ヴァニタスの手記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
ジャンヌ達の襲撃を、思いもよらぬ方法で退けたノエは、血の縁に元凶たる道化師を垣間見る。
そんな彼の真絵に、奇妙な麗人が現れる。
男を首輪に繋ぎ、境界を超えるその名はドミニク・ド・サド。
かの侯爵家令嬢が誘うのは、鬼たちの仮面舞踏会。赤い夜が始まる…。
そんな感じの二つの月と二つの巴里の物語、ガンガン状況が加速していく第3話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
色々新しい設定とキャラが押し寄せてきたり、ヴァニタスが想像よりヤバ人間でビビったり、大変楽しかった。
ダンテとベアトリーチェにサドの孫娘…文学名作館めいてきたなッ!
お話は狼男とジャンヌの物語に一段落ついたと思ったら、ヤバい女がノエくんを攫って新展開…という感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
やっぱ蒼の月の19世紀人間主役パリと、赤い月の中世吸血鬼のパリ、二重写しの構造なんだな。
なんか事件があって法則が乱れ、吸血鬼とスチームパンクの世界に書き換わった感じ…かなぁ?
ヴァニタスはハッタリと不意打ち、人質作戦を最大限活用し、ジャンヌを追い込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
その有様は”正義のヒーロー”などではけしてないが、しかし見た目通りの卑怯なペテン師なのだろうか? とりあえず狂人なのは間違いないなッ!!
(画像は"ヴァニタスの手記"第3話より引用) pic.twitter.com/sCCkLzrdti
影が蝙蝠のように広がり、蒼い呪いが長く伸びる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
ジャンヌの唇を奪うエキセントリックな言動が、その描写がただの演出か、彼の根源に繋がるものか、いまいち判然とさせない。
力ある旧い種族が解けない、真名の呪いを唯一解除/治療できる実力と特殊性があるのは、まず事実なのだ。
ジャンヌの”カルペ・ディエム”に何らか働きかけて、その力を奪っているような描写もあったし、狼男を人間にも戻している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
只人が狩人を追い詰めるべく、心理戦で優位に立つ手管を使ってるのも間違いないが、しかし全てが嘘っぱちとも思えない。
未だ正体を掴みかねる、巴里の怪人。
ジャンヌへのアプローチも、彼自身恋だと定義してるが果たして、常人がその言葉を使う感情と=なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
何しろ色々とぶっ壊れている存在なので、裏を読みきれない。
その意外性が話を面白くもするし、作品の舞台にも見合っている。
どんな奇妙なことも起こりうる、二重写しの花の都。繁栄と退廃、蒸気じかけの革新と真紅の魔法が同居する、エキセントリックな街。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
そこを駆け抜ける存在として、人でありながら魔に関わり、鬼よりも人でなしなヴァニタスの存在感はピッタリだ。
狂った舞台には、狂った主役が必要なのだ。
どうやら超絶殺戮マシーンだったっぽいジャンヌも、周囲の人々もヴァニタスに振り回され、赤面しドン引きする。可愛いねぇジャンヌちゃん…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
ルカ様激怒でスーパー吸血人になってたけど、キレて闘うと強いんかな。
(画像は"ヴァニタスの手記"第3話より引用) pic.twitter.com/ktQLfCYtah
あからさまに尋常ではないヴァニタスに、超常存在のはずの鬼は振り回され、ペースを乱されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
サド侯爵の孫娘も出てきて、奇人変人展覧会の様相を呈してきたな…正しく仏文っぽくてでいい感じだぞ!(偏見)
デカダンス&エキセントリック、今後もこれで行こう。
しかし彼は不治の呪いを癒やす”医者”でもあって、誰かを救う仕事には嘘がない…ように見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
ノエに宿った異能…アルカヴィスタの過去視吸血が教える、異様で奇妙な敵対存在…狂気楽団シャルラタン。
(画像は"ヴァニタスの手記"第3話より引用) pic.twitter.com/N4bVKKzIio
狼男に噛みつかれたジャンヌに引き続き、赤ずきんちゃんモチーフが継続しているのが好みの演出であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
”Charlatan”は西洋式の香具師といった風情で、演劇の先導、曲芸師、見世物、そしてインチキ医師を含む職能集団だ。
真命を歪め、不幸を撒き散らす偽物の”医療”
それを想起させる集団が、ヴァニタスが敵視する歪みの元凶だとすると、医師でもある彼にはふさわしい敵だなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
先鋭的で的確すぎるが故に、社会の常識を飛び越え、認められない治療行為。
蒼い魔術を放つ彼の行いを、そういう視線から見ることも出来るだろう。
とすれば、鬼を飲み込むシャルラタンは、蒼いスチームパンク・パリが打ち捨てたはずの中世の異物であり、旧き祝祭的狂気…もしかしたら赤い鬼の世界に満ちているものを体現も、しているかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
結構、近世 VS 中世っていう構図なんだな。これが、二つのパリと上手く重なっている。
ヴァンパイアの世界もホコリくさいだけではなく、掟で自分を縛りつつも情があり、人間と上手くやろうともしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
オルロックおじさんが、『た、ただの監視なんだからね! 職場と住処用意してあげるけど勘違いしないでよね!』とか言い出して、たまらん男ツンデレであった。
より因習に近いだろう、赤い世界の吸血鬼たちがどういう存在かは、仮面舞踏会を通じて見えてくるんだろうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
少なくとも、蒼い世界の吸血鬼は結構いい人が多く、名を歪められなければ人と共存できそうな匂いがある。一番狂ってるの、どう考えてもヴァニタスだからな…。
人間界のいざこざが一段落…と思ったら、また奇人が乱入してきてノエくんを首輪に繋ぎ、舞台は異界へと移る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
孫娘がコレってことは、石田彰声はサド侯爵本人かよ…いつバスティーユから脱獄したんだ?
(画像は"ヴァニタスの手記"第3話より引用) pic.twitter.com/xNwSWiPSa1
古書店(”文書管理人”を意味するArchivisteが向かうには、似合いの場所だ)の仕掛け扉の先にある、異界への門。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
これが古めかしい魔術ではなく、蒸気で制御されてるところマジビリビリ来るけど。スチームパンクと魔術の融合…最高やね。
ノエが手を掴んでくれることを前提に、ヴァニタスは自分と彼を切り離そうとしたドミニクに反し、境界を超える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
蒼い人間の世界と、赤い吸血鬼の世界。
それは隣り合いつつ、けして交わらない…おそらく交わってはいけない光と影だ。それ故、不可分でもあろう。
首輪を引っ掛けられつつ特に気にした様子もなく、”ドミ”呼びでされるがままなあたり、ノエくんとドミニクの縁は深い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
血を吸うごとに他人の記憶に苛まれるとなると、ノエくんパートナー探すの難儀してそうね。ドミニクが”それ”かな?
回想シーンで出てくる、エロい感じの青年とはまた別の人なんかな…
考えてみると、ジャンヌを赤面させた突然のキスは本来血袋であるはずの人間が超越者に牙を立て、魂を恣にする”逆向きの吸血”とも取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
ヴァンパイアの物語に大事な、飲血のエロティシズム、赤い退廃が主役二人にしっかり重なってるのは、個人的には面白いポイント。エロい。
ノエを(文字通り)間に挟んで、ドミニクとヴァニタスが交わす言葉の刃は、奇人同士のペースの握り合いという風情がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
第二帝政のパリ改造を経ていない、石造りで重苦しい、赤き中世のルテチア。
そこを舞台に、次はどんな物語が踊るのか。
(画像は"ヴァニタスの手記"第3話より引用) pic.twitter.com/V9X6Bv84da
楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
衣装や建築物が、おそらく時の歩みを超越した存在であろう吸血鬼の風習を移して、キッチリ青いモダン・パリとは違っているのが最高に良い。
このホコリ臭い場所で、血吸い鬼どもがどんだけロクでもねぇ宮廷を作ってるか…ワクワクが止まらねぇぜ!
ドミニクとノエの因縁、共有する過去も(ちらほらカットインはしつつ)見えないし、人間ヴァニタスがアルタス・パリにおいてどんな存在かも、説明はされていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
扉が厳重に秘され、飛び越えるにも危険を伴う所から、まーろくでもない扱いなんだろうけどな…表向き、絶滅種族だし吸血鬼。
あまりにぶっ飛んだ方法でジャンヌを凌駕したヴァニタスの精神性も気になるし、一つ理解ると一つ謎が出てくる、大変贅沢な話運びである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
ジャンヌの元主っぽい”ルスヴン卿”も、名前出てきたしなぁ…優雅なる仮面舞踏会も、なかなか荒れそうだ。メチャクチャにしろッ!
”絵”の話をすると、スラップスティックでアップテンポな話運びを、中心を大胆に押さえた幾何学的構図がしっかりまとめている作品だということを、今回再確認した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
画面に緊張感と奇妙な安定感を生む、逆十字の構図…を生むための、木箱の配置とか。
(画像は"ヴァニタスの手記"第3話より引用) pic.twitter.com/UAas7bxy2Z
あえて画面を二つに割って、片側に人間集めるアンバランス…なのに整った構図とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
光と闇を行ったり来たりしながら、世界の真ん中に立っているのに寄る辺ないノエの書き方とか。
要所要所でバキバキな”絵”を置いて、アクションとはまた違った起伏を、画面に宿している印象が強い。
パキパキに数字で割った画面構成が絵画的で、これがまた退廃華美な作品世界と気持ちよく噛み合っているのも、大変に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
不自然で狂っているはずなのに、隠された独特のルールが有る。
そういう物語が、そういう画作りで支えられているのは、表現と内実の心地よい一致を生み出す。
記憶を飲むノエの血筋、真名を歪める狂える道化師、赤と蒼二つのパリ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
それを動かすルールがどんなものか、ドラマとキャラクターに引きずり込まれながら、一つ一つ探っていくのが楽しいですね。
仏文絡みのクスグリが多くて、自分的に読みがいのあるネタだってのもありがたいわな。
とりあえず、ドミニクが”サド”の家名に恥じない狂気と退廃を有しているかと、ヴァニタスとジャンヌの奇妙な恋が気になるな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
『これ、恋ってことにしてこうか』って対応、明らかに壊れてんだよな…生まれつきか、誰かに壊されたのか。どっちにしても、マトモじゃない。
しかしパリが二つに分割され、蒸気飛行船が空を舞っている時点で、世界全てが狂っているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
ならそこを突き進む主役は、狂っていたほうが良いと僕は思う。
作風にマッチしたキャラクターを、しっかり用意し造形し駆動させれてる印象だなー。面白いッ!
青いパリの書き方が大変良かったので、妖精異境たる赤いパリの生活、社会、文化の描写にも期待が高まります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月16日
真紅の舞踏会に迷い込んだヴァニタスは、狩られる兎か、狂える叛逆者か。次回も楽しみ!
…この話シャルラタンの中世的狂気と、ヴァニタスの近代的狂気の対立構造でもあるか。フーコーじゃん