かげきしょうじょ!! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
紅華予科生は夏休みを終え、学び舎に戻ってきた。
厳しく己と仲間を律する薫の心に、蝉の声とともに甦る記憶。
誰かと比べられ、それが当たり前と進んだ道は、果たして己のものなのか。
バス停の中の手すりのように、心が揺れる。
それは、花火のような恋。
そんな感じのThis is 星野薫! 外伝一本リッチにアニメ化、かげきしょうじょ第8話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
非常に良かった。
ナナニジでもセンスを炸裂させていた阿保孝雄のコンテが、緩急の付いた逗子の情景をドラマティックに、詩情豊かに青春の舞台として活かしきり、甘酸っぱくも切実な夏が、眩しく輝いていた。
男役になればスケートは履けないと、紅華ではない時間を謳歌する薫にふと訪れた、恋のつぼみ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
彼女は己の誇りのため、揺れる決意のためにそれを夏の花火と散らすわけだが、辻青年はその気高さに奮起する。
思い出のバス停に、ボトルメールのように投げた祈りは電子の海を泳いで、確かに届く。
儚くちったと思えるものが永遠に繋がっていて、しかしそれは確かに、一夏の夢でもあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
アタリの強い薫が同級生に、そのロマンスを語らないところが良いエピソードでした。
同情してほしいわけでも、感動の種にしたいわけでもなく。
ただ夢への糧として、思い出を抱きしめる。美美しいよ…
とまぁ、本題入る前に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
これをやんなきゃ愛ちゃんの夏が終わんない、全開のタイトル回収シーンから物語はスタート。
『マジで1クールアニメで30秒絞り出すの、地獄みたいに大変なんだな…』と思わされるねじ込みだった。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/sS5gjLeXq4
この一言があってようやく、さらさの亡霊も戻り盆出来るわけで、大事な描写だと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
お弁当モグモグ、日焼けも気にならないほど遊びまくった夏の産物として、さらさとの距離感がグンと近づき”マブ”の匂い漂ってるのも、大変良い。
東京の夏を経て、親友になったんだなー、って感じ。
愛ちゃんが一緒にいてくれなかったら、さらさは暁也と…歌舞伎とちゃんと向き合うのは難しかっただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
そのありがたさを知るからこそ、親友が差し出した言葉を満面笑顔で受け入れて、明日の支えにしていける。
さらさの背中を追って紅華に本腰になった愛ちゃんが、今度はさらさを導く。
そういう対等な空気を現在進行系で構築している主役と、豊かな関係性の萌芽を夏に殺してしまった薫の物語が、地味に対照される配置でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
しかし歌劇少女と野球少年、ひと夏の交わりが徒花であったとは、誰にも言わせない。
そういう”殺気”が籠もる、渾身のエピソードが幕を開けていく。
物語は真夏の逗子で進行していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
主な舞台装置はバス停とバスの車中である。
静止し、強すぎる日差しから身を守る、陰りを帯びた場所。
ここは辻青年のナイーブな思いが、中に立ち入る人を変えながら描かれる、大事なカンバスとなる。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/OSGGJMWngb
噂話を跳ね除けるように、背筋を伸ばして颯爽と日傘をさし、一人夢に向かって真っ直ぐ進む薫の勇姿を、辻くんは陰の中から眩しく見つめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
彼は優秀な兄と比べられ、自分が野球を本当に好きなのか、それが己の道なのか迷い続けている。
レギュラーは遠く、結果は出ない。
”メジャーリーガーの弟”してしか見られない自分が、偶然側に寄った日傘の君と同じ立場であることを、辻くんは未だ知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
しかしバス停の外、無邪気で残酷な陽光が照る場所から差し出された手紙を拒絶する仕草の中で、薫は野球少年に共感を寄せていく。
甲子園と銀橋、二人は華やかな舞台を目指しつつも非常に薄暗い気持ちを、ずっしり抱えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
結果のでない不安、選んだ道への揺らぎ、自分ではない誰かの影。
そこに己の鏡を見つけたからこそ、最初は不審に思っていた薫も名を告げ、辻くんの接触を受け入れていく。
バス停が(二人の関係性、個人的内面に対する)外側に開かれた場所である(からこそ、最後にメッセージが届く)のに対し、バスは白黒男女の心が触れ合う内面を、色濃く反射する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
揺れ、近づき、止まる手すりが、見事な助演を務めてくれる。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/Z4UATW1WYx
辻くんはナイーブな自意識に苦しみつつも、隣り合う少女もまた同じ柔らかさを持っているという想像力に、少し欠けている少年でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
オレンジの手すりが座席の青と対応し、縦の境界線を際立たせる構図の中で、それをグイと飛び越えていく踏み込みの強さが、良く見える。
バス停では本、バスの中ではかばん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
ツンツンしてる薫は常に胸の前にものを抱き続け、野球少年が自分の中に入ってくるのを押し留めようとする。
しかし半開放のバス停、完全閉鎖のバスという二つの密な空間で、心を共鳴させる行為…共感を足場に踏み込んでくる辻くんは、その壁を超えて染み込む。
入られたくない。踏み込みたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
矛盾する思いは火花を散らし、手すりの三角形をくぐったカメラワークがスキャンダラスに、青春の炸裂を切り取る。
ベタな甘酸っぱい青春物語を、センス抜群のレイアウト、演出タイミングでしっかり魅せる。
骨太な語り口が、傑作を支えている。
『マネジ異様に可愛くね? ”気合”入ってね?』と思わされるが、彼女は”メジャーリーガーの弟”ではなく、野球選手たる辻くん個人をしっかり見てくれる、結構大事なキャラ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
なので可愛いのは当然…にしても、気合はいってたな。好(Hao)よ。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/T9NHKAiwfi
SNSの使い方が異様に上手いこのエピソード、最後の純愛メッセージが印象的であるが、その前の個人的なやり取りも精妙である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
それは他人に公開されることのない、二人きりの秘密であり、弱音も本音もそこに宿る。
へし折れそうな気持ちを薫に預ければこそ、辻くんは練習に耐えれる。
強く優しく美しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
紅華乙女の手本のように振る舞う薫は、おばあちゃまへのお見舞い…そこで見える血縁の重さ、周囲の無邪気な棘を描いた後、『…って思うようにしてる』と、ザラツイた表面を見せてくる。
何も感じないわけじゃ、当然ない。
強いふりをしてなきゃ、耐えられない重さはある。
それでも、日差しにどんどん焼けていく野球少年と同じように、歌劇少女もひた走る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
真っ白な肌を守るために長袖で武装し、憧れの歌で己を鼓舞して、たった一人。
それが銀橋に続くと信じればこそ、薫は諦めずに走る。
息荒く、無様に喘ぎ、誰よりも気高い。カッコいいよ薫…(キモ蔵、早くも号泣)
完全武装の不審者として、ドン引きにバス停の外側、距離を取られる薫。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
しかし一度心のなかにわけ入れば、黒白の腕が努力を共鳴させる。
『まるでオセロのよう…』といた後、白いドットが印象的な銀橋…目の前の通路とイメージをつなぐ演出が素晴らしい。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/E6r20wnE2q
画面上に描いている以上のものを、見ているものの心に浮かび上がらせる馥郁が、このエピソードは大変豊かである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
一個一個の絵作りも良いんだが、静物に心情を乗せる手付き、それを繋げていく連想の豊かさが、エピソード全体を駆動させてる…という事なのだろう。総じて、詩が上手い。
『白と黒の腕→闇に白いスポットライトが浮かぶ銀橋→未来に続く目の前の通路』と、イマージュが繋がっていく演出を差し出すことで、今ここで展開している真っ直ぐな青春が、どこかへ確かに繋がっていく予感を生み出すことも、また可能にしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
この出会いは、確かに何かを生み出す。
既に紅華にたどり着いた段階から回想されるこの物語が、必要とする前向きなスタンス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
豊かなイマジネーションで少年たちの夏を彩ることで、出会いと別れが確かに糧となっている充実感を、静かに強めていく。
個別の上手さが、エピソードテーマとしっかり噛み合ってるのが、図抜けた仕上がりの理由か。
”オセロ”は誤解と裏切りの悲劇であり、白い女と黒い男のすれ違いの物語でもあるので、この夏の恋の背景に置くのはピッタリのモチーフであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
オセロとデズモデーナは分かり合うこと無く死んだが、二人は別れてなお繋がり、”いつか”を夢見る。そんな変奏も、優しく爽やかでいい。
ゆらゆらと揺れる恋心を、手すりに宿しながら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
二人きりのバスは夏を進んでいく。
爽やかに、無邪気に近づいていく心。関係性の進展に従って、服装もオフィシャルな制服から、プライベートな私服へと移る。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/4XeTw36cu5
同級生の前ではプロ意識の高さを見せている薫だが、スラリと伸びる足を異性の前に無防備にさらしてしまう無邪気も、また備えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
紅華乙女に恋は不要と、世の中のスタンダードから気高く距離を取って生きてきたから、そういう常識が薄い、というのもあるのだろう。
それは生臭い欲望を危うく喚起する夏の爆弾ではなく、むしろ二人の純情を際立たせる白い刃なのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
性はおろか、恋にすらならない曖昧な気持ちが、そこに反射してキラリ、眩く光る。
それを見守るのは、ゆらゆら揺れる手すりだけである。
バスの車内は、いつでも二人きり。優しき秘密の領域なのだ。
自分を飛び越えていったものの無邪気に傷つけられ、あるいは己を思う祖母の気持ちに惑いながら、薫の心はティーカップに揺れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
扉を開けられない少女。思いを水に反射させるだけの少女。我慢の時間が続く。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/vr9xeFZrqB
ピーチク囀るパンピーが序盤、薫の周囲に描かれたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
日傘をさして大道を行く薫は、自分を強く保たなければ闘い続けられない、ごくごく当たり前の人間である。
震える弱い存在だからこそ、期待の重さ、夢への遠い道を静かに見据えて、誇り高く立つ。
そんな生き様はとても気高く映るが、同時にそれだけが薫の全てではない。(そして後にわかるように、それを取っ払ったものも薫の全てではない)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
迷って、苦しんで、それを表にすら出せず、少女の夏は陽炎に揺らめいている。
そこに届いた、電子の手紙。い、行くしかねぇ…ッ!
おろした普段の髪とも、レッスン時の結い上げたスタイルとも違う、この時だけ、貴方だけの髪型。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
繋がる手と手は、とても平凡で貴重な”普通の高校3年生”の幸福を、確かに幻視させる。す、すっぺー甘酸っぺー!!
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/0DJF4zPlMF
しかし闇の中、迷妄を差し出してきた辻くんの踏み込みが、二人の関係を決定的に破綻させていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
薫は辻くんの独白に顔を向けているのに、辻くんは薫を見ていない。
俺の辛さは、この子の辛さ。
自分たちを繋いだ共鳴を信じ切って、相手の顔を見ずに体重を預けてしまう。
それは気高くあることを、紅華を目指すものとして…その血を継ぐ三代目として自分に任じた薫にとって、耐えられない押しつけになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
その重荷から逃げ出したい、夢を諦めてしまいたい弱さを自覚すればこそ、辻くんの泣き言を自分に引き寄せ、共感することは出来なかったのだと思う。
確かに暖かなものを育んだバス停と違い、花火大会はオープンエアである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
二人が心に秘めた曖昧なものが、壁に守られず剥き出しにされてしまう。
それは時間の問題であったかも知れないし、若き魂たちの運命であったのかも知れない。
どちらにせよ、殻は破られ雛は巣立つものだ。
痛みに満ちた産声のように、花火が咲いては散る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
皆が優しく、無邪気に夢に棘を刺す。
諦めろと伝える声に取り囲まれても、私は負けない。
私はたった一人の私として、夢に育まれた子供として、未来をこの手に掴んでみせる。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/cXvknmAPpY
涙の決別に、魂の獅子吼に込められたものを、カメラは丁寧に追いかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
人並みを…当たり前の幸福に微睡む人たちを超えて、薫はやはり孤高に、真っ直ぐな道を走っていく。
たとえその歌声が、涙に濡れても。
散りゆく恋が、星空を眩しく彩っても。
後ろは振り向かない。後悔はしない。諦めない。
そんな気高さを保つために、辻くんの弱さを受け止めてあげる強さと正しさから距離を取り、ただ美しく立つしか出来なかったことが、星野薫の限界点であり、偽りのない真実であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
もし…例えば銀橋に恥じないスターになるほどに成熟していたら、微笑んでその弱さを背負えたかも知れない。
でもこの夏の薫は、ただただ必死によろめく身体を前に進め、長袖の鎧に柔肌を守って、夢への細い道をひた走ることしか出来ない、たった一人の少女だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
だからこそ惹かれ、だからこそ背を向けた。
かくして薫の恋は、汀の波、空の銀花と砕けて散っていく。せ、切ねぇ…。
もうバスは二人きりではない。手すりは揺れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
再び一人きり、自分を守ってくれる日陰ではなく、日傘を抱えて孤高に歩く薫に辻のテレビが、別れたはずの運命を教えてくる。
ボールがスタンドに落ち、日傘も落ちる。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/MCnloMhmZb
日傘は突っ張っている薫、紅華乙女たらんと気を張っている彼女の象徴であり、それがあればこそ強い日差しの中を歩くことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
でもそれを畳んで、一瞬の安らぎを確かに共有できる屋根の奥に、一緒に微睡んだ経験があればこそ、紅華に入った後の薫も、気高く立てる。
日傘をさす彼女が理想の体現であると同時に、等身大の少女でしかない星野薫であることを、TV越しの逆転ホームランは強く伝えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
今の薫は観客席にはいない。辻くんの舞台は、メディア越し遠くに知ることしか出来ない。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/rQWM1Df2Wi
それでも揺り動かされた心が、紅華乙女にあるまじきガニ股にじり寄り、剥き出しの身体性を薫に与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
野球のルールも知らぬまま、別れてしまった恋が今、落ちるべき場所に落ちた。
手ひどく別れてしまったという悲しみと後悔を、日傘に隠して歩いていた少女の前に、何も終わっていない事が告げられた
遠く離れていても繋がるもの、近くにいたからこそ分かるものが薫の涙腺を壊し、それは球場で無く辻くんと共鳴していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
辻くんが薫との出会いと別れを無駄にしなかったからこそ、勝負どころでの起用と逆転があった。彼は夢に勝ち、己に勝ち、喪われた恋に意味を取り戻したのだ。
それに心動かされた涙が、薫の未来を開き、紅華の門を開けた。アルプススタンドと銀橋も、花道のように繋がっているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
人の心を動かす劇場性を、歌劇少女よりもひと足早く野球少年が、そのプレイで体現するのも良い。
人間到る処青山あり。全てが舞台だ。
かくして夏は終わり、時は過ぎた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
薫は夢のその先へ、ヘンテコな同級生と一緒に進んでいる。
SNS越しの恋文に、言葉を返すことはない。
それでも知っている。解っている。
髪が伸びたの野球少年が、一年分強くなって、あの時より優しくなれたことを。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第8話より引用) pic.twitter.com/JqUzQiycwe
そうなってくれたことで今の私が、ここにいることを。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
バス停の中の恋人は、遠い日の花火。
幾度も”もし”を重ねて、もう一度会うことがあっても、『好きでした』は過去形だ。
でもそれは、哀しいことではない。
悲しくならないように、薫は気高く走り抜き、辻くんは諦めず戦った。
TV越しのホームラン、SNS越しの恋文と、花火大会の別れの後二回、メディアを通じて真意が伝わり、未来が開けている構造が、パワフルで良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
身近に触れ合ったからこそ、耐えきれず身を離すこともあれば、遠く離れていても、思いが繋がることもある。
不思議な爽やかさが、夏風に乗って踊った。
少年ゆえの思慮のなさで思わず、致命的なところを踏んでしまった辻くんが、薫ともう触れ合えない場所で、薫と出会えたからこその気高さで道を諦めず、奇跡を引き寄せて薫に伝えるストイシズムが、凄く良いんですよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
夏、野球、花火。道具立てとも大変に噛み合ってる爽やかさ。
薫は辻くんと深く響き合うものがあって、だからこそ日傘を畳んで同じ日陰に寄り添って、でも似ているからこそ、彼の弱さに背を向けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
そこに体重を預けてしまえば、自分がなりたいと思っている星野薫には、けしてたどり着けないと知っていたから。
ただ恋が破れた、哀しく別れたと終わらず、夢を追う事の険しさと気高さ、そこで触れ合った温もりの意義を爽やかな青春に焼き付け、深く語る傑作でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
『紅華乙女であるとは、こういうことだ』というスタンダードを、しっかり突き刺せたと思います。作品の背骨になる話数。
恋文の返礼のように、紅華乙女として強く伸びる歌声をソロEDに乗せて届けるのも、素晴らしい運びでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
この揺るがぬ技芸こそが、あの時背を向けたからこそ掴み取れたもの。
軋み別れるのは世の常なれど、思いが届き再びで会えるかもしれない希望も、闇夜にいつも瞬いている。
そんな切なく眩しい時間が、繊細に力強く描かれた、大変良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月23日
無茶苦茶上手い話なんですが、技工が悪目立ちせず、エピソードテーマとガッチリ噛み合いトルクがでていたのが、素晴らしかったと思います。
強い物語でした。次回も楽しみ!