憂国のモリアーティを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
アルバートの誘いを受け、アイリーンが向かったのは仮面舞踏会。
”犯罪卿”を演じる貴族の戯れの中で、また一人貴族が死ぬ。
国家を揺るがす醜聞を抱え、行くべきは彼方か、此方か。迷う女の前に、探偵は再び罠を敷いた。
そんな感じのアイリーン・アドラーの事件、第二幕である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
やーっぱ特秘案件を良いように取り回しだしたアルバートに誘われ脅され、一人で抱えるにはデカすぎる爆弾”大英帝国の醜聞”を遂に表に出したアイリーン。
その実態は、フランス革命にまつわるスキャンダルだった。
自由と平等の思想がどうドーバーを渡り、あの時代の英仏がどういう相互関係にあったか考えると、”大英帝国の醜聞”の妥当性は結構検討難しいところだと思うが、まぁそれは横に置いて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
表沙汰になれば国家の土台が揺らぐ爆弾、テロ一味としては垂涎のネタである。
そういう危険因子に秘密工作の実権渡しちゃってる政府(とマイクロフト)の無能も問題かと思うが、そこはモリアーティが上手くやってる所なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
義賊扱いで英雄視され、貴族の爛れた遊興のネタにもなる男は、仮面舞踏会の現場にアイリーンを引っ張り出す。
ここで国家からの白色テロからの防衛を餌に、ネタ差し出して胸中に入ることを狙ってくるわけだが…おまけとばかり、クズ男爵も処分している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
死体ほっぽりだしてダンスを続ける。貴族たちの末法末世っぷりもまぁ大概だが、仮面劇を高みの見物して死体増やすアルバートも、まぁ最悪である。
男爵は保険金目当ての火災を咎にぶっ殺されるが、んじゃあ”モリアーティ”最初の事件でボーボー家燃やし、メイドも使用人もぶっ殺したテメェは何なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
特権的に目的が手段を正当化しうる、聖なる犯罪者とでも言うつもりか。…いや、ずっとそう言ってんだけどさ。
どうもモリアーティは『咎あらば死すべし』っつー自分たちのロジックを、自分たちには適応しない論理的不徹底、道徳的不誠実が目立つんだよな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
自分たちが断罪する『欲にまみれて人殺す貴族』と、貴族を虫のように殺す自分たちの間に、どういう線を引いて犯罪稼業やってんのか、いまいち見えない。
ここの矛盾、なんとなくだがウィリアムは自覚的で、最後は”モリアーティ”も全部殺して終わらせる感じがすんだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
生来貴族であるアルバートは、貴族の薄汚れた特権意識を嫌悪しつつ、自分を『殺す側』として特権化してる現状に、あんま自覚的じゃない気がする。
『目的は方法を正当化するのか』という古来よりの問いかけは、最終的に彼らにどう降りかかるのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
腐った連中を切り倒すために、腐った手段でも使うべきなのか、それとも腐った手段は正しい目的をも腐敗させていくのか。
”モリアーティ”の末路は、作品がそれをどう考えるかを照らすだろう。
今は(あるいはずっと)悪たるを以て悪を征するモリアーティイズムが高笑いするフェイズで、大英帝国を維持するための工作が、忠臣の皮かぶった赤色テロリストに利してる状況である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
大変にヤバい。大英帝国の命運は、醜聞が表に出るか出ないかを飛び越えて、既に風前の灯である。
そういう大英帝国 VS 犯罪卿の構図を横に置いて、つうか間に挟まれてアイリーンは身動きが取れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
状況を打破しうる”大英帝国の醜聞”は身に余る爆弾だし、振りかざすべき大義もない。
孤立無援の状況で、それでも巻き込んだホームズは守ろうと事務所に戻ってくる。
人の命なんとも思わないで、大義のためにバコバコ殺す大英帝国/犯罪卿に対し、ホームズ一派とアイリーンは目の前の小さな幸福をなんとか掴み取ろうと、個人で動いて個人で繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
どちらが正しいか、強いかは判断しづらいが、まぁ人活かそうとしてんのは後者よな…。
ホームズは一度不発に終わった偽爆発を大規模に仕掛け直し、”醜聞”を見事その手に掴む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
ある意味、前回メタ的に超越されかけた”ボヘミアの醜聞”を諮問探偵の手に引っ張り返す話運びで、なかなか面白かった。
爆発には爆発、ハメ手にはハメ手。ホームズのプライドが見えて良い。
これでリスク共有者になったわけだが、ホームズはアイリーンの手に”醜聞”を戻し、彼女が犯罪卿にすがるのを見過ごす形となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
つーかアイリーン、人を殺さずモリアーティと同じ志を果たそうとしてたわけで、彼女のほうが立派じゃね? という感じすらある。
あるいは、ヌルい理想にしがみついたものが巨大なパワーの間に挟まれ、何処にもいけないまま破滅していく話になるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
モリアーティの身内イズムはなかなか凄いので、言葉通りアイリーンを庇護するとは思えないが…さてはて、どうなるか。
実効ある変化を生みたいなら、なりふり構ってる余裕はない。
そんな風に”モリアーティ”の選択を正当化するための、無力な贄としてアイリーンは踊ることになるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
構図が読めちゃったホームズがどう動くかで、結構状況も変わってくるだろう。つうても、元ネタ的にはアイリーンとは会えなくなるか…。
政府それ自体であるマイクロフトが、どんだけ読んで状況組み立てているかも気になるところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
このまま”醜聞”を、政府中枢に食い込んだクソテロ屋に握り込ませちゃうと、『な~にが”政府それ自体”だ!』っつう道化に堕ちちゃうけど。
弟も、暗殺対象になりかねない機密知っちゃったしネ!
今回の事件の顛末は、必殺仕事人的な毒虫潰しで終わってた”モリアーティ”の行いが、遂に政府規模、社会規模にまで肥大化してきた現状を照らすと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
貴族にとっては仮面舞踏会の余興でしかない、足下の炎。
それが帝国を燃やしうる危険度を、作品が担保するのか、既存秩序が待ったをかけるのか。
そこら辺のパワーバランス、悪漢達を作品がどう見てるのかをチェックする三部作かなー、と個人的には思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
アニメの書き方は、結構アバンでアルバートが酔ってた兄弟の団結にも、”モリアーティ”の悪辣にも、シニカルな目線投げてる感じはあるんだよな…。
さて、溺れるものは”犯罪卿”の手も掴む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
醜聞を切り札に活路を開かんとするアイリーンと、彼女に関わってしまった諮問探偵は。
いよいよ国家中枢に犯罪の毒を流し込める立場をとった”モリアーティ”と、退治する大英帝国。
それぞれの思いと悪が、錯綜するだろう決着。次回も楽しみです。
…マイクロフトの立ち位置を考えると、”モリアーティ”自体が英国の暴力的自浄を狙った政府の計画で、ウィリアムは国を憂う故に国民を殺す必要悪の立ち位置を、積極的に背負ってる線はあるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月12日
とすると、アイリーン殺しの計画で相反してるように見えて、狙いも立場も繋がってんのかなぁ?