イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 21/05/03 ダブルクロス3rd クロウリングケイオス『潮騒が呼んでいる』

昨日は超☆久しぶりのダブルクロスクトゥルフ・クロスオーバーサプリ”クロウリングケイオス”付属シナリオを遊んできました。

シナリオタイトル:潮騒が呼んでいる システム:DX3rd CC GM:Braveoneさん

浅間忍さん:”アステカの黒い太陽”バンデラス谷尾:17才男性:アザトース:高校生=チルドレン 紛争地帯で生まれ育ち、様々な強化処置を受けた少年。因果を捻じ曲げて技に持ち込む、アザトースプロレスの達人。狂気の支配する世界でも、人間の業を認めつつ不屈の闘志を育む生粋の戦士。
シェンツさん:”セレマの母”渡来八十歌:16才女性:バロール:高校生=支部長 パブリックエネミーと化したUGNを、廃墟の中でギリギリ機能させている才女。魔術師の家系に生まれ、そのろくでもなさを知りつつ人を助けるための剣として、魔術を握りしめ続ける。
コバヤシ:”英雄志願(ワナビー)”神前真尋:15才男性:高校生=高校生 特撮ヒーローに憧れる陰気な少年…だったのだが、邪神事件に巻き込まれ覚醒。暴かれた狂気の世界と、蹂躙される人間性に心を削られつつも、己のヒロイズムを求めてよろめきつつ歩く。

こんな感じの面々が、D市を覆う邪神の陰謀に立ち向かいました。とても楽しかったです。

 

スゲー久々のダブルクロス、何しろ基本設計が昔のシステムなので、やっぱり重さも動きづらさもありました。
が、やっぱり世界観と雰囲気、キャラクターの魅力は図抜けていて、スゲー素直に『ダブルクロス……面白い!』という気持ちになった。離れていた時間が長かった分、ズッパまりで遊んでた時期にナァナァで自動化していた部分に、襟を正して向き直れた感じはあるね。ダブルクロスがどういうシステムで、どういう味がするのか確認し直したことで、ゲームの楽しさを再発見した感じ。

クロウリングケイオスでフィーチャーされているクトゥルフ要素は、実は自分全然プレイ経験がなくて、オタクとしての受動喫煙くらいなわけですが。
人類の想像を超えた邪神の謀略が、人間の可能性を軒並み踏み潰した後の荒野に翻弄されつつ、それでも人間の尊厳にしがみつく危うく愚かな者たちの物語……というテイストで遊びました。

僕はダブルクロスはヒロイズムのTRPGだと勝手に思っていて、英雄的≒人間的であることを、レネゲイドによって人間ではなくなってしまった(からこそ)追い求める人達の物語かなと感じています。
基本ステージだとレネゲイドに感染することは日常を壊す呪いであると同時に、新人類への扉を開く祝福でもあったわけですが、CCステージでは特別な力はおぞましき邪神の落し子たる証明であり、人間性から逸脱するしかない逃れられない奴隷の烙印となります。
志向する結末と世界観が上向き(にもなりうる)と下向き、真逆な2つの世界観が衝突した結果、実際のセッションの中で手探りどう立ち回るか探っていった感じなのですが、この終わりきった世界でそれでも英雄であろうとする愚かさを認識しつつ、”それでも”と終わりなく叫び続ける感じが良いのかな、と思いながら、ハーレムラノベの主人公が地獄に叩き落されたようなキャラを遊びました。

思う存分悩んで良い立ち位置だったので、覚醒により知ってしまった世界の終わりっぷりに慄きつつ、自分の弱さと狂気を噛み締めながらPC1をやってきました。自分なりに、クロウリングケイオスの主役がどんな立ち回りすれば良いのか、考えながら動けた感覚。結構良かったと思う。
こういうフラフラを許容し、様々にアシストしてくれたPLとGMにはマジ感謝です。個別導入ゲー結構久々にやったんですが、重たく難しい部分もありつつ、それぞれの知識や経験、哲学の違いをぶつけ合いながら出会い理解り合っていく流れには充実感があり、とても面白かった。

何しろ一時期どっぷり浸かっていたシステムなので、『ダロっぽいこと』はなんだかんだ脊髄反射で出てくるのよね……昔付けた筋肉は、なんだかんだ機能するわ……。
ダブルクロスは超人をやるゲームなんですが、クトゥルフ神話の世界観(少なくともラブクラフトの原典)は人間の卑小さ、尊厳と信じていたものへの絶望が色濃く投射されていて、神の子として愛され未来を約束されていた”人間”へのペシミスムが、色濃く伸びています。
手からビームが出ようが、全ては邪神の掌の上。アレやるな、コレ出来ないと頭を抑えられ天井の低いセッションになる傾向を感じて、これを『ダロやるぞ! 超常能力でジレンマぶっ飛ばすぞ! 明日はきっといい日だぞ!!』という心持ちとすり合わせるのが、正直結構大変でした。
これは僕がダブルクロスの側からクロウリングケイオスに入ったプレイヤーであり、PLの望む物語を基本抑圧せずやりたい放題遊ばせてくれたFEARゲーで育ったから、感じる部分かもしれません。俺が『邪神殺します』言うたら、世界観がどう言おうが殺せるんじゃ! セッションの中ではそれが真実なんじゃッ!
とは言っても、クロウリングケイオスの記述と雰囲気、そこから生まれ共有されるセッションは”そう”ではないわけで。むしろ不自由で絶望の色合いをした邪神世界の空気を率直に吸い込んで、そこから自分なりのダブルクロスを打ち立て、自分なりのヒロイズムをロールしていくのが建設的で面白いのかなー、とは思った。
色んな意味で”違うゲーム”って心持ちで遊んだほうが良いよね。ステージ制ってそういうもんだと思う(思い直した)し。でも、しっかりダブルクロスだったな、と思いました。崩れていく日常と、それに伸ばす異形の手。『俺、この物語結構好きだし、好きだったな……』て思い出した。思い出せて良かった。


つーかブラッドパスやりまくり祭りだったので、別ゲー遊ぶのが無茶苦茶新鮮、ってのはあった。CoC要素も全然摂取してこなかった部分なので、原典風味満載のシナリオ記述と相まって、たっぷりと雰囲気を楽しみました。狂魔術師の書斎に入った瞬間『日記だ! 日記を探せ!!』とか言えてよかった。
クローリングケイオスは実質ダブルクロス3.5とも言うべきアップデートが随所に入っていて、大変挑戦的なサプリ(というかシステム)だと感じました。ミドルの厄介事をぱぱっと片付けられるファストブレイクとか、登場侵食率を削って恐怖判定で盛るデザインとか、昨今の軽量化傾向にキャッチアップしようとする努力が随所に見られ、しっかり機能していたと思います。
クトゥルフ要素を盛り込むための魔術ルールとか落し子エネミーとかは、自分はタッチしていなかった領域なのでちょっとよく判らない感じ。八十歌を隣で見ていると、マージでろくでもないことしか起きない気配があって、魔術師ホント大変そうだな、と思った。
DXとCoCが混ざりあったこのサプリ、付属シナリオもエモ重視のダロ味と探索要素アリアリのCoC風味両方があるっぽくて、後者がどんな感じになるかも体験してみたいなー、と思いました。
ホラーテイストが濃厚で、どうにもままならない状況にゴリゴリと押し込まれて同化されていく楽しさが強かったのは、大変良かったです。何しろ全体的に思い通りに暴れたい欲張りキッズなので、ホラーゲーあんまやらんのよね……。

 

全体的に、普段使わない筋肉を使ったので疲れたけども、新鮮な体験を楽しめ、また懐かしくも大事なものを思い出せもして、とても面白いセッションになりました。凄く良かったです。同卓していただいた方、ありがとうございました。