イマワノキワ

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ひろがるスカイ!プリキュア:第11話『気まずい二人!? ツバサとあげは』感想

 勇気を翼に自由を舞う少年騎士を加え、更に意気上がるひろプリ。
 オフィシャルに成人プリと12歳男子プリがいるなら……ぶつけるっきゃねぇだろ! ってんで、エッサホイサと山登りに勤しむエピソードである。
 全体的に肩の力が抜け頭のハチがぶっ壊れた感じのエピソードで、独特のテンポと気楽な雰囲気がなんだか心地よかった。
 マージで楽しいこと思いついたらノーブレーキのお姉さんに連れられて、空気の良い山行って、悪党とバトって素敵な景色見て、のんびり過ごして帰ってきただけの話だからな。
 こういうゆる~い味も、一つの特色として生かしていく感じなんだろうか、ひろプリ……結構好きだな。

 

 トレーニング・マニアの血を騒がせたソラちゃんがましろちゃんを人気のないところへガッツリ連れて行ったので、お話はあげは姐さんとツバサ少年のマンツーマン……に、ヘンテコな鳥に大興奮なエルちゃんを挟んだ編成で進んでいく。
 乳児特有の何を気に入って興奮しているのか良く分かんねぇけども、とにもかくにもどっか心に引っかかってワクワク騒いでいる時の体温の高さが全面に出ていて、そういう生っぽさ大好きな僕としては嬉しい描写であった。
 そろそろ第1クール終了間際、エルちゃんをマジカル赤ん坊というフレームにはめ込みすぎず、彼女独自の意思と願いを持った一生命体として色々書こうと頑張ってくれてる感じは、全然衰えない。
 コッチの事情を考えずにわーわー興奮する姿もまたエルちゃんの一部であり、保育士を目指すあげは姐さんの面倒見を強調する意味でも、よく理解はできねぇ事でもエルちゃんが幸せそうなら幸せな周囲のあり方を書く上でも、今週のエルちゃんも良かったと思う。

 意外な一面という意味では、ここまではグイと引っ張る頼もしさ、鷹揚に道を示す先駆者っぷりが目立っていたあげは姐さんが、ツバサくんを相手にちっと厄介な強引さを押し出してもいた。
 人が変わったというよりは、向き合う相手と状況が変わってもう一つの側面が見えたというか、これも愛すべき聖あげは……ということなのだろう。
 めちゃくちゃスルッと車乗って山登ることになって、やや強引な進行だな……などと最初は思ったが、ツバサくん&エルちゃんと共に進む山行を見させてもらう内、強引なのは進行よりもあげは姐さんの方だと、結構しっくり来た。
 なかなかハチャメチャなんだが、ずーっとエルちゃん抱きかかえ面倒見続けているので、年下相手に好き勝手絶頂ぶっ込んでるヤダ味が上手く薄まって、新たな顔を見れた嬉しさが勝っていたのは、良い味付けだった。

 

 ツバサくんが”少年”呼びにプンスカ来るのは、小さいなりの自意識がしっかり育っている証拠だとも思う。
 航空力学を収めエルちゃんの騎士となる、なりたい自分がかなり鮮明な彼はどんな相手にでも、一人間としての自分を認めて欲しい気持ちが強いのだろう。
 そんな気持ちを理解しつつ、コミュニケーションの手段としてついついからかってしまうクセが聖あげはにはあり、それは戦いを通じて見えたツバサくんの人格を、彼女なり信頼していればこそ。
 なんだけども、年下相手に察してビーム撃ちすぎな立ち回りと合わせて、なかなか真意が伝わりにくい人ではある。

 衝突……というにはチャーミングなすれ違いを経て、ソラましに諭されたりバトルの中で真意を掴んだりして、生まれかけてた溝を埋めたツバサくん。
 最初っからビンビンに魂が響き合っていたソラちゃんとましろちゃんとは、また違った形で異世界人と地球人がどう出会い、関係を作っていくかがちゃんと書かれていて、四人いるからこその組み合わせの面白さが良く出ていた。
 今回一発で関係が落ち着いてしまうより、もうちょっとソリが合わないからこそ惹かれ合う奇妙な間柄を深掘りしていって、コクのある描写を味あわせて欲しい所だ。
 途中手を繋ぐ時、そのサイズさがさり気なく強調されてる場面がしっかりあって、『12歳男性プリキュア』と『新成人お姉さんプリキュア』という自分たちが手にしている具材の強さを、しっかり理解してる気配モリモリだったしな……。
 既に関係性が煮込まれきってるましろの前では、なかなか見せない頑是ない表情を受け取れるツバサくんは、幼なじみとはまた違った意味であげは姐さんの特別なのであり、色んな人と色んな繋がり方をする豊かさ、面白さを今後もグツグツ言わせてくれると、より面白いと感じれた。

 んで、そういう関係性を暴力と卑劣でゴリゴリ擦り立てて、際立たせるのがカバドンの仕事。
 エピローグと次回予告から濃厚に死相が漂ってきたが、ツバサくんの純真を引き出す人質作戦とか、あげは姐さんの参謀力(と、信じた相手にはノータイムで命天秤に乗せてくるある種のヤバさ)を引き出すジャンケン勝負とか、主役サイドがどういう人物なのか、鏡になって照らす力はやっぱり高い。
 世界を強い主役と弱い脇役にしか考えられない性根が、どういうふうに鍛造されてしまったのかせめて語ってから、闇の果に消えていって欲しいもんであるが、来襲どうなるかなぁ。
 ロープウェイランボーグはシチュエーションを生かした殺陣といい、エピソードに漂うトボケた味を殺さないワビサビといい、大変味のあるエネミーで凄く良かったね。

 

 というわけで、新成人と少年、新機軸のプリキュアたちが交錯する時生まれる新たな力を、たっぷり味わうことが出来るエピソードでした。
 ちょっと困った部分含めて、聖あげはという人がどういう人物なのか、そのパワフルな渦とぶつかった時ツバサくんはどんな表情をするのか、生き生き教えてくれて良かったです。
 この期に及んで四人目が変身しない、敵組織の総体も見えないと、ゆったりペースで進んでいるからこそ、こういう意外な角度からキャラの新たな魅力を照らすエピソードを、どっしり展開できてる感じもあるな。

 次回はその憎たらしさと可愛げで序盤を引っ張ってくれたカバドンに、サヨナラを言うことになりそうな1クール目のフィナーレ。
 名悪役に相応しい幕引きを用意してやってほしいモンですが、さてはてどうなることか。
 来週も楽しみですね!