アイドリッシュセブン Third BEAT! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
24時間番組”Friends Day”で、TRIGGER、Re:valeと共に司会を務めることになったIDOLiSH7。
唐突に始まった合宿企画も、肩の力を抜いて大エンジョイ!
飲酒にアブナいトーク、デス料理に幽霊騒動!
賑やかで楽しい時間は、あっという間に過ぎていく…。
そんなファンサーヴィス[Sweet]って感じの、アニナナ3rd第10話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
千葉サロンを巡る荒波や、Re:valeに吹き荒れる嵐。
『ストレス多い展開でゴメンなぁ…ほら、お前らの好きな仲良しカワイイアイドルちゃんだよ…』と、ネグってた親がクリスマスだけ優しくするみてぇな回だった。騙されないぞッ!
いい加減アイナナくんのやり口にも慣れてきて、こういう平和そうなエピソードで緩めた後に、思いっきり殴ってくると判りつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
三ユニット皆仲良し、お宝オフショット満載のエピソードは脳が蕩けてありがたい。
ずーっとこんな感じで、明るく楽しく行ければいいのにね…。
とは言っても、これはカメラが回る仕事の一環。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
ファンが見たい力の抜けたプライベート…を、本気で造って整える”アイドル”の表情が、良く見えるエピソードだった。
似た雰囲気のキャンプエピだった一期第9話と比べると、アイナナがどこに来たか見えやすい回でもあるかな。
ファンに見られていることを当然視しながら、見せられないネタも投げつけるくらいにほぐれて、それこそが商品価値を持つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
造っていない自然体…を、どう意識して(あるいは意識せず)造っていくか。
すべてが嘘でしかなく、だからこそ本当が宿る偶像稼業を、光の側から照らすお話でした。
というわけで、緩い展開に入る前にまず釘刺し。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
『こっからヒドイことが起きますよ、”Friends Day は”陰謀バリバリですよ』という予告が、楽しい合宿の前にしっかり置かれる。
デカイ仕事は晒し台、三組乗っけて月雲了、一体何を企むか。
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第10話より引用) pic.twitter.com/g97mgjkeAa
他のメンバーがのほほ~んと過ごす中で、一織だけ八乙女社長と同じ目線で仕事を考えてるのが、プレイングマネージャーである彼らしいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
枠を踏み越えたプレミアムな仲良し感は、あくまで別のユニットであることを前提にする。
それが、ジワジワ切り崩されてる危機感。
自分たちがなんで”アイドル”として市場に(あるいは舞台に)立てているか、冷静に見据えて仕事の裏を探るキャラクターが、各ユニットにちゃんといるのは安心感がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
まぁ備えていても飲み込むのが、一流の謀略というもの。了さんの爆弾は、どんくらいの火力かなー…。
逆に言うと、TRIGGERやRe:valeとの関係をまず”利”で考えてしまう一織の冷静さは、本気でついた嘘にファンを飲み込む仕事にはマイナスかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
アイドルにそういう事を考えさせないために裏方がいるのだが、小鳥遊結構特殊な形態だからな…。
自分込みで全体を俯瞰で見てしまう、一織の視線。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
それは彼の卓越した頭脳と、愛する兄を”アイドル”に押し上げるための参謀気質が混ざりあった、なかなか変え得ない性分なのだと思う。
幾度か描かれてる陸への視線と合わせて、これが今後どういう炸裂をするのか。なかなか怖い。
アイナナとTRIGGERにとっては『なんとなくのヤバさ』な部分を、具体的な座組と戦術をある程度読んで、誰が仕掛けてるか把握してるRe:valeは、やっぱ”てっぺん”だな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
百が了に近しい位置だってのもあるけど、高い場所にのし上がるまでに積んだ経験が、広くて深い視野を生むのだろう。
そして『ハイ警告終わり! 楽しいフィーバータイムだよ!!』とばかりに、合宿へなだれ込んでいく3ユニット。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
プライベートなビジネス話のはずが、あっという間にカメラが入り、作られた娯楽が駆動し始める。
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第10話より引用) pic.twitter.com/0NkwbRcMDh
でもモニター越しの商品を見せられていることが、ある意味安心にも繋がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
大変で苦しいことは、いつでもモニターの外側で起きる。
ファンの眼の届かない所に地獄を留めておくために、”アイドル”は七転八倒の苦労をしている、とも言えるだろう。
だからファンに見せるための”企画”なら、そこまで厳しい地獄は来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
そういう安心感を、揺さぶってくる作品でもあるのだが。
作中のいきなり合宿もそうだが、心地よい裏切りってのはエンターテインメントには大事よね…いきなり刺されて、死んだりもするけどね!
ステージ衣装を脱ぎ捨て、衣食住に密着した映像を切り取りながらも、この熱海合宿はあくまで仕事であり、商品である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
事務所の編集も、ファンに見せたい顔も当然入り込んで、プライベートそのものではない。
まぁアイドル首絞め劇場とか、放送されても困る舞台裏だしな…。
ただまぁ…編集されない生の人生すら、スキャンダラスな娯楽として消費できてしまう残酷さもまた、このお話は何度か切り取っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
環が家族の領域を荒らされ、獣のように吠えた瞬間は電波に乗っかっているのだ。
今回の合宿のように、制御され編集された擬・プライベートと…
洒落にならない生々しさで、美しいものの失楽を楽しむ暗い愉悦の間に、そんなに大きな壁はないのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
了はタイトロープから誰かが堕ちる瞬間を望む、ギラついた大衆の視線をよく知ってて、それを武器に変えてアイドル殺しを狙う感じかなぁ…。
今回の合宿に、そういう視線は入らない。少なくとも、今回は。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
あくまで明るく楽しく、表に出せないネタは時折カットしてなかったことにして、”見せたいアイドル”と”見たいアイドル”のバランスを適度に取って進む。
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第10話より引用) pic.twitter.com/nOnh75u7Vd
実際、むつかしー話に飽きて遊びだす四葉環くんじゅうななさいとか、ツッコミ棒で自由人達を殴る一織とかは、僕が”見たいアイドル”であった。ありがたい…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
タマちゃん最近周りよく見て頑張ってる姿多かったから、こういう表情懐かしくも新鮮だな…遊びな遊びな!
アルコールを点火剤に、あっという間にヤバ話ぶち込むダメ大人Sの解れっぷりと、そこでも舵取り担当する百&一織の知性とかもよく見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
これから作る歌の、テーマは”愛”。
でも天兄と陸の捻れた兄弟愛って、表に出せないカット対象なんだよなぁ…。
かくして、班に分かれて合宿生活開始である。修学旅行テイスト濃いめで、なかなかいい感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
急にひぐらしが鳴き出し、ホラーテイストが強くなっていく。
怯える環に優しくする天は、半ば計算、半ば”兄”としての素って感じかなぁ。
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第10話より引用) pic.twitter.com/FDVj13Xm2D
地獄のデスカレーとか天然組の肝試しとか、細かいクスグリもありつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
ホラーネタかと思われた”見えない四人目”は、実は視える人だった陸(つうか七瀬兄弟)の微笑みにいざなわれるように、お話を落着させる足場になっていく。
ここの転がし方は、かなり好き。
天兄は明るいデッキに立ち、陸は暗い地べたに足を付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
けして関係を顕には出来ない兄弟が、それぞれ立つ地平。
それは生者と死者のように、越えられない境界線に阻まれている…とも限らない。
(画像は"アイドリッシュセブン Third BEAT!"第10話より引用) pic.twitter.com/GAjq83E4Pl
かつてRe:valeが蘇らせた”Dis one”を、天はアカペラで幽霊少女に捧げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
言葉も姿もない協力者は、光を明滅させることで喜びを伝え、”BGM係”は企画の外側から迷い込んできた観客一人に、心からの歌を伝える。
それは幽霊だけではなく、陸の視線も天に集めていく。
歌があれば、別々の場所に立っていても繋がれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
そんな綺麗で脆いファンタジーが、ドタバタ騒がしかったコメディから微かなホラー味、そこからしんみりいい話に揺蕩っていく物語を、上手く落ち着かせていく。
現世と冥界に隔たれた存在が、確かに繋がれた夜。幸福に別れられた夜。
それが特別な奇跡だと思い至る陸の予感は、果たして未来を貫いているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
微かな陰りとオレンジ色の暖かな光を写して、合宿前半は終わっていく。
融和は一瞬の夢か、だからこそ尊いのか。月は何も答えず、ただ眩しい。
んー…やっぱバチボコに殴られそうですねこっから!!
ファンが求める”九条天”を、作り上げ演じきること…期待と実像の境界線を明瞭に引くことが、天兄のアイドル哲学だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
そこに情はいらないが、陸は幽霊少女の『帰りたくない』という声を、どうしても聞いてしまう。
隔たりがあればこそ生まれるものと、それを越えた場所にあるもの。
兄弟が共に歩めない理由は、アイドルとして…人間として求める理想の違いでもあると、思わされるやり取りでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
作り込まれた合宿企画に、思わず迷い込んだ歌を求めるファン。
それが見えず聞こえずの透明な存在として描かれてるのも、また示唆的だろう。
兄弟は共に、時に顔もなく形も見えない”ファン”が何を求めているか、愛おしさと優しさを込めて聞き分ける異能を持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
それはとても優しいステージを作り上げるし、あるいは境界線を越えて引っ張られる危うさの種にもなるだろう。
見えてしまう、聞こえてしまう難しさ。
それは大仕事を前にした喧騒の中で、一人冷徹に”利”を俯瞰していた一織の資質にも、通じる部分かと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
ユニットごとに、アイドルごとに、人ごとに見える世界、出来ることは違う。
それが悲しい分断や衝突ではなく、幸せな融和と尊い個性を生み出すように。
この合宿に集った人たちは、みんなそんなことを祈りながら”アイドル”やってんだろうなー、と思うエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
そしてそのかそけき祈りは、簡単に踏み荒らされる。一人やる気十分の肉食獣が、画面外で謀略棒をぶん回してるからな…。
歌は果たして、境界線を保ったまま、幸福な夢を作りうるのか。
陸が予感するように、月下の幸福なるステージは特別な夢であり、もう訪れない奇跡なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
ここを折り返しに、物語はまた過酷な道に進んでいくと思います。
そこを耐え忍ぶためのエネルギーも、たっぷり補充できる、サービス満点のチャーミングな回でした。
次回も楽しみ!
追記 アイドルはエクソシストじゃねーんだぞ! と言いたいが、業の泥を祓って綺麗なものを取り戻す仕事なのは、まぁ間違いないわな。
アイナナ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
ゼロの亡霊にとりつかれた九条の継子が、ゼロ以降のアイドルシーンを知り得ない幽霊少女を前にゼロの曲を歌う場面は、そこに怨念の色が一切ない爽やかさと合わせて、なかなか印象的だった。
多分あの再生と浄化が、九条鷹匡の欲しいものなんだと思う。
でもそれは、彼が見ていないところでしか起きない奇跡だ。少なくとも、現状は。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
いつか全ての物語が決着する時に、天は”父”のために喪われた歌を鎮魂歌として唄うのだろうけど、それは今回彼ではない亡霊への優しい手向けとして、九条というより七瀬の顔をした少年によって歌われる。
幽霊少女は地上に名残を残しつつも、他人を呪わず楽しい肝試しに協力してくれる、爽やかな少女だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月5日
肉体を持ち、他者と触れ合う権利を持ちながら怨念に自分も他人も閉じ込めている黒い魔術師の姿が、不在故にそこに重なって今回、僕には見えた。