シャドーハウスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
シャドーハウスは、不気味で不思議。
霧で閉ざされ、煤に塗れる。
シャドーハウスは、シャドーの屋敷。
顔なし客なし、出口なし。
シャドーハウスは、子供のお部屋。
素敵なケイトと、明るいエミリコ。
シャドーハウスは、何かを隠す。
鏡合わせの、危険な迷路。
そんな感じの戯れ歌を、思わずひねり出してしまうほどに超☆魅力的!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
堂々幕を開けた、ヴィクトリアン邸宅異能ジュブナイルミステリ第一話である。
いや、色々秘められてる部分が多いのでこの見立てで良いのか解かんねぇけど…ずっとケイト様とエミリコちゃんが、朗らかに暮らすかもしんないじゃん!
『いや…ぜってぇ無ぇな…』と自分でわかる、可愛さの中に不気味さを、微笑ましさの奥に不穏を宿した、良い滑り出しだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
原作のソウマトウ先生は傑作”黒 -KURO-”を読んでいて、甘やかな少女趣味に漆黒の陰りを差し込むセンスに唸らされたが。
この作品もまた糖衣で包んだ毒薬の味わいが、既に匂う
シャドウハウスは霧に包まれ、濠と壁で覆われた邸宅の外側は見えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
そこに住まう住人は表情なき煤人間…シャドウと、その補佐をする生き人形。
僕らが慣れ親しんだ”人間”は、シャドー家の所有物、鏡、人形として扱われているようだ。
この異質な空間は凝った美術で覆われ、一見異様には見えない
しかし見た目の華やかさ、可愛らしさとは裏腹に、むしろだからこそ随所にヤバそうな気配が匂う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
目覚めたエミリコは自分を食事の必要ない機械だと認識し、識字能力も身体操作もおぼつかない。
ドジっ子ぶりは可愛いが、そこには何か、根本的な欠落が隠されている感じもする。
そんなエミリコが人形割ったり寝坊したりしながら、一個ずつ仕事を覚え、ケイトに仕える自分であろうと頑張る姿は、健気で可愛らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
ヴィクトリア朝の味わいを強く宿した美術と合わせて、少し名作劇場の味わいがある。
ケイト様も、ツンとした態度の奥に隠しきれない優しさがあるし…。
今回のお話は基本、ケイト様のお部屋だけで展開する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
そこは屋敷のルールから隔絶された、シャドウと生き人形だけの聖域だ。
エミリコの個性と人格を大事にしたいケイト様の望む通り、彼女は人形ではなく人として扱われ、食事と服と学びを分け与えられていく。
最後に窓を開けて次回に続くことからも分かるように、今後物語はスケールを広げていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
様々な人格と価値観を持ったシャドウと生人形が現れ、ただ満たされ安楽では終わらない物語が展開していくのだと思う。
だがこの第一話で描かれた、少女たちの健気な交流は、お話がどう転がっても嘘ではない
着せかえ遊びの形で、あるいは命令を装って、エミリコをとても大事にしようと手を伸ばしてくれるケイト。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
その優しさと気高さをすごく素直に受け止めて、総身で表現するエミリコの純朴。
どれだけ不穏なものが待ち構えていても、それが作品の中心にあるから、多分最初に力を入れて描き、僕らに見せた。
ケイトがエミリコに見せないよう踵で踏み潰した、部屋の隅で動く煤。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
部屋の外に出ていく前に、聞こえないように呟いた『自分を大事に頑張って』という言葉。
ケイトに見えている屋敷は、二人の部屋ほど暖かくも正しくもないのだろう。
まぁ、全てが露骨に異常だからな…。
しかし顔の見えないシャドウといえど、そこには感情が宿り、目の前の命を大事にできる魂があることを、ケイト様の振舞いが教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
エミリコのメイド修行に重なるように、僕らも無いはずのシャドウの表情が、ケイト様が笑っていることが分かるようになる。
それもまた、多分大事なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
負の感情とともに煤を吐き出し、世界を汚す影人間。それに寄り添う生き人形。
あからさまにロクでもない背景を感じさせるセッティングと、それを弾き返すエミリコの輝き。
ほんっっっっっまエミリコちゃんの仕草と表情が、天真極まって凄かった。闇の中の太陽…。
ケイト様は最初、自分の名前になぞらえて生き人形を名付けようとした。多分それが、シャドーハウスの”普通”なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
自分を反射する鏡。都合良く仕える道具。エゴの煤で黒く汚す、意思なき延長体。
でも、彼女はエミリコという名前をつけた。小説そのままではなく、個別のあり方をよく見て。
OPでも鏡合わせのモチーフは多用されていたけど、閉ざされた同質化を押し付けてくる館の中で、ケイト様とエミリコはお互い違うからこそ掴めるものを、大事に進んでいくのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
貴方が、私のコピーではなくただ貴方であること。
それを、ケイト様は既に大事にできている。貴人じゃん…。
そのあり方に瞳を輝かせるエミリコの敬愛も、またプログラムされた自動的な反応ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
色々至らぬところはあっても、目の前にいる誰かに報いたいと必死に走り回って、精一杯を手渡す。
そういう事ができる少女なのだ。初手で主役二人が好きになれたのは、大変ありがたい。
ケイト様の気高さと世知が、エミリコに足りない配慮や慎重さを補っていること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
エミリコが全身から発する光が、煤けた館にケイト様が飲まれないよう、強く照らしていること。
主従補い合う豊かな関係性が、スタートからしっかり描かれているのはとても良かった。
これが部屋を飛び出し、多彩な価値観と抑圧が渦巻くだろう館…この作品唯一だろう”世界”に漕ぎ出していった後も、守りうるものか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
そこは心配であるが、今後の舵取りに期待したい。
こんだけゴシックな雰囲気出してる以上、波風も正直楽しみなのよね…グラグラ揺らせッ!!
でもなー…俺のエミリコたんがひどい目にあったりすると、マジ耐えらんねぇかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
だってマージで可愛いんだもん。
ほんとに嫌味なく純粋で、仕草の一つ一つがチャーミングで、生きるチカラに溢れてる。
『エミリコLOVEで殺すッ!!』という、濃いめの殺意が溢れかえってたのは良い出だし。
『負の感情が高ぶると煤が出る』というシャドーの設定は、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
生き人形を従える貴族的ポジションなのに、その特質は”穢れ”なんだよな。そしてそれが、黒い表情からは読み取れない感情の表出、エゴとリビドーの抑えきれない発露としても機能している。
それを拭うのは、生き人形の仕事…か
ヴィクトリアン・テイストを盛り込んだ作品多々あれど、石炭ベース故の”穢れ”にフォーカスしてるのは珍しくて、そういう意味でも面白いなー、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
華やかな部分に目が行って、黒い悪魔との闘いでもあった生活感は切り捨てられがちなんだよな…だが、そこを真ん中に据えてきた。面白い視座だ。
つーかエミリコが寝坊して、色んな感情がモクモク部屋を汚してるケイト様が”萌え”だったよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
クールな顔して、早くもズブズブじゃん!
品位を保ち、相手を尊重しつつも、細やかに敬愛を表してくれるケイト様、かなり理想の煮込み加減なんだよな…今後もズブズブでお願いします。
今回描かれた子供部屋の幸福の先には、まー色々あるんだろうけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
しかし静かなる揺り籠の中描かれた敬愛と幸福は、確かに今後作品を支える柱になってくれる。
というか、こんだけ好きになっちゃったのでなってくれないと困る。
そういう気持ちになる、良い第一話でした。
煤をめぐる異能とか、屋敷を舞台にしたミステリとか、色々彫り込めそうな要素もチラ見せされてきて、どんだけ話が転がり拡がるか、次回も楽しみです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
まぁどんな展開になっても、あの二人の”光”が答えだからよ…それを踏みつける輩はマジ許さねぇからよ…(最速モンペ爆誕)
シャドーハウス追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月14日
エミリコが自分の服で床を拭うの、常識の欠落と、生き人形の尊厳をケイト様が大事にしてる様子を見せる巧い描写だが。
下着姿を見せることで、その身体が”人間”であると確認させる、さりげない情報提供シーンでもあったんだろうな。サスペンスとしても巧い、か。