機動戦士ガンダム 水星の魔女を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
華やかな祭りに、鋼鉄の巨人達が踊る。
飛び交う砲弾は花火と同じ、誰も傷つけない優しい弾丸。
野良犬たちが、その虚偽に牙を突き立てる。
呪いに蝕まれ誰かに使い潰されながら、流れる涙は宙に消えていく。
進むとも、戻るとも、もはや一つもなく…。
そんな感じの令和のガンダムは常時フルスロットル! ソフィの命をボーボー燃やしてお話ガンガン加速するぜ!! な、青春血みどろ待ったなしの第14話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
予測はされてただろう真相と展開であるが、とにかくスピーディに状況が展開し、学園とスレッタの欺瞞が暴かれ、GUND真実が叩きつけられる。
こちらが受け身を取る暇がない速度戦が、ショッキングな展開と合わせて脳髄に気持ちよく、相変わらず翻弄の快楽を味あわせてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
”妹”の返り血を直接浴びても、母の呪いはスレッタから消えない。
そんな現状でミオリネと離れてるのが、巧い焦らしだよなぁ…。
どう考えてもろくなもんにならないランブルリングを前に、人々はすれ違いと断絶を触れ合うことで再確認していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
視線は重ならず、真心はなく、お互いが見ている世界は共有されないまま、運命の瞬間が迫る。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第14話から引用) pic.twitter.com/XI59fW7WaQ
ミカが自分の過去をついにスレッタに告げるようでいて、核心に迫らない場面では、温室は生命に満ちたその内側を暴かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
『中に入る/中を見せる』という、これまで幾重にも積み重ねられた演出言語は、むしろプロスペラとミオリネの交流にこそ意味合いが濃い…気がする。
邪悪な美麗とも言うべき影と光の間で、プロスペラは己の謀略と祈りを晒す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
そこにもまた怜悧な計算が眠っているのだろうが、語り口も内容もある程度以上、魔女の臓物をさらけ出している感じがある。
争いも悲しみもないGUNDの地平を目指す、父母たちの秘匿計画。
クワイエット・ゼロ。
GUND技術版人造涅槃ともいうべきその計画に、スレッタはまくりこまれて無邪気に幼く、母の祈りは血に満ちている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
PROLOGUEで自動的(あるいは児童的)虐殺のBGMとして歌われた『お誕生日おめでとう』は、業を克服し身体を捨てた新人類誕生を、寿ぐ呪歌だったのか?
あるいはあのゼロ地点から、新たに伸びた呪いが魔女を捉え、峻厳なる家長を巻き取り、二人の共犯に子どもたちが飲み込まれているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
佞言と切り捨てるには重たく切実な義母の言葉をミオリネが受け取る瞬間を、植物たちは見守っている。
学園で演じられた、温室の睦言と同じように。
クエタ事変で暴力の実相を、砂っ被りで経験したミオリネにとって、プロスペラの語る夢(多分悪夢)はそれなり以上の魅力を持つだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
花婿も父もそこに巻き込まれ、冷たい実利だけでなく切実な祈りが…ミオリネがずっと求めている温もりがそこにあるのだと、感じられるならなおさらだ。
しかし後に暴かれるように、GUNDの子どもたちが受ける呪いはあまりに悲惨で、それが救いになるとは思えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
命を捨て去り魂を焦がしてようやくたどり着ける平穏は、人間が個別に抱える願いの形を、顧みてはくれない。
苛烈なデータストリームは、只人の人生を焼いて貪欲に飲み込んでいく。
グエル先輩もシャディクも学園から消えた今、御三家イケメン唯一の残存者であるエラン五号は、相変わらず性欲ネトネトでキモい。(ソフィが作中断言してて、思わず笑っちゃった。ファンの視野に先回りしてネタを巻くの、相変わらず異様に巧いな)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
キモいが、独自の歩調でタフに生きてもいる。
必死に足掻いてしがみついて、おもちゃ代わりに与えられた弾丸で学園の平穏を壊して、愛を求めた少女の必死。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
前に進み二つ以上を得ようとしたソフィの命懸けと、けして本気にはならずたった1つの命を守り抜こうとする五号の生き様は、見事にすれ違っていく。
母の愛に包まれ(あるいは呪われ)、二つ願えば叶う特別な立場にあるスレッタは、階段に隔たれて高い場所から降りない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
学園への推薦を貰える立場、そんな特権を譲られる血縁。
地球の地獄で、ソフィが与えられなかったものをスレッタは持っていて、妬みというには透明な痛みが、それを求める。
人が当たり前に求め、だからこそ満たされずみーんな大変なことになってる”家族”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
破壊マシーンの使い捨て可能なパーツとして育てられたソフィがそれを求める時、『お姉ちゃんとお嫁さんと、仲良く新しい家族を作る』なんていう、同人誌めいた平穏は当然選ばれない。
自分が殺され奪われたのだから、自分も殺して奪うことしか出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
スレッタが巨大過ぎる母の影から出られないように、家族の不在ゆえに呪われたソフィの荒廃した現実認識は、暴力だけを正解だと思い込む。
…それが思い込みでないまま、動いてしまってこの世界なのだが。
プラントでミオリネが叩きつけられ、絶望を叫んだ赤いしぶきの意味を、スレッタは未だに理解していない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
自分が暴力と謀略のパーツであり、誰かの代用品であり、愛は呪いであり、何も知らない幼子でしかない事実を認識できない。
だから、階段を降りてソフィが立つ地獄には降りない。降りれない。
有効的に優しくあるためには、一定以上賢い必要があるのだと、階段に切り裂かれた姉妹は告げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
賢さは疑いを生み、母に優しく導かれる安心感を揺さぶる。
花嫁は父を憎むしか出来ない状況で、世界と自分を客観視する視力を鍛えたが、花婿は未だ、おぞましき寝台の中だ。
ソフィが身を置き、スレッタに接近することで這い上がろうとした苦しみの泥。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
そこに手を届かせ”家族”になるのなら、スレッタは階段を降りなければいけなかった。
下から這い上がる強い正しさも、上から降りていく優しい賢さも、持ち得ない哀れな子供たちの現在地。
それが書かれてしまった以上、ああいう結末は物語の必然で、嘘がなくて大変良いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
でもソフィが命の瀬戸際で吐き出した、極めてふつうの欲望を思い出すと、妹を名乗るイカレ女がすがった祈りには、赤い血が通っていたな、と思う。
それはパーメットの最中に食われ、消えていく。
スレッタは特別な環境で育成され、特別な能力と運命を背負った主人公だからこそ、この世界の最悪なスタンダードであるソフィの立場を、理解は出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
隔たられてなお手を伸ばす強さは、例えばミオリネがスレッタとの出会いの中で目覚めさせて、微かな希望と瞬いているけども。
その純粋さ故に変化の兆しを与えた少女は、純粋であるが故に己の立ち位置を客観視出来ず、つまりは”妹”との隔たりを、自分が進みださなければいけない遠さを理解できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
ミオリネ不在の学園祭で、主人公が何に囚われ動けないのか。
鮮血のショーケースが始まる。
オープンキャンパスの目玉である、制御された大乱戦。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
兄の仇討ちにジェターク寮が沸き、セセリアがいつもの露悪をブン回す、平和な学園の平和な決闘。
その舞台でチュチュは、クエタで垣間見た痛みに発砲を躊躇う。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第14話から引用) pic.twitter.com/EWFMzmrwRj
祭りに浮かれる生徒たちが見ていなくて、地球の魔女(と五号?)が見据える、兵器たちの実像。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
それが人間の命を奪うモノでしかない事実を、地球寮の子ども達はテロの現場で思い知らされ、そうして賢くなってしまった事実は、後には戻らない。
スレッタが進み出せなかった階段を、チュチュは降りる。
あるいはその階段を這い上がるために、地球の魔女たちは人殺しの道具となり、決闘を愚弄し嘘を撃ち抜くのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
ご挨拶代わりに、やる気満々なニールをぶっ飛ばしたノレアが、ディランザの頭部を潰しているのが憎悪濃くて好きだ。
決闘のお作法に則って、偽りの勝利を作った上で握りつぶす。
子どもじみた嘲弄だが、そうせざるを得ない焦燥と絶望が魔女たちの背骨を焼いていて、あまりにも満たされて嘘まみれの、贅沢な地獄を壊していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
『お前が来てからおかしくなった』という言葉を、僕は冷めた嘲りと共に聞いていた。
お高い場所に安座するあんたらは、ご存じなかったかもしれないが…
ご実家様がずっぷり食い込んでいる悪徳の社会構造の最下層で、同い年のガキどもが権力と暴力の道具に使い潰されて、富を求める機構は制御不能に加速して、悲しみばかりが積み上がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
もう狂っている世界の上澄みに、血を流さない闘いにいがみ合えたお前らが、どれだけ恵まれていたか。
砲弾のプロテストがセセリアから余裕を奪い、大真面目に決闘中止と避難誘導の指示を出させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
しかし世界の実像を叩きつけているように見える魔女たちのテロルも、上層に入り込んだシャディクの手引なくしては学園に入り込めず、政治的訴えよりも冷たいビジネスの一部として、学園は壊れていく。
地球の魔女たちがどん底から持ち込んだ”現実”が、あくまで階段の下に虐げられた、世界をひっくり返す力を持たない事実に後押しされる形で、血みどろの闘争が偽りの決闘を壊していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
でもそれは、弱者が弱者であるがゆえに掴んだ真実を必死に、純粋に叩きつけているわけではない。
自分を踏みつけにする巨大なヒエラルキーの、最下層被雇用者になることでしか魔女たちは”学生”になれなかったし、”決闘”にも参加できなかったし、ムカつく何もかもをぶっ壊す野放図を体現できなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
使う側と使われる側の位置関係は、何も反転していない。
そのどん詰まりが、暴走に悲愴を混ぜ込む
唐突に持ち込まれたむき出しの暴力を前に、チュチュは魔女と同じ呪いに食われかけて、助けを求めるクソスペーシアンの声を聴く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
その裏側で、シャディクの謀略は殺人を伴って加速し、血を流さない場所でこそ状況の手綱は握られていく。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第14話から引用) pic.twitter.com/QACF5OdrlT
…握られてんのかなぁ、という危うい疑念は当然つきまとうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
あんだけ荒くれピンクしてたチュチュ先輩が、実際に”殺し”を間近にしてぎりぎりおそれ踏みとどまり、助けたくもねぇカスの命を背負って闘う道を選んだのと、遠くで嗤うシャディクの間にある、人徳人品の差。
それが大望(あるいは大妄)である以上、玉が直接暴力の現場に出る下策を選ばないからこそ、シャディクは蛇の巣で頭角を現せたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
だがそのビジネス感覚こそが、生き死にの捻じれる高度資本主義社会を、魔女たちを押しつぶす呪いを生んだのだとしたら、シャディクの冷たい賢さは答えではない。
地球寮が差し出す、ヤギのミルクは臭い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
それは清潔に殺菌されていない、生きていればこその匂いで、医療ビジネスの視察に来たスペーシアンは、その生臭さを拒絶する。
チュチュ先輩決死の汗まみれと、シャディクの遠くて冷たい賢さは、そんな風に世界を活写する筆の延長線上にあるように思う。
クワイエット・ゼロが目指すデジタル涅槃と、この生身感は真逆に対立するもので、そこに足を置いて今後、子ども達は親世代の呪い…であり祈りでもあるものを、拒絶していくのかな、と感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
高くて遠い場所に立ちすくんでいては、泥に潜って生きる意味を拾う旅に参加はできない。
ついにダイレクトに人名奪ったシャディク一派が、選び取った産業構造内側からの破壊とは違う場所に、スレッタ達は進み出せるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
…誰かが発行してくれたパスを悪用して、世界の実像と自分の痛みを叩きつけて壊す行為は、雇用者であるシャディクも道具である地球の魔女も、だいたい一緒なんだな。
そういう意味では、生身の体と魂を殴り殴られる意味を知っているチュチュ先輩が、殺すのではなく守る道を選んでくれたのが、今すがりうる微かな導きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
粗暴で痛快なヴァイオレンスの化身として、きっちりキャラを立てた上で率先して矛を収める立場に立つの、巧い活かし方よな。
魂を焦がし欲しい物に手を伸ばす、狂った愚行。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
その熱量がスレッタの夢を砕き、自分が立つ/立たされている遠い高みを暴く…ようでいて、ソフィの死にスレッタは手を触れない。
それは、レノアが抱く生と死だ。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第14話から引用) pic.twitter.com/6BrnwECXM1
閉ざされた場所を開き、内側に踏み込んで共有する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
ミオリネと温室で演じてきたジュブナイル・ロマンスの構図を、GUNDの呪いを共有すればこそ飲まれてしなない主役の特権を、より強調する。
スレッタは死人の閨を暴き、見つめ、しかし踏み込まない。
ソフィが血を流して求めた場所、その熱を。
エラン四号の末路で既に示されていた、GUNDの子ども達のスタンダード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
苛烈過ぎる情報潮流は魂を焼き焦がし、適合者を使い潰してガンダムを動かす。
人間がパーツになるしかない、規制当然の邪悪な技術のど真ん中で、スレッタが平然と微笑み、痛みと無縁でいられる理由。
それは母が静謐な涅槃を求める理由と重なって、呪いはまだ解けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
予測はしていたものの作中ダイレクトに書かれると、そらーオゲゲだわなというぶっ飛び加減で、はたしてクワイエット・ゼロの推進がこのどうしようもない世界を救う、唯一の福音か既に疑わしい。
でも生身の弱っちい現実と、どんだけ足掻いても階段をひっくり返せない社会的身体の惨めさを…ソフィが呪われ、人を殺すことでしか手を伸ばし得なかったものを叩きつけられると、どっかに救いが欲しくもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
平和、安心、愛。
狂ったあの子も、そんな柔らかなものが欲しかった。
でも階段の下で這いずっていては、誰もそれを与えてくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
学園で展開されていた下層から上層への特権的な引き上げを、”現実”ではないと強く拒絶し銃弾で壊す態度は、そうしなければ悲惨過ぎる自分たちを、かろうじて肯定し生き延びるための祈りでもあった。
そしてそれは、誰かの命を奪う呪いでしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
綺麗な祈りから生まれたはずのものが、人類定義を書き換える超技術にまくりこまれて呪いとなり、新しい子ども達を飲み込んでいく。
サイバーパンクらしく、技術暴走のお話にもなってきたなッ! 最悪だッッッ!!!!!
ソフィがさんざん吠えてた、破壊マシーンとしてのガンダム。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
それは地獄に叩き落された彼女の世界観が、彼女のガンダムを定義している構図である…と同時に、兵器として使われる彼女のガンダムが、彼女の世界を規定してしまっている構図でもある。
正しく、サイボーグ的な表現だ。
機械と入り混じり(フツーは侵食の果てに殺され)、そのパーツとして子ども達を呪い殺すガンダム。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
それは人間を救う医療技術であると、スレッタは吠えて歩み寄らない。
エアリアルが救いであるのなら、その端末たるスレッタもまた、正しく賢く優しい祈りになるはずだ。
しかし彼女の描かれ方は、人類を超越した不気味なサイボーグであり、母の祈りの道具に選ばれ、差し出された理想を疑えない、無垢なる共犯者だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
この不気味さを超えて実感ある答えを掴むためには、現実の向う側にある事実と真実を見なければいけない。
そうしてスレッタが変わらなければ…
運命的にも物理的にも彼女と深くつながった、偉リアルの価値も書き換わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
ソフィの指弾は的確に、スレッタが高い場所から見落としている事実を射抜いている。
ガンダムは現状人殺しの機械でしかなく、祈りの道具にしたいのなら、それを変えなければいけない。
だが今のままでは、スレッタは魔法の言葉を呟いて己を納得させ、暗く閉ざされた魔女の棺に手を差し込めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
進めば二つ、下がれば一つ。
耳障りが良くてパワフルなキャッチコピーは、非常に恣意的な運用をされている。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第14話から引用) pic.twitter.com/OoPYRdDrxx
決闘に勝って”妹”の幸せを掴むはずだった結末は、歩み寄れないまま悲惨に終わって、たくさんの死人が出た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
一つすら掴み取れないゼロの結末を、ニカと学園を守ったのだと上書きして、幼い魔女は涙を流す。
心の証は当たり前の重力から、引きちぎられて宙を舞う。
この美麗なグロテスクが、痛切な現状認識を視聴者にぶっ刺してて、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
夢の学園生活がド派手にぶっ壊れ、クソシャディクは被雇用者の命を使い潰して状況を勧め、マジでなーんも良くない状況でも、ミオリネ抜きのスレッタはこうして、幸せに納得してしまう。
そんだけ母との共犯関係、エアリアル≒姉との癒着が強いわけで、この安らかな夢をぶっ壊さないと、なんもかんも最悪の方向へと滑り落ちていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
ソフィの命は、眼の前にある現実にスレッタが目を向ける起爆剤足り得ない。
メインターゲットじゃないチュチュ先輩が、道に目覚めてるのと面白い対比だな…
ではなにが、家族共犯の甘い夢から少女を引きずり落とし、自分自身の祈りを賢く、正しく、優しく紡げる存在へと変えていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
今後描いていくことになるだろうし、結局は運命の少女に全てが乗っかるわけよ…。
決闘儀礼が用意してくれたありもののロマンティックではなく、血みどろの新たな契約を。
ミオリネがスレッタと結べるかが、今後大事になってきそうです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
そういう意味では、家庭の因縁絡めつつ義母が誘惑叩き込んでいるの、正しい選択をする前フリとしていい仕事なんだな。
蛇は囁く。旧約聖書にもそう書いてある。
…パーメットが導く、人類の新たな契約のはなしでもあるのかコレ。
というわけで、学園はドッタンバッタン大騒ぎ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
都合のいい嘘に微睡んでいた物語が、クエタで示されていた”現実”を全力注入されて、一気に目覚めるエピソードでした。
二期冒頭で『いつも通りの決闘』を書いておいてから崩すの、予告と翻弄が巧いこのアニメらしい仕草だったな、思い返すと。
嘘臭ぇ上に生臭ぇ、下層民の生き血絞って成り立ってたクソ学園がぶっ壊れて、もうちょい爽快なのかと思っていたが、実際やられてみると悲しさしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
いがみ合いつつも殺し合いはしなかった、可愛らしい地獄をぶち抜くために、使われたソフィの命、その犠牲者たちの命。
それがスレッタの呪いを剥がさず、シャディクの妄念の道具として機能してしまっているのが、何とも苦しい限りです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
大人たちが企業宮廷でぶん回していた、現状追認の暴力的儀礼主義とはまた違った、人間のど真ん中からズレてねじれて、しかし繋がっている過ちの感覚。
それを見事に暴く、中盤の転換点でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
五号が独自の存在感でもって、キモいながらも面白くキャラ立ちしてきたのは、願いに手を伸ばして悲惨になりまくってるネジレのなかで、比較的ストレートに生存欲求と性欲ぶん回し、地獄で前向き健康優良児だから…かなぁ。
その”一つ”にこだわる生存主義が、出口も救いも見えねぇ物語で何を為しうるのか、どう変わっていくかも、今後の楽しみではあります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
いや、変わらねぇまま必死に生き抜いたり、無様に死んでくれても、それはそれで面白いんだけどさ。
かなり面白いポジションに這い上がったよなぁ、あの子…。
こんだけのことがあっても変われないスレッタの、幼い心に閉じた部屋。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
それはエアリアルの奥に眠るもう一人の少女と、密接につながっている。
水星から来た花婿に、優しく大事な場所を開けてもらったミオリネが、今度はその密室へと踏み込むのか。
次回も大変楽しみです。
・追記 基底剤を猛り狂わせる(しかし、いかにして?)
水星の魔女追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
地球の魔女の暴力が、学園の欺瞞性を物理的にぶっ壊す今回、真実が暴かれるスキャンダル性がブン回っている…ようでいて、その破壊力は物理的抗議手段を用意し、使い捨てのパーツとしてソフィたちを使い倒すシャディクの良いように、便利に流用されていく。
威力を制御されコックピットを狙えない、去勢された兵器で演じられるショーケース。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
そんな嘘っぱちの舞台にも、人間の面白さや可愛げは確かにあって、しかし虐げられた側にその実感は届かない。
だから壊して、暴く。
その真っ直ぐな凶暴性は、世界を壊す爆弾として上手く利用されていく。
虚偽の中の真実性、真実の中の虚偽性をドラマの中で乱反射させているのは、正しくサイバーパンク的現代性で大変いいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
魔女たちがそれだけが世界の真実だと吠え、そう思わなきゃ柔らかな生身を守りきれなかったむき出しの暴力は、シャディクがお膳立てしたテロ製品でもある。
そのスキャンダル性を野望と妄執の道具にされる時、魔女たちが暴きたかった真実は、現実と事実を捻じ曲げ捏造していくための、道具の一つに化けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
スキャンダルと真実それ自体により価値を持つのではなく、その使われ方、暴かれ方によって意味を有するのなら…
おぞましき妄念によって生を受け、狂いきった現実を当然と飲み込んでいるスレッタが、どう現実なるものに目を向け、あるいはミオリネによって目を向けさせられるのか…そこで見つけたものを世界とどう繋げ、叩きつけるのかが、やっぱ大事になるのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
願わくばより善き人の真実を、少女たちの祈りが暴かんことを。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
…地球の魔女の切実な悲惨さが、ダイレクトに世界への抗議として機能せず、より大きな社会(に、適切な形で繋がり得たシャディク)に翻弄され使い潰されていくの、今っぽい描き方だなと思う。ポスト・トゥルース時代の少女悲劇。
ここら辺、『明け透けで暴力的なら、それで暴かれるものはなんでも”現実”である(べき)』という、逆立ちした真実盲信主義、それを利するべく粗暴を演じる人達へのカウンターを当ててる感じもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月17日
こういう語り口がこのタイミングで出てきたのは、個人的には食べやすくて助かる。