す奇妙なトルクがよく出てて、面白いシーンだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
それを”外部”がどう受け止めて、どう関与するか。食堂地獄会議が大白熱してる所で、お話は幕である。
榊…自分に砂がかぶることを畏れず踏み込むアンタの立場は、マジで間違ってない。
つーわけで、場をかき回してくれそうな第三者がラブコメ闘技場にリングイン! な話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月7日
適切な軽薄さと鋭い視力を併せ持った榊くんが、まどろっこしい二人にどうアプローチして、どう変化させていくか。亜美の実在人物コンテンツ消費を、どう切り崩すか
色々楽しみですね。